高分子論文集
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49 巻, 9 号
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  • 田代 孝二
    1992 年 49 巻 9 号 p. 711-733
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    高分子の構造と力学的性質の密接な関係を, 分子構造, 結晶構造, 及び分子内分子間相互作用の観点から詳しく検討するとともに, それらの取りうる弾性定数極限値を実験的, 理論的に予測した. また外力印加に伴う高分子結晶の変形挙動を振動分光学の立場から追跡し, 非調和効果を取り入れた格子力学に基づいて理論的に解釈した. これら一連の研究を通じて, 高分子結晶の力学的性質が分子レベルからかなりの程度解明されえた.
  • 深山 雅代, 安田 武, Hirotsugu Yasuda
    1992 年 49 巻 9 号 p. 735-739
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレート及びナイロン6フィルムに, CF4プラズマ処理を行い表面にフッ素原子を付与し, 種々の温度の水に浸漬したものの水接触角を測定し, 高分子のガラス転移温度Tgとは異なった表面転移温度Tgの存在を見いだした. Tgは固体に隣接した界面の水, Vicinal Waterの転移温度, Drost. Hansen温度の15℃に一致した. 水に浸漬することによる表面の変化は, 高分子自身の運動性よりも, むしろ, 水分子とフッ素原子との反発力がドライビングホースであると考えた. さらにこのような表面の変化はTg以下でみられ, 活性化エネルギーも比較的小さいことから, 大きなセグメントの運動によるものではなく, 回転運動や比較的小さな部分的なもぐりこみによるものと推測した. またTgは, X線光電子分光法による結果と一致した.
  • 鈴木 章泰, 丸山 寿美子, 功刀 利夫
    1992 年 49 巻 9 号 p. 741-747
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ナイロン66繊維に高温ゾーン延伸法を適用し, 繊維の高強度・高弾性率化を試み, 得られた繊維について高次構造及び力学的性質を検討した. まず, 延伸温度や延伸張力を変えて高温ゾーン延伸を行い, 延伸倍率 (λ) と複屈折 (Δn) の関係から最適延伸条件を求めた. その結果, 1回目の高温ゾーン延伸 (HT-ZD1) は延伸温度を210℃, 延伸張力を29.4MPa, 2回目の延伸 (HT-ZD2) は220℃, 284.2MPa, 及び3回目の延伸 (HT-ZD3) は230℃, 411.6MPaと決定した. 各段階でのHT-ZD繊維のλとΔnはしだいに増加し, 両者はほぼ比例関係にある. 最終的にHT-ZD3繊維ではλは7.1倍, Δnは74.4×10-3に達する. 重量分率結晶化度はHT-ZD1の段階で増加し, HT-ZD2及びHT-ZD3ではほとんど変化しない. 結晶配向係数はHT-ZD1繊維で0.980に達し, 1回のゾーン延伸で容易に高度に配向する. 一方, 非晶配向係数はHT-ZD1繊維の0.672からHT-ZD3繊維の0.826まで延伸とともにしだいに増加する. 原繊維のDSC曲線では260℃に融点 (Tm) が観察されるが, HT-ZD1繊維ではTmが256℃に低下する. しかし, HT-ZD2繊維では259℃, HT-ZD3繊維では260℃に鋭い融解ピークがそれぞれ観察され, 一度低下したTmはHT-ZD2及び3で再び上昇する. 25℃における動的弾性率はしだいに増加し, HT-ZD3繊維では13.6GPaに達する. また, この繊維の動的弾性率は240℃においても5.8GPaと高い.
  • ポリ塩化ビニルーポリカーボネートブレンド系への応用
    五百藏 賢一, 八重垣 寿成, 下川 清和, 飯田 健郎, 後藤 邦夫
    1992 年 49 巻 9 号 p. 749-757
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリグリシジルメタクリレート (PGMA) 及びその誘導体をポリ塩化ビニル (PVC) -ポリカーポネート (PC) ブレンド系の反応型相溶化剤とするロールブレンドを行った. ブレンド物の機械的, 熱的性質の測定ならびに電子顕微鏡観察により, GMAセグメントによる相溶化について考察を試みた. その結果, GMAのホモポリマーが最も相溶化剤として有効であった. このとき, GMAはPVCより発生する塩化水素を捕獲してクロルヒドリンとなり, これがPCと結合することによって, 相溶型ブレンドへ推移させることができた. 一方, ブレンド系に添加する金属石鹸の種類により, 力学物性に大きな差異が認められた.
  • 尾野 成樹
    1992 年 49 巻 9 号 p. 759-763
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    粒径が数十~数百Åのゲルパーミェーションクロマトグラフィー (GPC) によるコロイダルシリカの粒度分布の測定につき検討を加えた. ビニルアルコールコポリマー充填カラム (粒子径5μm, 7.6mm i. d. ×300mml) と移動相として10mMリン酸緩衝液 (pH6.8) を用いた場合, コロイダルシリカがカラムに吸着せず分散するためコロイダルシリカの粒度分布をGPCによる相対的な溶出パターンとして捉えることができることがわかった. さらに測定時間は25分以内と短いことから, 粒径が数十~数百Åのコロイダルシリカの品質管理に本法が適用できるものと考える.
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