付加重合におけるゲルの発生は, 生成される高分子の分子量分布の形に関係するが, その分布の形はξ=
Mw/
Mn-1対η=
Mz/
Mn-1のグラフによって判別されることがわかった. 連鎖移動反応のない付加重合では, ゲルは発生せず, 生成される分子量分布はボアソン (Schulz-Zimm) 分布に似ていることもわかった. これに対して, 連鎖移動を伴う付加重合においては, 反応速度係数の適当な組み合わせに対してゲルが発生すること, 及び重合率90%以内でゲルが発生する限界などが明らかになった. またこの場合には, 反応の初期の段階では分子量分布の形はボアソン (Schulz-Zimm) 分布に似ているが, 反応の後期では対数正規 (Wesslau) 分布に近くなることがξ対ηのグラフから明らかになった. さらに, ゲルが発生する場合には, 重量平均分子量などがゲル点で発散すること, ゲル点を過ぎるとそれらが減少すること, 及びゲル点以後にゲル分率が増加する様子などがわかった.
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