高分子論文集
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46 巻, 2 号
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  • 高田 耕一, 流郷 治郎, 松家 英彦
    1989 年 46 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリ (1-トリメチルシリル-1-プロピン) を用いた非対称性膜を作成し, その酸素富化膜としての性能 (酸素富化空気の流束及びその酸素濃度) を評価した. 非対称性膜の作成条件と初期性能の関係を検討した結果, ドープ溶液のポリマー濃度が性能に影響する大きい要因であることが判明した. さらにこの非対称性膜と比較するために同一材質で活性層と支持体を作成した複合膜を調製し, さらに前報で報告した支持体が異なった材質で調製された複合膜とも併せ比較検討した. 一般にどちらの複合膜でも高い流束が得られる時, 富化空気の酸素濃度が低くなったが, 非対称性膜では膜成形条件を選べば, 富化空気の酸素濃度も高くかつ流束も大きい膜も成形可能であった. しかしこのような膜は経時変化が特に著しく, 実用上価値が少ないと考えられた. 非対称性膜も上記複合膜と同様に経時変化を起こすことが認められ, さらにフィード比 (セルに供給する空気量/透過流束) が大きいほど, 経時変化が大きくなることを認めた. 経時変化の主な原因はポリ (1-トリチルシリル-1-プロピン) の分子凝集状態の変化が主要因であると推定され, 膜形態を変えてもそれを防止することはできないことを認めた.
  • 竹谷 則明, 浅野 秀樹, 丹野 清吉, 阿部 富也
    1989 年 46 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    橋かけ性樹脂の押出成形法として, モノマーを細管内に移送させながら重合させ順次押出す手法について, 試料としてラジカル反応で重合速度の早いアクリル系モノマーを用いて検討した. その結果, 押出成形の可否は, 試料がチューブを通過する時の平均管内摩擦係数で整理できることを明らかにした. また, チューブの内径は約1mmが好ましく, これ以下では平均管内摩擦係数が小さくなるにもかかわらず, ポリマを吐出させる圧力が大きくなり表面形状が破壊された成形体が押出された. また, 1mm以上ではポリマー成形体の中央部に未反応部が残っており, 均一に重合したものを得ることが困難であった. この平均管内摩擦係数を, 滑剤を用いて低減することにより, 表面の平滑な成形体が得られることが判明した.
  • 井上 俊英, 山中 亨
    1989 年 46 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    フェニルヒドロキノンと4, 4'-ジヒドロキシビフェニル及び4, 4'ジフェニルジカルボン酸からなるポリアリラートから繊維径0.08mmで100GPaの高弾性率紡出糸が得られた. 一方, フェニルヒドロキノンとクロルヒドロキノン及び4, 4'-ジフェニルジカルボン酸からなるポリアリラートからは, 高弾性率紡出糸を得ることはできなかったが, 曲げ弾性率38.9GPa (0.8mm厚み) の高弾性率射出成形品が得られた. この射出成形品は, 広角X線回折図形と曲げ試験片の破断面のSEMから異方性が少なくフィブリル化しにくいことがわかった.
  • 押部 義宏, 石垣 秀世, 大村 博, 山本 隆
    1989 年 46 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    前報 に報告した方法により, ポリメリックペルオキシドを用いてMMA及びCH2=CHCO2C2H4C8F17 (FA8) を逐次重合してブロック共重合体を合成した. 生成ポリマーをn-ヘキサン, トリフロロトリクロロエタンを用いて溶剤分別したところ, MMA/FA8 (50/50wt%) の場合, PMMA-b-P (FA8) /PMMA/P (FA8) は50/20/30の混合物であった. 第1段重合終了時には重合系内のO-O結合の約40%がポリマー鎖中に導入された. ポリマー鎖中のO-Oの結合は1分子当たり約1.3個であり, そのほとんどが末端に存在した. 副生したホモポリマーはブロック共重合体によって分散溶解され, 分散粒径は0.05~0.1μm (MEK中) であった. また分散粒径はモノマー組成と溶剤の種類によって変化し, フッ素含有量が少ないほど小さく, SP値がδd=7.45~7.65, δp=3~5, δb=2.5~5の領域内の溶剤中で特異的に小さくなった.
  • 押部 義宏, 石垣 秀世, 大村 博, 山本 隆
    1989 年 46 巻 2 号 p. 89-94
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリメリックペルオキシドを重合開始剤として合成したパーフロロアルキルアクリラートとメタクリル酸エステルとのブロック共重合体について, その表面特性と表面改質剤としての性能を評価した. 含フッ素セグメントは優れた表面配向性を示すが, ポリマー表面で, overlayer層を形成するにいたらず, アクリルセグメントと海-島構造をとることが推定された. 表面改質剤として用いた場合, 含フッ素モノマーがCF3基を有し, 長鎖のフッ化アルキルのものほど, また成膜時のポリマー溶液粘度が低いほど, より良好な低エネルギー表面が得られ, ランダム共重合体では得られない優れた撥水撥油効果を示した. また, ブロックポリマーの片セグメントであるアクリルポリマーが優れたアンカー効果を発現し, 改質効果の持続性は極めて良好であった. このアンカー効果はランダム共重合体では全く発現できず, ブロック共重合体の優れた特性である.
