高分子論文集
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45 巻, 3 号
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  • 小関 健一, 岡田 直樹, 中澤 経子, 山岡 亜夫
    1988 年 45 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    膨潤による解像力低下の少ない有機アルカリ水溶液による現像処理ができ, サブミクロンオーダーの微細パターンの形成が可能な, 耐ドライエッチンダ特性の優れたネガ型フォトレジスト材料を合成することを目的とし, 機能分離型構造の共重合体を合成した. アルカリ水溶液による現像処理が可能で耐ドライエッチング性を有する官能性モノマーとしてp-ヒドロキシスチレンを, 感光性モノマーとして2- (p-アジドベンゾイルオキシ) エチルメタクリラートを選び種々の比率の共重合体を合成し, ポリマーの現像特性及び画像特性について検討した結果, この共重合体は, ディープUV領域から紫外域にわたって高い感光性を示すとともに, CF4ガスによるドライエッチングに対して高い耐性を示した. 共重合体中のp-ヒドロキシスチレン含量が60mol%以上のポリマーはアルカリ水溶液に可溶で, 現像時に膨潤が少なく0.5μmラインパターンの転写が可能であった.
  • 高橋 哲也, 田中 豊秋, 亀井 良祐, 奥居 徳昌, 高広 政彦, 梅本 晋, 酒井 哲也
    1988 年 45 巻 3 号 p. 201-207
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    連続ゾーン延伸装置を用いて作製した高強度・高弾性率繊維の力学的性質と繊維構造の関係について主に検討した. 連続ゾーン延伸過程における延伸応力と得られた繊維の非晶の複屈折, 折りたたみ分チ鎖の割合. 弾性率, 破断強度の間に良い直線関係が得られた. また弾性率, 破断強度は非晶の複屈折とも非常に良い相関があった. 非晶相の応力光学係数は延伸温度に大きく依存するが, 115℃以上の延伸温度では約0.5GPa-1の値が得られた. 結晶化度が77%を越えると結晶ブロックが互いに連結した繊維構造が発現し始め, 弾性率が著しく増加した. また破断強度は主に結晶化度の大きさに依存した. 以上の結果から連続ゾーン延伸法でもさらに超延伸が可能であれば, 超高分子量ポリエチレンで得られている高弾性率・高強度繊維に匹敵する繊維が中高分子量ポリエチレンからでも可能である.
  • 高橋 哲也, 田中 豊秋, 亀井 良祐, 奥居 徳昌, 高広 政彦, 梅本 晋, 酒井 哲也
    1988 年 45 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    連続ゾーン延伸装置を用いて作成したPEの高強度, 高弾性率繊維の非晶配向挙動を調べた. 実測複屈折は結晶の極限複屈折を越え, 非晶相の複屈折は0.10と高い値に達した. 非晶相の複屈折の逆数と延伸倍率の2乗の逆数との間に良い直線関係があり, 非晶相の極限複屈折として0.21が得られた. ゾーン延伸過程における折りたたみ分子鎖のunfolding機構として, 折りたたみリボン結晶の結晶間, 結晶内の変形が考えられ, 延伸によるタイ分子鎖の数は主に延伸温度に依存するリボン結晶間, 結晶内の変形の割合で決まり, 延伸倍率には依存しない結果が得られた. このような延伸により得られるタイ分子鎖は結晶ブロック間に囲まれる結果, 室温でも高い配向状態が安定に保たれる.
  • 神田 拓馬, 松田 敏和
    1988 年 45 巻 3 号 p. 215-220
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    剛直性の芳香族ジアミンと4,4′- (アリーレンジオキシジカルポニル) ジフタル酸無水物から成るポリエステルイミド繊維を, 前駆重合体であるポリアミド酸のN-メチルピロリドン溶液の湿式紡糸, それに続く化学環化によってつくった. 一般に, 高結晶性ポリマーの繊維は低結晶性ポリマーに比べて弾性率は高いが, 強度は低かった. 一例を挙げると, p-フェニレンジアミンと4,4′- (p-フェニレンジオキシジカルポニル) ジフタル酸無水物 (TmHTm) からの繊維は強度12.6g/d, 弾性率1420g/dであった. 第三成分として無水ピロメリト酸 (PMDA) を添加した共重合体の製糸についても検討し, 2-クロル-p-フェニレンジアミン/TmHTm/PMDA (100: 60: 40) の共重合体から. 強度20.9g/d, 弾性率1350g/dの繊維を得た.
