高分子論文集
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47 巻, 12 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 漆戸 邦夫, 荒井 俊文, 栗林 聡, 小林 まどか
    1990 年 47 巻 12 号 p. 939-944
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    N-アリルイソマレイミド (AIMI) 及びN-アリルイソシトラコンイミド (AICI) の単独重合及びスチレン (St) との共重合をアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として60℃で行った. AIMIの初期重合速度は, α-メチル基をもつAICIの約4.7倍であった. ポリマーはアセトンなど有機溶媒に可溶であり, AICIの重合の方がAIMIより環化率が高かった. AIMI, AICI (M1) とSt (M2) との共重合では, コポリマー中に組込まれるM1のモル分率は広い仕込モノマー組成の範囲で0.5以下であった. イソマレイミド基及びイソシトラコンイミド基はほとんど共重合に使われ, アリル基の大部分はペンダント状に残存した.
  • 田中 一宏, 喜多 英敏, 岡本 健一
    1990 年 47 巻 12 号 p. 945-951
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    7種類の市膜のポリイミド膜のH2, CO2, CO, CH4の35及び100℃における透過係数Pを測定し, それらのH2/CO, H2/CH4, 及びCO2/CH4の選択透過性と化学構造との関係を考察した. これらの結果を他のガラス状高分子膜のそれと比較した. 耐熱性に優れ, 溶媒可溶性であるBTDA-M/T及びトリカルボキシシクロペンチル酢酸2無水物 (TCDA) とODAとから得られるポリイミドは優れたH2/CO及びH2/CH4選択透過性を示した. これは, これらのポリイミドが, 分子鎖の局所運動と分子鎖の充填を同時に阻害するような化学構造を有するためであると考えられる. BTDA-DABPは, PH2が小さいものの, P比が非常に大きかった. これらのポリイミド膜はPCO2が小さくCO2/CH4分離には適さなかった. 残留有機溶媒の可塑化効果による選択性の低下がみられた.
  • シトラコン酸エチルビニルのラジカル環化重合
    高瀬 巌, 広瀬 晃嗣, 相田 博
    1990 年 47 巻 12 号 p. 953-959
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    主鎖にβ-ラクトン単位を含むポリマ-を合成する研究の一環として, シトラコン酸エチルビニル (EVC) のラジカル環化重合をベンゼン中, 70℃で行った. EVCモノマーの合成において, エステル基の位置が異なる二つの異性体, CH2=CHOCOC (CH3) =CHCOOC2H5, CH2=CHOCOCH=C (CH3) COOC2H5が1.15: 1の比率で伴われたが, 両者の分離は成功しなかった. この両異性体混合物の環化重合において, マレイン酸エチルビニルの場合と同様に低モノマー濃度における重合で, 主鎖にβ-ラクトン単位のみを含むポリマーを与えたが, 異なるモノマー構造に由来すると考えられるα-メチル, β-プロピオラクトンとβプロビオラクトンの二種のラクトン単位を0.4: 0.6の比率で含むことを認めた. ポリマーに残存する不飽和基はビニル基に比べシトラコン酸二重結合を2.7~3倍多く含むが, これは重合におけるシトラコン酸二重結合上のメチル基への退化的連鎖移動によると推論された.
  • 功刀 利夫, 鈴木 章泰, 糸田 純
    1990 年 47 巻 12 号 p. 961-965
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    市販ポリエーテル・エーテル・ケトン繊維に多段ゾーン熱処理法を適用し, その力学的性質の向上を試みた. この方法は熱処理温度と印加張力を段階的に増加させて5回のゾーン熱処理を行うものである. 5回のゾーン熱処理を施した繊維のヤング率は11.7GPa, 切断強度は1.11GPaを示し, 市販繊維の2倍である. 室温でのゾーン熱処理繊維の動的弾性率は13GPa, 280℃付近でも3GPaと高い. また, この繊維の複屈折は0.316に達し, 理論計算による固有複屈折の0.34に近い. 複屈折の加成式から算出した非晶複屈折とヤング率の間には比例関係が認められた. また, ゾーン熱処理で結晶化度は28%から40%に増加するが, 結晶部配向係数と結晶サイズはほとんど変化しない. これらの結果から, 力学的性質の改善は非晶鎖の配向向上によって達成されたものと考えられる.
