高分子論文集
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44 巻, 7 号
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  • 鈴木 浩司, 日比 貞雄, 鳥居 隆司, 小林 雅明, 中西 英二, 前田 松夫
    1987 年 44 巻 7 号 p. 491-502
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    微結晶の配向分布関数の評価法が, 微結晶ブロック中の主軸の一つにラメラ軸をとり, 滑りが0-x2軸まわりで最大剪断方向及びラメラ内滑りとして導入されるモデルにより提示される. この方法をロール延伸高密度ポリエチレンフィルムの場合に適用し, 実測の極図と比較した. この報告では, 極図の計算精度を向上すべく, 展開係数を8次まで拡張して行った.
  • 鳥居 隆司, 日比 貞雄, 児玉 栄司, 中西 英二, 前田 松夫, 藤本 浩一
    1987 年 44 巻 7 号 p. 503-513
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ロール延伸によって延伸倍率6.0×1.0倍延伸した高密度ポリエチレンフィルムをOff-angle再延伸3倍まで再延伸したが, このときフィルムの厚さは変化しない変形によって得られた. この再延伸フィルムのX線回折による極図を作製した. 微結晶の配向分布関数を評価する方法がOff-angle再延伸の評価に適用され, 実測の極図と比較される.
  • 須加井 潔, 西川 宣明
    1987 年 44 巻 7 号 p. 515-521
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    紡績単糸を平面展開すると, 各単繊維は網目状に配列する. ゆえに高延伸テープをフィブリル化して網目構造となし, 加撚すると紡績糸様の糸条が得られるはずである. ポリプロピレンの高延伸物と緩和熱処理物とのフィブリル化傾向を, 直接的な切裂力, 割裂長によって測定するとともに, 通常の結晶化度と対比することにより, 易フィブリル化条件ならびに製品としてのフィブリル安定条件を求めた. これらの分子量, 低分子物ブレンドなどと, フィブリル化傾向との相関を明らかにした. 例えば, フィブリル化傾向は, 延伸率8倍前後で急激に増大し, 10倍で安定化する. 一方緩和熱処理で, フィブリル化傾向はほとんど解消するが, 延伸率が12倍を超えると, フィブリル化傾向は消去しえない. 最も重要な点は, 易フィブリル化性を達成するとともに, 切裂の後はフィブリル化傾向を完全に除去することである. この矛盾する両性質を一つの連続工程で実現するため, フィブリル化度を指標として, 特に緩和熱処理技術の形成を行った.
  • 須加井 潔, 奥村 宗弘, 川村 富彦, 中対 弘
    1987 年 44 巻 7 号 p. 523-530
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリオレフィンを高温高圧で溶剤に溶解し, 細孔より紡糸することはフラッシュ紡糸として知られている. 本研究はまずポリプロピレンをジクロロメタン溶液より高温高圧で紡糸し, 紙状物形成能が優れ, かつ強靭なフィブリルを製造する技術を確立した. 該フィブリルは疎水性のゆえに, 通常抄紙設備では紙状物を形成し得ない. したがってフィブリルの親液性に相応した溶剤抄造技術を開発した. 比表面積が最大になるフィブリルが最も優れた引張強度・伸度を有する紙状物を製造し得る. 溶解度係数がポリプロピレンと一致するジクロロメタン中で抄造した場合に紙状物性能が顕著な極大値を示すことを確認した. 通常の抄紙設備を耐溶剤性に改造するだけで優れた紙状物を溶剤抄造する技術を完成した.
  • 高松 俊昭, 雀部 博之
    1987 年 44 巻 7 号 p. 531-537
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレン (PP), フッ素化エチレンプロピレン (FEP) -テフロン, ポリフッ化ビニリデン (PVDF) 及びフッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体 (VDF/TrFE) を室温において種々の直流電圧 (Ep) を印加して分極し, それらエレクトレットの曲げ圧電率 (β331) を測定した.
    PPの未分極及びEp=1.4×107V/mで分極した後のβ331は, 0.53×10-10C/m及び2.38×10-10C/mの値が得られ, そのβ331の値はEpの増加に伴い増加した. FEP-テフロンの場合, Ep=3.8×107V/mの下でβ331は7.4×10-10C/mの値が得られた. (VDF/TrFE) (組成比65/35) 共重合体の場合, Ep=1.4×108V/mの下でβ331は20.3×10-10C/mの値が得られた. これらに対して, PVDFの場合, Ep=1×108V/mの下で分極しても曲げ圧電性はほとんど観測されなかった.
    PVDFや (VDF/TrFE) 共重合体を分極後, 両極を短絡すると, 大きな放電々流が現れ, それらの電流値はPPやFEP-テフロンでの同種実験で現れる放電々流よりも著しく大きい. これらの結果に基づいてポリマーエレクトレットの曲げ圧電性の発生機構を検討した.
