10Mrad s
-1以上の高線量率下において, 低密度ポリエチレンフィルム及び高密度ポリエチレンフィルムの表面に同時照射法によりメタクリル酸メチルを電子線グラフト重合し, 得られたグラフトフィルムの酸素透過係数, 破断応力, 破断伸び, 表面張力からグラフト重合機構について考察した. 低密度ポリエチレンの酸素透過係数はグラフト率の増大に伴い減少したが, 高密度ポリエチレンではグラフト率が4~5%まではほとんど変化しなかった. このことからグラフト重合の場は低密度ポリエチレンでは非晶部, 高密度ポリエチレンでは結晶部近傍の非晶部であることが考察される. また高密度ポリエチレンへのグラフト率が4~5%を越えると, 酸素透過係数, 破断応力, 破断伸び, 表面張力はいずれもグラフト率の増大に伴って減少した. これは結晶部近傍での局所的かつ急速な (10%s
-1以上) グラフト重合により, 重合熱に伴う発熱から非晶部の粘性が低下し, グラフト鎖が形成していたミクロドメイン構造が凝集して巨大化したためと考えられる.
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