真空蒸着法により作製されたナイロン11膜上に, Auを真空蒸着して得られるAu/ナイロン積層体を熱処理することで, 1~10nmの粒径分布を持つAu超微粒子がナイロン11中に凝集することなく均一に分散した材料を作製することができた. 我々はこの方法を「Relaxative Auto-Dispersion Process; RAD法」と名付けた. Au超微粒子の分散現象は, ナイロン蒸着膜のα分散温度以上, 融点以下で起こり, 例えば, 120℃で4分間熱処理を行った場合, Au超微粒子は厚さ30μmのナイロン蒸着膜全体に均一な濃度で分散した. この分散現象は, 真空蒸着により準安定な状態で固定されたナイロン分子が, 熱処理により安定な状態に緩和する際の分子運動に起因すると考えられる. 次にRAD法により得られたAu超微粒子ナイロン11 (Au-ナイロン) 複合体をm-クレゾールに溶解し, さらにガラス粉を混合した. 得られたペースト状物をアルミナ焼結体上に印刷し乾燥した後, 600℃で30分間焼成しガラス状フィルムとした. TiO
2, あるいはAl
2O
3を含有したガラス粉を使用した場合, Au微結晶は粒成長せずガラス中に固定され, Auのプラズモンバンドは長波長側にシフトした. これらの結果から, Au微結晶の固定はAu微結晶とTiO
2, あるいはA1
2O
3の間の強い相互作用により生じるものと推定される.
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