高分子論文集
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47 巻, 1 号
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  • 市川 幸男, 小泉 智義, 甲藤 卓之
    1990 年 47 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    PPSの微細構造の結晶化温度, 分子量による変化を小角X線散乱法, 広角X線散乱法で検討した. 結晶化温度を高くすると, 結晶化度, 比表面積, 結晶相コード長, 長周期, 結晶相厚が増大し, 非晶相コード長は減少し, 乱れの因子はほぼ一定であった. 分子量を大きくすると, 非晶相コード長, 長周期, 非晶相厚が増大し, 結晶化度, 乱れの因子, 比表面積, 長周期構造の秩序性が減少し, 結晶相コード長, 結晶相厚はほぼ一定であった.
  • 糸山 國義, 田中 達人
    1990 年 47 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    6-ヒドロキシ・2-ナフトエ酸, p-アミノフェノール, テレフタル酸を含む全芳香族コボリ (エステル・アミド) のネマチック融液を径7mmφの押出ダイスから吐出させ, それを伸長変形して一軸延伸ロッドを調製した. 吐出温度は300から325℃まで変え, また, 各温度で伸長倍率を変数として, 分子の配向度を変化させた. ロッド径が増すと弾性率は低下するが, 結晶配向係数の変化は非常に小さかった. 超高弾性率は非晶分子鎖の高度の配向によって達成できることを示唆した. 径1.0mmφで引張り及び曲げ弾性率がそれぞれ110GPa, 108GPaのロッドが得られた.
  • 山本 喜久雄, 前原 喬, 三谷 勝男
    1990 年 47 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニル (PVC) と種々の可塑剤 (2-エチルヘキシルフタラート, アジピン酸系ポリエステル, トリクレジルポスファート) 系について, PVCを上記可塑剤存在下にPVCの貧溶媒を添加し沈殿重合続いて気相重合を行うことにより, 可塑剤がPVC粒子内にミクロ分散した粉体流動性に富むPVC粒子を合成した.
    上記の方法により合成した可塑剤含有PVC粒子について, 粒子のモルフォロジー及び気相重合に用いるPVCと非相溶である有機溶媒を含めた三成分混合系でのFlory-Hugginsの相互作用パラメーター (χ値) を用いてPVC気相重合方法の検討を行った. 可塑化効率については, 動力学的粘弾性スペクトルの結果に基づいて検討を行い, 本重合法による可塑剤含有PVCは, 同一組成の可塑剤をブレンドした可塑化PVCより可塑化効率が極めて高いことが判明した.
  • 加瀬 俊男, 今堀 誠, 小宮谷 寿郎, 伊藤 健司, 五十野 善信, 藤本 輝雄
    1990 年 47 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    2-フェニル-1,3-ブタジエン (2PB) は種々の条件下で理想的なアニオン重合が進行し, 高分子量で分子量分布の狭いポリマー (Mn=1.64×105, Mw/Mn=1.03) になる. ポリマーのミクロ構造は重合溶媒の影響を受けず, 主として重合温度に依存するようである. そのミクロ構造から, 2PBの生長反応では1,4付加が選択的に進行すると推定され, この推定はモノマーのフロンティア電子密度の計算値からも支持される. Θ点近傍 (n-ブチルホルマート中, 65℃) での固有粘度測定より求めた1,4-E構造含有率92%のポリ (2PB) の特性比, Cは6.9で, かさ高いフェニル置換基のためにポリブタジエンに比してかなり堅いポリマー鎖になっていると考えられる. ガラス転移温度はC値から予想されるように, 28℃と高い値を示した. また, このポリマーの擬平衡ずり弾性率G0eNは1.26×106dyn/cm2 (log G0eN=6.10) で, これから算出される絡み点間分子量は2.1×104である. ゴム域の弾性率にはかさ高い置換基が大きく寄与するものと考えられる.
