ポリエチレンテレフタレート (PET) と
p-ヒドロキシ安息香酸 (HBA) から成る液晶ポリマー (LCP) の力学的性質の異方性改善を二つの方法により試みた. すなわち, 1) LCPとPETの溶融混練時にこれらのカルボキシル末端と容易に反応する二官能性低分子化合物である鎖長延長剤を添加し, LCP/PETブレンド内にLCPとPETのブロック共重合体を生成 (PPL) させる方法と, さらに2) このPPLをLCPにブレンドする方法により行った. 鎖長延長剤としては2, 2'- (1, 4-phenylene) bis (2-oxazoline) を用いた. PPLの動的粘弾性の温度依存性の測定結果ならびに分散状態はブロック共重合体の生成を示唆した. PPLのフィルム破断面からはLCPのフィブリルが観察されず, MD方向の
E' はLCP単独と比較すると低下するものの力学的性質の異方性が小さくなった. また, LCP単独では, 60℃付近に
E' の低下が観測されたが, PPLではその低下は小さくなった. PPLとLCPとのブレンド物では. 分散状態の観察からLCPとPPLの強い接着性が示唆された. PPLの組成の増加に伴いフィルムのMD方向の
E' は若干低下するが, TD方向の
E' は大きく上昇し, 力学的性質の異方性が改善された.
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