高分子論文集
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45 巻, 6 号
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  • 芹田 元, 妹尾 学, 岩元 和敏, 村井 幸一
    1988 年 45 巻 6 号 p. 457-462
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (N-アルキル-2-ビニルビリジウム塩) をポリ (2-ビニルビリジン) と種々の臭化アルキルとの反応により合成し, 得られた高分子電解質によるカオリンの凝集作用を (i) 主に吸着熱の測定, (ii) カオリン粒子への高分子電解質の吸着に関連して検討を行った. 得られた結果は次のとおりである. 1) 吸着熱は発熱的であった. 2) 吸着量 (吸着の飽和値) 及び吸着熱のいずれも温度が高くなれば大きくなった. 3) 0.5gのカオリンを凝集するに要する高分子電解質の最適濃度は, pH2~10の範囲で10~20ppmであり, pH2以下でも, pH10以上でも分散した. 4) 四級化率の値が25~53%の範囲内で, 吸着量と四級化率の間に相関性は認められなかった. 5) 以上の結果は, 高分子電解質がループ, トレイン・テイル形態で吸着していると考えることにより説明できた.
  • 沼田 俊一, 芝田 信雄, 尾形 正次, 宝蔵寺 裕之, 鈴木 宏, 金城 徳幸
    1988 年 45 巻 6 号 p. 463-471
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    酸無水物硬化エポキシ樹脂に種々の可撓化剤を添加したときの動的粘弾性挙動から, 可撓化剤の作用効果及び作用機構の検討を行った. その結果, ゴム微粒子分散型の可撓化剤の場合, マトリックスのガラス状態であってもゴム状の微粒子により系全体の弾性率が低下し, かつマトリックスと相溶しないためガラス転移温度の低下も少ないことが分かった. これに比較し, 相溶型可撓化剤の場合, 低温領域に新たな分散が現れるか, α分散が低温領域に広がった場合にのみ多少ガラス領域での弾性率が低下し, 同時にガラス転移点が大幅に低下する. ガラス転移点を低下させずにガラス状態の弾性率を下げたい場合には, ゴム状徽粒子分散型の可撓化剤が適している.
  • 沼田 俊一, 芝田 信雄, 尾形 正次, 宝蔵寺 裕之, 鈴木 宏, 金城 徳幸
    1988 年 45 巻 6 号 p. 473-480
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    耐熱性エポキシ樹脂の破断特性に対する可撓化剤添加の効果, ならびに動的粘弾性との関連性について検討した. その結果, ガラス状態での破断伸びは, エポキシ樹脂のγ分散や分散したゴム微粒子のガラス転移など低温領域に新たな分散が現れ, 弾性率が小さくなる場合に向上した. 一方, 衝撃強度の増加に最も効果が大きいのは, 破断時に塑性変形 (ネッキング) などの大きなエネルギー吸収がある場合である, また, ゴム微粒子のガラス転移やγ分散などの低温分散によるエネルギー吸収機構もエポキシ樹脂の衝撃強度の向上に対して多少の効果が認められた.
  • 中島 信哉, 山崎 升, 栗田 公夫, 和田 英一
    1988 年 45 巻 6 号 p. 481-484
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    歯科用修復材に対するウィスカーの複合効果を検討するために, 2, 2-bis [4- (3-methacryloxy-2-hydroxypropOKyl) phenyl] propaneとtriethylene glycol dimethacrylateの共重合物に, チタン酸カリウム (K2O・6TiO2またはK2O・6TiO2・1/2H2O) または窒化ケイ素 (Si3N4) ウィスカーを複合した試料を作り, その圧縮, 引張り, 及び曲げ試験による比例限界値及び破壊強度を調べた. またメタクリル系 (γ-MPS). アミノ系 (γ-APS), 及びエポキシ系カップリング剤 (γ-GPS) によるウィスカーの表面処理効果を併せて検討した. その結果, ウィスカーの種類及びγ-MPS処理に関係なく, 平均軸比が大きくなるほど比例限界値が大きくなることがわかった. またγ-MPSで処理すると比例限界値, 破壊強度の体積分率φに対する増加の割合が大きくなる. K2O・6TiO3ウィスカーについてのγ-APS, またはγ-GPSによる表面処理効果は実験誤差の範囲内であった.
