非極性で軸対称な棒状分子の系で, 分子間に引力と剛体的斥力を仮定し, 平均場近似を用いて, ネマチック相 (N相) の表面張力及び, ネマチック・等方相 (I相) 界面張力に対する分子論的表式を導いた. 分子配向に関して, 引力は両界面で同様な働きをし, 2種の引力定数
B1及び
E1の値に応じて, 界面に垂直, 平行, 斜めのいずれかの配向を安定化するが, 斥力はN相表面には垂直に, N・I界面には平行に配向させるよう働くことが示された. 引力と斥力の効果を総合的に考察することにより, 界面での傾き角θに温度変化が生ずること, 4-methoxybenzylidene-4′-butylaniline (MBBA) や4-ethoxybenzylidene4′-butylaniline (EBBA) のN相表面で観測された配向転移現象, 5CB分子がN相表面では垂直, N・I界面では斜めに配向する事実, 等々の観察結果が良く説明しうる. これらの観察結果を, 引力効果のみに基づいて説明することは困難である.
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