  • 濱田 泰以, 前川 善一郎, 堀野 恒雄, 加地 秋好
    1988 年 45 巻 3 号 p. 221-228
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    本論文はSMCの機械的継手の実験データについて検討した. ダブルラップ試験片が用いられ, 継手部寸法, 環境温度, そして繊維含有率を変化させて実験が行われた. 破壊様相は組合せ, 引張り, 圧かい破壊の三種類に分けることができた. それぞれの破壊様相における荷重支え強さを予測するために試験片の強さと形状を用いる方法が提案された. この方法はさまざまな環境温度, 繊維含有率において用いることができる.
  • 日比 貞雄, 鳥居 隆司, 吉田 行男, 中西 英二, 前田 松夫
    1988 年 45 巻 3 号 p. 229-236
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    引張り及びねじりの各種速度比の下で無可塑PVC, ABS, 及びPMMAの各丸棒に引張り-ねじり複合応力が負荷された. 実験結果はvon Mises及びTrescaの降伏条件の評価から降伏点が与えられるフックの法則とReussの方程式に従う理想弾塑性体の場合の修正されたGaydonの式を用いて解析された. 相互作用曲線が二次元応力空間で描かれ, 実験から得られた降伏応力の値と良い一致を示す. 弾塑性状態を満足する広義の相互作用曲線を描く方法が導かれた. これらの曲線と負荷条件下の応力空間内の応力状態との交点から, 応カ-ひずみ曲線に沿って起こる弾塑性状態の変化が検討された.
  • 日比 貞雄, 鈴木 浩司, 平野 妙子, 鳥居 隆司, 藤田 健一, 中西 英二, 前田 松夫
    1988 年 45 巻 3 号 p. 237-244
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    微結晶の配向分布関数の評価法はラメラ軸が微結晶ブロックの主軸にとられそして滑りが横軸まわりの最大せん断方向及びラメラ内滑りが導入されるモデルとして提示される. 我々はこの方法をロール延伸ポリプロピレンフィルムに適用し, 実測の極図と比較した. また二軸延伸PVAフィルムに適用した配向分布関数の評価法をロール延伸ポリビニルアルコールフィルムの配向分布関数の評価に用い検討した.
  • 遠藤 政孝, 笹子 勝, 平井 義彦, 小川 一文, 石原 健
    1988 年 45 巻 3 号 p. 245-251
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    フォトレジストのパターン形状を向上させる働きをするコントラストエンハンスト材料 (CEL材料) として. ブルランと4アニリノペンゼンジァゾニウム化合物を主成分とする水溶性CEL材料 (WSP) の諸特性について検討を行った. コントラスト向ヒ効果は, WSP中のジアゾ化合物の対アニオンを硫酸塩とし, また, ブルランの分子量を39000とすることにより最大となるごとがわかった. また, WSPを用いたレジストパターン形成においては, ポリビニルピロリドン (PVP) をブルランに対して1/4配合することによりWSPの窒素ガス透過性が改善されるが, 露光後にジアゾ化合物がPVPのアルカリ可溶性を阻害するために, WSPのアルカリ水溶液に対する溶解速度は低下する. 最適化されたWSPはi線 (365nm) 光に対して良好なCEL効果を有し, これを用いることにより0.6μmの形状の良いレジストパターンを得た.
  • 丸山 照法, 日部 恒, 堀川 裕巳
    1988 年 45 巻 3 号 p. 253-262
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    熱可塑性樹脂を用いた射出成形品のそり変形の物理モデルを提案する. 射出成形過程において, 樹脂補給が絶える時点以降の冷却に伴う樹脂の体積変化にSpencerとGilmoreの状態式を適用すると成形品のひけが理論的に解析しうることを既報した. 前記の状態式やP-v-T (圧力-比容積-温度) データから得られる成形収縮率は熱歪みと等価であるという概念に基づき, 既報1) のひけ解析の方法を熱応力理論で拡張することで, そり変形の物理モデルを導いた. モデルの適合能力を検討するために, 洗濯機のプラスチック部品, ダブル槽のそり変形を解析した. その手順は, 有限要素法による温度計算とP-v-Tデータから求める成形収縮率の計算, ならびにそり変形式の熱応力歪み関係からの誘導から成る. 誘導したそり変形の式はダブル槽の構造的特徴とそり変形の観察状態の関係を合理的に説明でき, さらに, 計算と測定の一致は満足しうるものであった.