  • 武田 邦彦, 秋山 稔, 山水 孝文
    1988 年 45 巻 6 号 p. 485-490
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    スチレンとp-ホルミルスチレンの共重合を行い, モノマー反応性比r1=0.16, r2=1.43を得た. この値より, p-ホルミルスチレンのQ, e値は, Q=2.36, e=0.41と計算された. 次にホルミルスチレンとジビニルベンゼンの共重合を行い橋かけ高分子を合成した. 各モノマーがm, p混合の場合橋かけ密度が重合初期と後期では大きく異なるのに対してp-ホルミルスチレンとm-ジビニルベンゼンの共重合では重合全般にわたって橋かけ密度が一定な共重合体が生成することが判明した. このデータに基づき, 新しく共重合組成の逐次計算方式により従来測定がむずかしく一定したデータが得られていなかったm-ジビニルベンゼンのモノマー反応性比について検証を行いQ, e値を算出した.
  • 横山 隆, 小山 徹, 金城 徳幸, 奈良原 俊和
    1988 年 45 巻 6 号 p. 491-498
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    イソシアナートとエポキシ化合物とをN-メチルモルホリンの触媒作用下, 加熱して硬化したイソシアヌラート・オキサゾリドン系樹脂の赤外線吸収スペクトルを測定して, 硬化物中のヘテロ環の生成量を求め, 硬化物の曲げ強さとの関係について解析を行った. イソシアヌラート, オキサゾリドンあるいは, ウレチジンジオン環などを含むモデル樹脂を作製して, 検量線用標準試料とした. 各種成分の生成量は, 硬化温度, 時間, 及び化合物の配合割合などによって異なり, おおよそ大半のイソシアナート化合物は3量体化してイソシアヌラート環に, 数十mol%はオキサゾリドン環に変化し, ウレチジンジオン環の生成量は6mol%以下であった. 硬化条件, 化合物の配合割合, 及び各種成分の生成量などから, 反応経路について解析し, さらに各種ヘテロ環の生成量と硬化物の曲げ強さとの関係から, 曲げ強さの変動機構について考察を加えた.
  • 坂田 二郎, 山本 豊, 平井 正名
    1988 年 45 巻 6 号 p. 499-503
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    複合膜の気体透過特性に及ぼすプラズマ重合条件の影響を把握するため, モノマーとしてヘキサメチルジシロキサン (M2) 及びオクタメチルシクロテトラシロキサン (D4) を用い, 重合位置, モノマー圧力, ラジオ波入力, 重合時間を変化させ, プラズマ重合膜を多孔質膜上に形成した. 重合条件とプラズマ重合膜の堆積速度及び複合膜の酸素-窒素透過特性との関係を調べた. 重合位置が電極に近いほど分離性を発現するのに必要な重合時間が短くて済むことが分かった. M2の重合速度は, 入力/圧力値の増大とともに増加した. D4にはその関係はみられず, 圧力が高い時には入力が律速であるものの, 低圧時には入力に無関係でありモノマー供給が律速となることが示唆された. 過剰なエネルギーが供給される条件では重合膜の堆積速度及び膜の分離性の低下がみられた. 重合速度の大きい条件で作製した膜は分離性が高いことが分かった.
  • 光石 一太, 児玉 総治, 川崎 仁士, 田中 誠
    1988 年 45 巻 6 号 p. 505-510
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレン (PP) の弾性率の向上と耐衝撃性能付与のため熱可塑性エラストマー (TPE) をブレンドしたPPにモノアルキルリン酸エステルで表面改質した炭酸カルシウム (CaCO3) を配合した. 配合試料の衝撃性能とTPEの種類, 配合量, 改質剤のアルキル鎖長との関係について検討した. 本実験で用いたTPEの中では, スチレンブタジエンブロック共重合体 (SBS) がPP系材料の耐衝撃性に対して最も優れていた. PP/SBS配合試料の衝撃強度には, 改質剤のアルキル鎖長依存性が認められた. SBSを2.5~5wt%ブレンドしたPPへの表面改質CaCO3の併用使用は, 配合試料の弾性率の低下を抑制するだけでなく耐衝撃性能をベースレジンに比べて大幅に向上させた.