  • 高瀬 巖, 高田 浩二, 相田 博
    1990 年 47 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    主鎖に環歪の大きいβ-ラクトンを含むポリマーを合成するため, マレイン酸エチルイソプロペニル (EIPM) 及びマレイン酸エチルビニル (EVM) のラジカル環化重合をベンゼン中, 70℃で行った. EIPMの重合において, モノマー濃度にほぼ無関係に高環化率でβ-ラクトンを形成し, アクリル酸エチル-β-メチル, βプロピオラクトン交互共重合体構造をもつポリマーを生成した. 一方, EVMの重合では0.5mol/l以下の低モノマー濃度領域で高環化率で主鎖にほぼβ-ラクトン単位のみを含むポリマーを与えたが, それ以上の高濃度領域ではモノマー濃度の増加に従って環化率は減少し, 環形成においてもβ-ラクトン以外に少量のγ-ラクトンが伴われた. 異なるβ-ラクトン単位を含む両ポリマーは多くの有機溶媒に可溶であり, また200℃付近までの加熱によってラクトン環が分解し, 二酸化炭素を放出する. TGAによる分解の開始と最大温度は両者で約20℃異なり, 両ラクトン環の熱安定性は相違した.
  • 国貞 秀雄, 結城 康夫, 松下 嘉文, 犬塚 稔, 山崎 正弘, 吉田 隆
    1990 年 47 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    p-アルキルォキシフェニルビグアニドと塩化メタクリロイルとの反応, あるいは2-アミノ-4- (p-ヒドロキシアニリノ) -6-イソプロペニルー1,3,5-トリアジンと臭化アルキルとの反応により, 2-アミノ-4- (p-アルキルオキシアニリノ) -6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジン (pCnIT, nはアルキル基の炭素数で18までの偶数) を合成した. AIBNを開始剤として, 単独重合を行い, 櫛状ポリマーを得た. ポリマーのガラス転移温度はpC6ITからpC18ITまでは192℃~196℃とほぼ一定の値となった. pC12IT以上のホモポリマーではアルキル側鎖の結晶化の現象が見られた. pCnITとスチレン, メタクリル酸メチル, 及びアクリル酸メチル (M1) との共重合を行い共重合パラメーター (r1, r2, Q, 及びe値) を決定した. これらの値はアルキル基によらず, ほぼ同じ値を示した.
  • 谷川 聡, 中前 勝彦, 松本 恒隆, 犬塚 稔
    1990 年 47 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    高周波プラズマ法によりポリイミドフィルムの表面処理を行い, フィルム表面の水漏れ性, 極性基密度, ならびに真空蒸着したFe薄膜とポリイミドフィルムとの接着性に及ぼすプラズマ処理の効果について検討し, 以下の結果を得た. 1) ポリイミドフィルム表面を高周波酸素プラズマ処理することにより, フィルム表面の水濡れ性は, 短い処理時間で飛躍的に向上した. この水濡れ性は, 処理後の大気中での放置時間の増加とともに, 徐々に低下する傾向を示した. 2) フィルム表面をESCAにより表面分析した結果, 酸素プラズマ処理により, パーオキサイドやアミノ基などの極性基の生成が認められた. また, 表面に生成した極性基の密度は, 処理時の高周波出力ならびに処理時間に大きく依存した. 3) ポリイミドフィルムと蒸着Fe薄膜との接着性は, 酸素プラズマ処理により大きく向上した. また, この接着力は, 酸素プラズマ処理により生成した表面極性基密度と密接な関係を示した.
  • 山水 孝文, 永野 修, 武田 邦彦
    1990 年 47 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    アニオン交換基を有する多孔性橋かけポリマーを橋かけ度及び孔構造を制御して合成した. 水溶液中でCl-イオンからFeCl-4イオンへのイオン交換に伴う体積変化を測定したところ, 橋かけ度及び孔構造の違いによって体積変化の傾向は大きく変化した. 一般に吸着力の強いイオンが吸着するとポリマーの体積は収縮する. 今回合成したポリマーでも橋かけ度が5~10%のポリマーではCl-イオンから吸着力のより強いFeCl-4イオンにイオン交換すると体積は収縮した. しかし, 橋かけ度が20%以上のポリマーでは, FeCl-4イオンが吸着すると逆に体積が膨潤することがわかった. また, 橋かけ度が同じ20%のポリマーでも孔構造の違いによって膨潤収縮が逆転することも明らかとなった. このようなイオン交換に伴い体積変化からポリマー内の孔構造を解析するとともに孔構造の形状保持性を明らかにした.