  • 川邊 浩, 鈴木 昌和
    1990 年 47 巻 12 号 p. 967-971
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    クロロメチル化ポリスチレン (CMPS) またはその低分子モデルとしての塩化ベンジル (BC) とs-ブチルアミンとの反応において, 種々のプロトン溶媒の効果を検討した. 純アルコール中でのBCの反応速度は, 溶媒の静電効果と平行関係にあり, ジオキサンにアルコールを添加した系でのCMPS及びBCの反応速度も同様の関係である. しかしこの関係は他のプロトン溶媒を含めると成立しない. CMPSの反応速度定数 (kP) とBCの反応速度定数 (kB) との比kP/kBは, プロトン溶媒の添加によって反応速度が大きくなるほど小さくなる傾向がある. 純アルコール中でのBCの反応をジオキサン中の反応と比較すると活性化エンタルピー (ΔH) と活性化エントロピー (ΔS) が著しく高い. またジオキサンーアルコール系混合溶液中のlog kBの溶媒組成依存の型は, 反応物 (アミン) と遷移状態が共にアルコールによる特殊溶媒和 (水素結合) をしていることを示唆する.
  • 藤原 健一, 升田 利史郎, 高橋 雅興
    1990 年 47 巻 12 号 p. 973-976
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレート (PET) と60mol%のp-ヒドロキシ安息香酸から合成された重合度の異なる一連のサーモトロピック液晶性ランダム共重合ポリエステルについて, フェノール/1, 1, 2, 2-テトラクロロエタン (1: 1重量比) 混合溶液中での固有粘度 [η] と1, 1, 1, 3, 3, 3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールの希薄溶液中で超遠心による沈降平衡法を用いて重量平均分子量Mwを測定した. この結果, 次に示すMark-Houwink-Sakurada式が求められた. [η] =1.30×10-3M0.67w (30℃) FloryのK値はStockmayer-Fixmanの方法を用いて, 3.6×10-3と算出された. また, 本共重合コポリエステルはPETに近い特性比を有することから, 溶液中でのポリマー鎖はPETと同程度に柔軟性のあることが示唆された.
  • 朽木 栄治, 木戸口 晃, 中西 秀樹, 渡辺 敏行, 宮田 清蔵
    1990 年 47 巻 12 号 p. 977-984
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    非常に強いSHG活性を示す脂肪族ポリエステル/パラニトロアニリン (p-NA) 系材料について偏光顕微鏡によるモルホロジー観察, 粉末法に準じたSHG強度測定を行いモルホロジーとSHG強度の関係を明らかにした. 脂肪族ポリエステル/p-NA系は結晶性ポリマーマトリックス中にp-NA微結晶が分散した不均一系である. 結晶化過程はp-NA濃度及び結晶化温度によって劇的に変化し, SHG活性相は特定の結晶化過程からのみ生成する. それゆえ脂肪族ポリエステル/p-NA系のSHG強度はp-NA濃度と結晶化温度に強く依存し, SHG活性は特定のモルホロジーにおいてのみ観察される.
  • 前田 一彦, 田坂 茂, 稲垣 訓宏
    1990 年 47 巻 12 号 p. 985-988
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    低結晶性のビニリデンフルオライド・ヘキサフルオロアセトン共重合体 (P (VDF-HFA)) と種々のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル系ポリマー (PAC) との相溶性とそれら混合系の相転移温度について検討した. アルキルエステル基の炭素数が4以下のPACはP (VDF-HFA) と相溶し, LCST型 (lower critical solution temperature) の相図を示した. また, LCST (Tc) とガラス転移点 (Tg) との間にTg/Tc≈0.55~0.67の相関関係が見いだされた.