  • 劉 瑞林, 李 林, 升田 利史郎
    1989 年 46 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    非相溶性であるポリスチレン (PS) とポリエチレン (PE) 二成分系ブレンドと, スチレンーエチレン・プロピレン (S-EP) ジブロック共重合体を高分子系界面活性剤として添加した三成分系ブレンドについての動的粘弾性の測定を行い, 界面活性剤の存在及びサンプルの成形加工条件が動的力学緩和挙動に及ぼす影響を検討した. 界面活性剤は, PS/PE系ブレンドに対し, α及びβ緩和などに影響を与えるが, γ緩和には影響しない. また, 三成分系ブレンド系では加えたS-EPブロック共重合体がそれ自身の緩和を示す. 急冷試料においては三成分系ブレンドのα緩和温度は二成分系のそれより低く, 熱処理によって変化しやすい. 二成分系の動的弾性率E'はPEのそれより高く, 三成分系では低い.
  • 織田 文彦, 野沢 清一, 林 昌宏, 志賀 勇, 木村 昌敏, 梶村 皓二
    1989 年 46 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 高弾性率を有する構造材料を成形することである. そのアプローチとして, 比較的剛直な一次構造を持つ熱液晶ポリマーを用い, 磁場配向の手法で高配向化した成形体を得るこもを試みた. 高分子液晶の磁場配向では, 試料の重合度が大きな影響を示した. また, 磁場配向の実質的な生成は, DSCあるいは顕微鏡下で観測される融点以上のある特定温度以上で見られるようになる. 広角X線解析による検討結果によれば, この温度以下では未溶融組織の存在が示唆された. 磁場配向の手法により得られた成形体は, 大きな断面積にかかわらず, 一様に高配向化した構造を示し, 高い曲げ弾性率を与えた.
  • 高橋 利禎, 堀 昭彦, 山崎 直子
    1989 年 46 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    ポリ (m-フェニレンイソフタルアミド) (PmPIA) のN-メチルピロリドン-2 (N-MP) とε-カブロラクタム (ε-CLm) との溶媒和結晶のモルホロジーについて研究した. PmPIA溶媒和結晶を熱溶液より冷却により析出させ, 減圧下に乾燥させて, 透過形電子顕微鏡でキャラクタライズした. PmPIA結晶は単結晶に典型的な特徴を持つ. 細長い結晶よりなる束状結晶や双晶も見いだされた. この溶媒和結晶の電子線回折図は次の単位胞を仮定することにより説明された. PmPIA/N-MP: 斜方晶 (a=0.764nm, b=1.096nm, c=1.13nm). PmPIA/ε-CLm単斜晶 (a=1.317, b=0.522am, c=1.13nm, γ=48°). N-MPとε-CLmのPmPIAに対するモル比は溶媒で置換した際の重量減少より約2と評価された. N-MPとε-CLmのPmPIAに対するモル比と単位胞の寸法より, PmPrA/N-MP-及びPmPIA/ε-CLm-溶媒和結晶の計算密度はそれぞれ, 1.52g/cm3, 1.33g/cm3と計算された.
  • 尾形 正次, 宝蔵寺 裕之, 沼田 俊一, 金城 徳幸, 堀江 修
    1989 年 46 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂にフィラとして溶融シリカを配合した成形材料の成形性, 成形品の熱応力特性, 機械特性などに及ぼすフィラの形状, 粒度分布, 配合量, 表面処理の影響について検討した. 粒度分布を広げた球形溶融シリカは通常の角形溶融シリカに比べて配合量を10vol%以上多くしても同程度の溶融粘度, 流動性が得られた. フィラの増量により成形品の弾性率は上昇するが, 線膨張係数が大幅に低下するため複合域形品に発生する熱応力を大幅に低減できる. 球形溶融シリカは角形シリカを用いた場合に比べて成形品の機械特性が劣る. これはフィラとマトリクス樹脂の接着性が劣ることに起因し, フィラ表面をあらかじめカップリング剤で処理することによって改善できることが明らかになった.
  • 玉置 克之, 西野 潤
    1989 年 46 巻 2 号 p. 121-123
    発行日: 1989/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    多くのポリビニルエステルからポリビニルアルコールへの変換に利用されている条件下ではほとんどけん化が起こらないとされているポリトリメチル酢酸ビニルのけん化を, ベンゼン中ジベンゾ-18-クラウン-6-工ーテルの存在下に水酸化カリウムを用いて試みた. 反応は容易に進行した. 誘導したポリビニルアルコールの重合度はやや低下したものの, 赤外吸収スペクトルは普通のポリビニルアルコールと同じであった.
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