1, 1-ジアミノ-3, 3, 5, 5-テトラ (2, 2, 2-トリフルオロエトキシ) シクロトリホスファゼン (AFEP) をビスフェノールA型のエポキシ樹脂EPIKOTE828の硬化剤として用いた。AFEPはヘキサクロロシクロトリホスファゼンからLenton-Lewisの方法により合成した. 硬化物の力学的性質と耐水・耐薬品性を調べ, 硬化剤として1, 1-ジアミノ-3, 3, 5, 5-テトラフェノキシシクロトリホスファゼン (PC10) 及び1, 3, 5-トリクロロ-1, 3, 5-トリ (ジメチルアミノ) シクロトリホスファゼン (CL3) を用いた場合と比較した. AFEPで硬化したエポキシ樹脂は, ねじり振子試験で130℃から190℃で最も高い剛性率を示し, 引張試験においても130℃以上で最も高いヤング率, 150℃以上で最も高い強度を示した. PC10で硬化したエポキシ樹脂は酸, アルカリ, 及び水に浸漬した場合, 剛性率が低下し, CL3で硬化したエポキシ樹脂は酸及び水浸漬により劣化する. これに対して, AFEPで硬化したエポキシ樹脂は酸による劣化はいくぶん見られるものの, 耐水・耐アルカリ性に優れている. ただしAFEPはエポキシ樹脂の硬化に長時間を有する欠点がある.
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