スチレン-イソプレンブロック共重合体 (SIS) をポリメタクリル酸メチルマクロモノマー (McMMA) またはメタクリル酸メチル (MMA) でグラフト化し, その接着性と機械的物性について検討した. McMMAによるグラフト化物 (SIS-
g-McMMA) のグラフト率とグラフト効率は, McMMAの分子量が高くなるとともに低下した. SIS-
g-McMMA及びMMAによるグラフト重合物 (SIS-
g-MMA) のグラフト率はMMA濃度が高く, 重合時間が長くなるとともに上昇した. SIS-
g-McMMA及びSIS-
g-MMAのスチレンーブタジエンブロック共重合体と軟質ポリ塩化ビニルとの接着性については, グラフト率に対してはく離強さは極大値を示し, SIS-
g-McMMAではその極大値はMcMMAの分子量が大きくなるとともに低グラフト率, すなわちグラフト鎖の数の少ないところにシフトすることが明らかになった. 特にMcMMAの分子量が10000以上, グラフト鎖の数が2個以下ではSIS-
g-MMAによるはく離強さよりも高くなった. SIS-
g-McMMAの引張強さはMcMMAの分子量が10000以上, グラフト鎖の数が0.5~2個で高くなった. SIS-
g-MMAではグラフト率が高くなるとともに, 引張強さは低下した. このように, SIS-
g-McMMAのグラフト鎖の分子量と数を制御することにより, SIS-
g-MMAよりも優れた接着性及び機械的物性を付与できることが明らかになった.
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