高分子論文集
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45 巻, 5 号
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  • 鳥居 隆司, 日比 貞雄, 隅田 克彦, 牧野 博文, 前田 松夫, 中西 英二
    1988 年 45 巻 5 号 p. 371-381
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    我々は, ロール延伸高密度ポリエチレンフィルムを, 多結晶集合体と仮定し, off-angle再延伸に際して, 結晶の配向に, シュミレーションモデルを導入した. この評価は, off-angle再延伸において, 塑性変形を引き起こす結晶各面の塑性滑りにより考慮される. この報告で, 我々は, ポリエチレン結晶の結晶単位胞に8種類の滑り系を採用した. 結晶単位の方位の回転は, 常に, 最大塑性仕事の原理を応用して, 塑性変形の個々の滑り系が選択される.
  • 日比 貞雄, 佐藤 誠, 田中 昭, 虎沢 裕治, 牧原 政幸, 前田 松夫
    1988 年 45 巻 5 号 p. 383-390
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    前報で偏光蛍光法による一般的な配向評価法を示した. 本報では, 前報の方法を採用してポリエチレンテレフタラート二軸延伸フィルム内の蛍光分子の配向評価を行う. この評価は傾斜透過法測定によって与えられた. そして共役勾配法による連立方程式の解として与えられた. この計算は蛍光分子内に三つの吸収及び発光単位モデルが採用された.
  • 鳥居 隆司, 日比 貞雄, 隅田 克彦, 栗生 好人, 前田 松夫, 中西 英二
    1988 年 45 巻 5 号 p. 391-399
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    我々は, X線極点図形回折装置を用いて, ロール延伸高密度ポリエチレンフィルムのoff-Angle再延伸時の各面法線の配向分布関数を評価した. これらの分布関数を多結晶の集合体と仮定することによって, この再延伸時の結晶の配向のシュミレーションと比較した. 我々は, 最大塑性仕事の原理により, 三つのchain slip 系の内で, {110} の〈001〉滑り系が支配するこの再延伸過程の再配向機構を解析した.
  • 西村 哲夫, 酒井 伸
    1988 年 45 巻 5 号 p. 401-408
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    ポリカーボネート (PC) あるいはポリアミド (PA) に, 全芳香族ポリエステルのサーモトロピック液晶ポリマー (LC) を混合した2成分系ブレンドポリマーを, 溶融混練押出しによって作製した. LC/PC及びLC/PAの二つの系において, 細管押出型レオメーターを用いた流動性の測定から, 見掛けの粘度ηaは見掛けのせん断応力τ'wに強く依存し, またブレンド組成にも支配されるが, 対数加成則には従わない. LC/PC系について, ダイスを通して得た棒状押出物試料と, 射出成形試験片の機械的性質を測定した結果, ポリマー配合比に基づく強度変化は少なく, ブレンドの性質はポリマーの混合状態に強く関係すると考えられる. 走査型電子顕微鏡写真の観察により, ブレンドの相構造は, ポリマーの溶融状態とせん断流れに伴う分子配向が大きく影響することが明らかになった.
  • 南部 秀三郎, 吉川 洋明, 島田 俊司, 河野 由紀子, 石原 由美子, 武末 知行, 池村 糺
    1988 年 45 巻 5 号 p. 409-416
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    ポリ (a-メチルスチレン) のシリカ-アルミナ触媒存在下での接触分解反応を行った. 主揮発生成物は240℃, 1hにおいてポリマーのベースモルに対してクメン (17.8 mol%) , ベンゼン (14.1 mol%) であった. その他に, 接触劣化オリゴマーは主鎖末端にインダン骨格が形成され劣化ポリマーには主鎖中にプロピレンユニットの生成していることが見いだされた. これらの生成物の変化と主鎖切断数の関係から主反応は開始反応の脱フェニル反応, 生成した鎖上カルボニウムイオンのβ切断, 及び生成した末端カルボニウムイオンの連続的なβ切断による解重合反応であることが明らかになった. 解重合反応は低温側で優勢で, 高温側では主鎖及び鎖末端のβ切断とともに主鎖上カルボニウムイオンの安定化によるプロピレンユニットの生成反応が起こり, その濃度は100モノマー当たり5個であった. ポリマー主鎖骨格の変成反応の生起することが確認された. これらの結果をもとにポリ (α-メチルスチレン) の接触分解機構を検討した.