  • 加藤 仁一郎, 中村 克之
    1990 年 47 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    常温常圧下においては液体の有機化合物でも, 高圧状態では固化することが知られている. そこで, この現象を利用し, 常温常圧で液状のジアセチレン化合物である1,6-ジクロロ-2,4-ヘキサジインの高圧熱固相重合を検討した. このジアセチレン化合物の高圧下における凝固・融解挙動は, 高圧DTAを用いて調べた. この結果を基に, 5000kg/cm2, 40℃で18時間, 熱固相重合を行うと, 重合反応は, トポケミカルかつトポタクティックに進行し, 高結晶性のフィブリル状ポリマーを与えた. このポリマーは, 常圧低温光重合で得られたポリマーとは, 異なる結晶構造を有することが, 粉末X線解析より明らかとなった.
  • 鈴木 信吉, 杉浦 基之, 後藤 浩, 山本 隆
    1990 年 47 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    低密度ポリエチレン (LDPE), ポリプロピレン (PP), エチレンーアクリル酸エチル共重合体 (EEA), エチレンー酢酸ビニル共重合体 (EVA), エチレンープロピレンージエン共重合体 (EPDM) などのポリオレフィンペレット70重量部の水縣濁液に, ビニルモノマー30部, 及び分子内にO-O結合を有するペルオキシドモノマー (t-ブチルペルオキシ-メタクリロイロキシエチルカルポナート, HE・PO) 0.9部を加え, 加熱してこれらのモノマーをポリオレフィンに含浸させ, 続いてラジカル開始剤を加えてポリオレフィン中で重合を行ってO-O結合をペンダントに持っビニルポリマーを含むポリオレフィン (含浸重合体) を得た. このものを溶融混練してreactive processingを行い, ポリオレフィン-graft-ビニルポリマーを得た. これらのグラフトコポリマーについて溶剤分別を行ってグラフト効率を算出したところ, それぞれ, 33, 59, 50, 46, 56であった. 得られたグラフトコポリマーは両成分のブレンドより破断時伸びが大きく, 電子顕微鏡による観察の結果, ポリオレフィンマトリックス中のビニルポリマーの分散粒径は小さく, さらに界面接着が強いことがわかった.
  • 市川 幸男, 飯塚 洋, 甲藤 卓之
    1990 年 47 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    重合後塩酸処理したPPSの結晶化速度の分子量依存性を, 全結晶化速度線成長速度を測定し, 検討した. 分子量の増大とともに線成長速度は低下し, 核濃度は増大する. 全結晶化速度は, 核濃度の分子量依存性よりも線成長速度の分子量依存性の方が効果が大きいため, 分子量の増大とともに低下する. 結晶化速度の温度依存性をHoffmanの式で解析した結果から, 分子鎖の拡散に関する項, 核生成に関する項の分子量依存性は小さく, 主として前指数項G0, N0の分子量依存性によって, 線成長速度, 核濃度の分子量依存性が支配されているものと考えられた.
  • 漆戸 邦夫, 小池 功治, 北野 宏治, 小林 正彦, 栗林 聡
    1990 年 47 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    N-アリルマレイミド (AMI) の単独重合及びスチレン (St) との共重合を行った. AMIの重合速度はα-メチル基を有するN-アリルシトラコンイミド (ACI) に比べ大変速かった. ゲル化する重合率はACIが25%に対し, 5%であり一般有機溶媒に不溶となった. これらはマレイミド基の高い重合反応性によると推測された. 全重合反応の見掛けの活性化エネルギーは25.4kcal・mol-1であった. Stとの共重合では良好な交互共重合性を示し, マレイミド基は反応にすべて使われアリル基はほとんど残存した. AMI (M1), St (M2) の時r1=0.035, r2=0.056, Q=2.42, e=1.70であった.
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