  • 坪川 紀夫, 坂口 美紀, 曽根 康夫
    1988 年 45 巻 3 号 p. 263-267
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    無水トリメリット酸と4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナートとの反応で合成した芳香族ポリアミドイミド (PAI) を分別沈殿法で分別して得た広く分子量の異なる分別物及びその混合物について, 力学的性質と分子量などの関係について検討した. その結果, (1) PAIの引張り強さならびに伸びと分子量との関係は, 多くのポリマーに普遍的に適用される関係式で示すことができる. (2) PAIの引張り強さが現れる分子量の下限値, 及びもはや分子量の影響をほとんど受けなくなる分子量の上限値は, 共に結晶性ポリマーに比べてはるかに大きく, 非結晶性ポリマーのオーダーである. (3) 分子量の異なる分別物の混合系の引張り強さは, 各分別物の引張り強さとその質量分率との積の総和で示される. ことなどがわかった.
  • 結城 康夫, 渡辺 俊一, 鬼頭 鏡貴, 国貞 秀雄
    1988 年 45 巻 3 号 p. 269-275
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    2-アミノ-4- (m-アミノ [1] あるいはN-メチル-p-アミノ [2] アニリノ) -6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジンをジアゾ化し, β-ナフトール, フェノール及び3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンとカップリング反応させ, 6種のアゾ色素モノマー [3] ~ [8] を合成した. また, p-ビグアニジノアゾベンゼンと塩化メタクリロイルとの反応により2-アミノ-4- (p-フェニルアゾアニリノ) -6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジン [9] を合成した. これらのアゾ色素モノマーの単独重合ならびにスチレン, メタクリル酸メチル (M1) との共重合を検討し, 共重合バラメーターを決定した. 水酸基を持たない [9] と比べて, 分子内キレート形成能をもつアゾ色素モノマーではr2が増大することが分かった.
  • 蔡 錫全, 塚原 安久, 山下 雄也
    1988 年 45 巻 3 号 p. 277-285
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    単分散スチレン (St) マクロモノマーと電解質モノマーのメタクリル酸または2-アクリルアミド-2-メチルプロバンスルホン酸を共重合させて構造の明確な両親媒性グラフト共重合体を得た. これより調製したハイドロゲルの膨潤挙動, 酸素透過挙動を調べ, 前同報告した非イオン性のGDSグラフト共重合体の結果と比較した. 透過型電子顕微鏡による観察から, 得られたグラフト共重合体の溶媒成膜試料はいずれも比較的規則的なミクロ相分離構造を有した. また, 調製したハイドロゲルは疎水性PSt枝成分のガラス転移温度以下では安定であった. また, 膨潤度 (Q) 継グラフト共重合体の隣接枝間の親水性幹成分セグメントの平均重合度 (m2) と良く相関し, Qm3/5の関係が認められ, さらに, 酸素透過係数 (Pm) は幹成分の化学構造の違いによらず含水率 (H) によってほぼ一義的に決まり, Pm=3.42×10-10E×P (0.0328H) [ml (STP) ・cm/cmcm2・s・cmHg] の関係が認められた.
  • 佐藤 義夫, 猪股 宏, 新井 邦夫
    1988 年 45 巻 3 号 p. 287-289
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ酢酸ビニル, ポリ塩化ビニル, 及び共重合体 (塩化ビニル90%-酢酸ビニル10%) に対する15種の炭化水素の大気圧下の質鍾分率基準ヘンリー定数をガスクロマトグラフ法により測定した. さらに, Bonnerの式によりヘンリー定数を相関したところ良好な結果が得られた. なお相関の際に必要となる溶質と共量合体の相互作用パラメーターは, 溶質とホモポリマーの相互作用パラメーターを用いて単純な関係式で表すことができた.
  • 小宮山 真, 谷島 聡, 平井 英史
    1988 年 45 巻 3 号 p. 291-293
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    p-メチル, p-ブロモ, p-クロロ, p-メトキシ, 及びm-メチル置換の各種ポリスチレン誘導体と塩化銅 (I) アルミニウムとの高分子錯体の均一な薄膜を合成することに成功した. メチル, 臭素, 塩素置換基を有するポリスチレン誘導体及び非置換ポリスチレンより調製した高分子錯体の電導度の対数と置換基のHammett定数との間に良好な直線関係を見いだした. これらの高分子錯体薄膜の電気伝導性が, ポリスチレンの芳香環と塩化銅 (I) アルミニウムとの電荷移動幅互作用に起因することが明らかになった.
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