  • 池田 潔
    1987 年 44 巻 7 号 p. 539-543
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    核剤のボリプロビレン (PP) に対する造核活性を明らかにするため, 摩砕により非晶化の進行した安息香酸ヒドロキシアルミニウム (AlB) を調整し, AlBの結晶性と造核活性の関係について検討した. その結果, AlBの結晶は微細な葉状の結晶で長径は約50nmであった. 結晶は層状構造からなり, 層間によるX線回折強度が低下すると, 造核活性は急激に低下した. 電子顕微鏡観察によるPPの微細組織も, 摩砕したAlBを混入した試料では異なる形態を示した. また造核活性が温度依存性を示すことから, 造核活性は層状構造の関係した吸着に起因するものと考えられた.
  • 坂見 宏, 川瀬 薫, 鈴木 憲司, 飯田 昌造
    1987 年 44 巻 7 号 p. 545-550
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高分子量ポリエチレン (PE) 及び液体パラフィン (Pa) 混合物を種々の温度及び速度で溶融紡糸して, Paを有機溶媒で抽出したPE繊維に層状の微細孔を形成させた. その多孔質PE繊維の微細構造を見掛けの比容, 窒素吸着後の脱離による比表面積及び小角X線測定により検討した. 得られた多孔質PEはPaとの混合比 (C) が0.10~0.50のものを110~125℃の温度で6~50倍に引き伸ばして層状の空孔を形成させた. そのうち, Cが0.17と0.10で紡糸倍率が20~50倍の条件では約120m2/gの大きい表面積が得られた. 空孔とともに積み重なった層状構造からなるPE層は, Cの波少とともに薄層となり, 80-500Åの層の厚さが得られた. これらの孔の形態はほとんど立方体であり, 繊維軸方向の壁がfibril状であるため連通孔であった.
  • 光石 一太, 児玉 総治, 川崎 仁士, 田中 誠
    1987 年 44 巻 7 号 p. 551-555
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    粒状 (炭酸カルシウム), 板状 (タルク), 織維状 (セピオライト) を配合した延伸ポリプロピレンの弾性率及びフィラー/高分子基材界面の密着性に及ぼすフィラー効県 (フィラーの形状, 配合量) について検討した. 延伸試料の相対弾性率 (Eod/Erd; Ead及びErdは, フィラー充てん延伸試料の弾性率及び延伸試料のマトリックスの弾性率をそれぞれ示す) は, (i) ポリプロピレンの配向状態, (ii) フィラーによる補強効果 (フィラー配合量, 弾性率, アスペクト比), (iii) フィラー/ポリプロピレン界面でのボイド体積を考慮に入れた修正Halpin-Tsai式を用いることにより, 粒状, 板状, 繊維状フィラーに対して定量的に表すことができた.
  • 芹田 元, 村井 幸一
    1987 年 44 巻 7 号 p. 557-561
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    四級アンモニウムポリマーを, 種々の三級アミン類 とポリ (クロルメチルビニルアセタート) (PCVA) の反応により合成した. 5%カオリン懸濁液に対する凝集作用を, 沈降速度, 沈降容積, 及び残留濁度を測定することにより, 四級アンモニウムポリマーの構造との関連において検討した. 得られた結果は次のようであった. 1) いずれのポリマーに対しても, 6~30ppmの濃度で良好な凝集効果が得られた. 2) 凝集作用は, 基体ポリマーの分子量の増加に伴って増加した. 3) PCVAとジメチル-オクチルアミンまたはα-ピコリンとから得られたポリマーは良好な凝集作用を示した. 4) 凝集作用に関しての適当なpHは, 約2~10の範囲であった. 5) 凝集作用に対しての適当な四級化率は30~40%であった.
  • 橋爪 吉則, 吉澤 秀二, 石井 忠浩, 矢島 博文, 半田 隆
    1987 年 44 巻 7 号 p. 563-571
    発行日: 1987/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    木材の液体アンモニア処理に伴う構造変化をX線回折と誘電特性より調べた. 木材細胞間層はリグニンで充填された高次構造を有するため, 液安の木材の構造組織内への浸透が起こりにくく, アンモニア付加による安定なアンモニアセルロースへの結晶転換には加圧下での処理が必要である. 液安で膨潤した木材ではアンモニアとセルロースのメチロール基との間に強い相互作用が確められた. アンモニア離脱に伴いセルロース鎖の再配列により非晶化が起こり. メチロール基の回転配向に基づく運動は容易になった. リグニンは液安膨潤により可塑化され三次元構造が緩むため部分的に極性溶媒に溶解する. 液安処理後に溶媒置換した木材では, 乾燥後の結晶化度や収縮量の変化に大きな差を生じた. 高温で液安処理木材の熱安定性が低下することからも, このリグニン三次元構造の緩みが示唆された.
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