  • 田中 章, 小島 雄次
    1990 年 47 巻 12 号 p. 989-991
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリフッ化ビニリデン (PVDF) とポリメタクリル酸メチル (PMMA) のポリマーアロイは延伸方向に正の複屈折を示すPVDFと負の複屈折を示すPMMAが相殺し, PVDF17wt%付近に複屈折がゼロになることが知られている. この重量分率付近のポリマーアロイについて, コンパクトディスクを形成し, 円周方向のレタデーションを測定した. その結果, (1) ディスクの外周部ではレタデーションがPVDFのブレンド比率に関係なくほぼゼロの値を示し, PMMAのレタデーションよりも小さい. 一方, (2) ディスクの中心部では, PVDFの重量分率が10%付近で最小となり, PMMAのレタデーションとほぼ一致し, それ以外の分率では増加する傾向にあることがわかった.
  • 田中 章, 小島 雄次, 沢田 寿史
    1990 年 47 巻 12 号 p. 993-996
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    光ファイバによる偏光制御を目的に, ポリカーボネートをコアに用いた偏平光ファイバを試作した. 試作ファイバはまず断面がクラッド層を持っ二重円を圧延ロールにて, 断面を偏平状にし, かつ分子配向させたものである. このファイバの断面の長軸方向もしくは短軸方向にレーザー光による直線偏光を入射し, 出射光の強度の角度依存性を測定した. ファイバ断面の長軸方向が直線偏光の振動方向と一致したとき最大強度の出射光が得られれ, 一方, 長軸方向が直線偏光の振動方向と直交したとき最小強度の出射光になった. この結果, 偏平ファイバではレーザー光のファイバ断面の長軸方向に振動方向を持っ偏光を取り出すことができる.
  • 加藤 仁一郎, 黒田 良美, 中村 克之
    1990 年 47 巻 12 号 p. 997-1000
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    1, 6-ジアクリレート-2, 4-ヘキサジイン (DAHD) は, 常圧熱硬化反応により高度の弾性率やビッカース硬度を持っ硬化物を与える. この素材を用いた各種フィラーとの複合材料は, DAHD単独での特性を考えるといっそう特徴ある高性能材料が期待される. そこで, DAHDの反応性を利用し, 表面にアゾ基を有する酸化チタンへのグラフト重合を行ったところ, 効率よくグラフト重合が進行することがわかった. 得られたグラフト化酸化チタンとDAHDの高圧複合成形を行った. 得られた成形体は, 54.3GPaの高弾性率を発現することが判明した.
  • 生駒 修治, 野元 栄吾, 横井 弘
    1990 年 47 巻 12 号 p. 1001-1004
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    新しいタイプのポリビニルアルコール (PVA) -シリカ複合体ハイドロゲルが, PVA水溶液中でテトラエチルオルトシリケートを加水分解して得られた均一溶液の凍結低温結晶化によって合成された. ゲルは弾性に富むが, 粘着性はなく, 水中では白色半透明であり, 有機溶液中では高い透明性を示した. 水中における複合体ゲルからのケイ酸の溶出はわずかであった. 複合体ゲルの脱水速度は, PVAハイドロゲルのそれと比較してかなり遅い. シリカとの複合化によって, 力学特性とレオロジー的特性は共に向上した. 複合化は, PVAとシリカの間の化学結合形成を伴い, ゲルの微細構造を変化させることが明らかになった.
  • 村上 良一, 本里 義明
    1990 年 47 巻 12 号 p. 1005-1006
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリ酢酸ビニル球状粒子のけん化の際に, けん化された部分に化学振動によると考えられる同心円状の鮮明なパターンが現れることを発見した. けん化は飽和硫酸ナトリウム水溶液中, 水酸化ナトリウムとメタノール を用いて行われた. バターンの間隔はけん化条件に依存する.
  • 1990 年 47 巻 12 号 p. xvii
    発行日: 1990年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
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