アイソタクチックポリプロピレンの塩素化を行い,
13CNMRスペクトルを用いて塩素の置換位置の定量を行った. シグナルの定量性の確認のために, 反転回復法により
T1を測定をした. 定量計算の基本スペクトルはNOEの影響のないゲートデカップリング付
13CNMR法によって得た. シグナルの分離は, 前報に述べたINEPTの
J変調法を用いて行った. また4級炭素のピーク形状および化学シフトの確認のため, APTの
J変調により4級炭素のシグナルを分離した. この結果ポリプロピレンの3級炭素の塩素化によるシフトファクターは47ppmであった. 36. 0% (wt/wt) 塩素化ポリプロピレンの分析結果は, R
3CCI: R
2CHCI: RCH
2Cl: RCHCl
2=1. O: 3. 9: 3. 1: 0. 1であった. この結果より得られる塩素組成の値を元素分析値と比較すると1%の誤差で一致しており,
J変調によるシグナルの分類がこの種の高分子物質の構造解析に有益であることを確認した.
抄録全体を表示