  • 黄 明煥, 高松 俊昭, 雀部 博之
    1988 年 45 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    ポリバラキシリレン (PPX) 及びポリモノクロロパラキシリレン (PCPX) の薄膜 (厚さ7-10μm) 表面に室温でコロナ荷電し, それらの表面電荷の減衰及び表面電荷の熱安定性を調べた. いずれの試料もコロナ荷電直後の表面電荷は急速に減少したが, あらかじめ両極をショートした後では表面電荷減衰は大分遅くなる. それらの表面電荷は温度上昇とともに減衰し, 60℃で初期電荷の半分が消失したので熱安定性はあまり良くない. 分極処理した試料の熱刺激脱分極電流 (TSDC) は種々の温度域でピークを示し, それらのピーク温度のいくつかは従来の粘弾性測定によって得られた種々な分子運動の開始する温度域に良く対応していた. PPX及びPCPXの室温における電気固有抵抗率が比較的低いため, エレクトレット材料としての利用にはあまり適さないようである.
  • 中島 信哉, 山崎 升, 栗田 公夫, 和田 英一
    1988 年 45 巻 5 号 p. 423-426
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    2, 2-Bis [4- (3-methacryloxy-2-hydroxypropoxyl) phenyl] propane (Bis-GMA) とtriethylene glycol dimethacrylatc (Tri-EDMA) の共重合物をマトリックスとし, これに6チタン酸カリウム (K2O・6TiO2), または窒化珪素 (Si3N4) ウィスカーを混合した歯科用複合高分子材料の弾性率を曲げ試験で測定した. ウィスカーの大きさの分布は電子顕微鏡より求めた. 複合系の弾性率は, ウィスカーの体積分率φの増加とともに増加する. またこれらの実験結果は, Burgersの棒状剛体粒子分散系の粘性率に関する理論式と同型の弾性率理論式の結果と良く一致する. 6チタン酸カリウムウィスカーはγ-glycidoxy propyl trimethoxysilane, 窒化珪素ウィスカーはγ-methacryloxy propyl trimethoxysilaneで表面処理したが, その表面処理による補強効果は実験誤差以内である.
  • 市川 朝子, 中島 利誠
    1988 年 45 巻 5 号 p. 427-433
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    デンプンをもととし, そのカルボキシメチル化及びアクリル酸とのグラフト共重合生成物を作製し, それらの吸湿, 吸水挙動について検討した. デシケーター法による吸湿性の測定結果から, いずれの試料も初期の増加率が著しく, ほぼ15-20日間で平衡となった. 平衡時における各々の吸湿曲線はシグモイド型を示した. さらに, 相対湿度40%までの条件下の各試料の値には B. E. T. 理論が成り立った. 1グルコシド繰返し単位当たりの単分子吸着量はG (S-AA) が7.37分子, G (CMS-AA) が4.69分子, CMSが0.73分子であった. また, デンプン誘導体ならびにキサンタンガム, カラヤガム, 及びグアガムなどガム質についても吸水性を検討した. 吸水率はフィルム化した試料の厚さの増加率を膨潤率として求めた. 各試料共に, tとt/hの間に直線関係がみられ, ロビンソン速度式が成り立った. さらに切片と勾配から膨潤初速度 (V0) と平衡膨潤度 (h) が算出された. 平衡膨潤度はデンプン誘導体ではG (S-AA) が18-20 mm/mm, ガム質ではキサンタンガムが28-36 mm/mmと最高の値であった. CMSとキトサンの橋かけ物の場合, キトサンに対しそのIO-40 mol 比のCMSから成る組成フィルムは, 高い平衡膨潤度 (約20-26 mm/mm) を示した.
