クロロプレンの乳化重合系において, 分子構造: 平均分子量, 分子量分布, 分岐の形成に関与する素反応について検討, 考察し, 9種の素反応からなる反応系としてモデル化した. これについて反応速度論的解析を行い, この反応系を表現する基本式を導いた. これと併行して, 連鎖移動剤,
n-ドデシルメルカプタンの添加量を変えて重合実験を行い, 各々についてのゲル化点を求めた. その結果を上記の基本式により解析した. その結果, (1) 二次的に生成したポリマーラジカルに連鎖移動剤が, モノマーに比べ極めて高い選択性で反応して, 分岐構造の生成を直接的に抑制していること, 及び (2) この選択性は,
n-ドデシルメルカプタンの添加量が大きく, ゲル化点が高くなるほど小さくなることがわかり, (3) この重合反応系における分岐の生成と抑制を体系的に把握することができた.
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