2-フェニル-1,3-ブタジエン (2PB) は種々の条件下で理想的なアニオン重合が進行し, 高分子量で分子量分布の狭いポリマー (
Mn=1.64×10
5,
Mw/
Mn=1.03) になる. ポリマーのミクロ構造は重合溶媒の影響を受けず, 主として重合温度に依存するようである. そのミクロ構造から, 2PBの生長反応では1,4付加が選択的に進行すると推定され, この推定はモノマーのフロンティア電子密度の計算値からも支持される. Θ点近傍 (
n-ブチルホルマート中, 65℃) での固有粘度測定より求めた1,4-E構造含有率92%のポリ (2PB) の特性比,
C∞は6.9で, かさ高いフェニル置換基のためにポリブタジエンに比してかなり堅いポリマー鎖になっていると考えられる. ガラス転移温度は
C∞値から予想されるように, 28℃と高い値を示した. また, このポリマーの擬平衡ずり弾性率
G0eNは1.26×10
6dyn/cm
2 (log
G0eN=6.10) で, これから算出される絡み点間分子量は2.1×10
4である. ゴム域の弾性率にはかさ高い置換基が大きく寄与するものと考えられる.
抄録全体を表示