  • 漆戸 邦夫, 横山 正明, 白鳥 貴文, 松本 昭, 大岩 正芳
    1988 年 45 巻 5 号 p. 435-440
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    N-アリルシトラコンイミド (ACI) の単独重合及びスチレン (St) との共重合を, アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として60℃で行った. 単独重合速度の開始剤濃度次数は, ACIがアリルモノマーであるにもかかわらず, 一般ビニルモノマーと同じ0.5次となった. 全重合活性化エネルギーは, 23.7 kcal・mol-1となった. 塊状重合により得られたポリマー中の未反応アリル基残存率は0.6, シトラコン酸ビニル基残存率は0.2であり, 大変不飽和度が高いことがわかった. Stとの共重合組成曲線は交互共重合性を示し, 未反応シトラコン酸ビニル基は残存しなかったが, アリル基はほとんど未反応で残存した. ACI (M1) -St (M2) の共重合パラメーターは, r1=0.004, r2=0.142, Q1=0.79, e1=1.93と求まった.
  • 久後 行平, 北浦 達朗, 西野 潤
    1988 年 45 巻 5 号 p. 441-447
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2011/11/29
    ジャーナル フリー
    ホモポリペプチドの極表面構造に関する知見を得るため, α-ヘリックス構造をとることが知られているポリ (γ-ベンジル L-グルタメート) (PBLG) とポリ (ε-N-ベンソキシカルボニル L-リジン) (PBCL) の光電子分光 (ESCA) 解析を行った. その結果, 炭素に対する酸素の比すなわちO/C値が, 光電子の脱出角45°-60°の時にいずれのポリペプチドの場合もそのバルク組成値と一致した. また電子の平均自由行程を用いた計算から, 測定深さとしては, その角度においてPBLGの場合は約16.3-19.9Å, PBCLの場合は約16.6-20.4Åが得られた. ヘリックスロッドの断面の直径の文献値は, PBLGでは15.0Å, PBCLでは18.0Åであるが, これらの値は上記の測定深さの値と良好な一致を示した. したがって, α-ヘリックスという特有の二次構造の深さ方向の分布には特異性があり, 脱出角45-60°において, ヘリックスの1ロッドの断面に相当する深さを測定しているということが示唆された.
  • 岡田 幸雄
    1988 年 45 巻 5 号 p. 449-451
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    チオール類のラジカル重合開始能を調べるため, チオクレゾール類 (Tcrc) の存在下でメタクリル酸メチル (MMA) の重合について研究した. Tcrc単独での開始活性は弱いが, ギ酸 (FA) を添加することにより重合速度 (Rp) が増大することが認められた. 動力学的研究の結果. Tcre及びFAのある濃度領域 (Fig. 2 及びFig. 3 参照) で次式が成立することがわかった. Rp=k [MMA] 1.5 [Tcre] 0.5 [FA] 0.5. この式は開始ラジカルはMMA, Tcre, 及びFAの3者間の反応により生成していることを示唆している. 本開始系によるRpはO-Tcre系> m-Tcre系> p-Tcre系の順に減少する.
  • 遠藤 政孝, 笹子 勝, 平井 義彦, 小川 一文, 石原 健
    1988 年 45 巻 5 号 p. 453-455
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    半導体フォトリソグラフィーにおけるレジストパターンの形状や解像性を向上させるコントラスト・エンハンスト・リソグラフィー (CEL) を遠紫外光に対して有効とすべき材料を考案した. 5-ジアゾーメルドラム酸とρ-クレゾール・ホルムアルデヒド・ノボラック樹脂, ジェチレングリコールジメチルエーテルより成るCEL材料は, 248nm において良好なコントラスト・エンハンスト効果を示し, 特に, KrFエキシマレーザーリングラフィーに有用である.
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