イオン注入法によりO
2+, N
2+, Ar
+, C
+イオンをシリコーンシート表層に打ち込み, その表層の物性変化の観察及び表面の親水化を試みた. イオンの加速エネルギーは50, 100, 150keV, 注入量は1×10
12~1×10
17ions/cm
2とした. イオンビームの照射によりシロキサン結合, メチル基は分解され, SiH, 〓C=O, CH
2, SiOHの生成が観察された. イオンビーム照射直後の試料の水に対する接触角は注入量の増加に伴い低下し, その後経時的に復元する傾向を示した. この経時的変化は注入後試料の保存条件の違いで差が見られ, 大気中に比べ真空中にて保存した場合小さいことが観察された. 注入された元素は試料内部において保存条件の差による拡散は見られなかった. 大気中保存試料の場合, 経時的に表面のOH基, メチル基, シロキサン結合の増加, SiH, 〓C=Oの減少が観察され, 接触角の経時的変化の一要因であると考えられた.
抄録全体を表示