  • 阿部 一彦, 関口 守衛, 岡野 光夫, 片岡 一則, 桜井 靖久, 島田 昌, 篠原 功
    1988 年 45 巻 6 号 p. 511-517
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    均一表面を有するポリ (2-ヒドロキシェチルメタクリラート) (PHEMA), ポリスチレン (PSt) を対照群としてミクロドメイン構造表面を有するHEMA-St ABA型ブロック共重合体の抗血栓性のメカニズムを解明するために, マイクロスフィアカラム法を用いて, これら材料表面に粘着したラット血小板の形態変化を走査型電子顕微鏡にて, 内部構造変化を透過型電子顕微鏡にて解析した. その結果, ミクロドメイン構造表面を有するブロック共重合体はPHEMA, PStに比較して血小板の形態変化, 内部構造変化を著しく抑制していた. 特にHEMAとStが30~50nmの間隔で規則的に並ぶラメラ構造表面を有するブロック共重合体は血小板の活性化を最も抑制することが明らかになった. このHEMA-Stブロック共重合体の抗血栓性の発現はそのミクロドメイン構造が血小板形質模に存在する糖タンパクの集合を規制することに起因しているものと推察される.
  • 山城 誠一
    1988 年 45 巻 6 号 p. 519-525
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (エチレンアジペートープロピレンアジペート) -4,4′-ジフェニルメタンジイソシアナート-1, 4-ブタンジオール系セグメント化ポリウレタンを溶液粘度により10区分に分割し窒素分析, IR分析によりハード成分のポリマー鎖中での分布を検討した. さらにこの分布の均一化に関係する交換反応を溶融粘度変化により検討した. 80℃の重合の場合二段法が一段法より組成分布は狭いが, 溶融重合では両方法の分布に差はない. 170℃ではエステル交換反応は60分, ウレタン交換反応は400分で終了した. 溶融重合物の溶液粘度分布, 窒素含有量分布, 弾性糸物性の経時変化は上記の反応時間と対応する結果を与えた.
  • 坂田 二郎, 山本 豊, 平井 正名
    1988 年 45 巻 6 号 p. 527-529
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    プラズマ重合膜の気体透過特性に及ぼすモノマーの影響をみるため, テトラメチルシラン及びそのメチル基がエトキシ基に置換した5種類の有機ケイ素化合物をモノマーとして用い, 多孔質膜上にプラズマ重合膜を形成した. この膜のIR分析及び気体透過特性の測定を行った. プラズマ重合膜はモノマーの構造をかなり保持していることがIR分析の結果から推察された. 酸素/ 窒素透過速度比はエトキシ基の置換数が増すにつれ低下した. また, 酸素透過速度は2置換のモノマーが最大値を示した. 有機ケイ素化合物のプラズマ重合膜においてはモノマー中のケイ素の酸化数が気体透過特性を打定する重要な因子であることが分かった.
  • 絹川 明男, 黄瀬 善嗣
    1988 年 45 巻 6 号 p. 531-534
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    難溶性の液晶性芳香族ポリエステル (LCPs) のGPC法による分子量分布の測定について検討した. 溶媒として常温で固体のベンタフルオロフェノール (PFP) を, GPCカラムとしてポリスチレンゲルの充てんされたものを用いると, 60℃において, 再現性良く分子量分布の測定が可能であることを見いだした. PFPは融点34~36℃であるため, 流路系全体が温度制御可能な装置を試作して用いた, 試料の溶解条件, 測定条件, GPC-LALLS法の適用性, カラムの理論段数低化の有無などについて検討した. 3種の構造式を有するポリマー及び繊維を実験室で試作し, 本法を用いて, その分子量分布を明らかにした.
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