高分子材料の特性と海生生物汚損性の相関性を調べるために, 代表的な高分子材料, テフロン (PTFE) , ポリエチレン (PE) , ポリカーポネー (PC) , ポリメチルメタクリレート (PMMA) , 塩化ビニル (PVC) , 6-ナイロン (PA) を選び, 茨城県平磯において実海域浸漬試験を行った. また, PE, PC, PMMA, FVC, PA, およびシリコン樹脂 (Si) へのムラサキイガイのベディベリジャー幼生の着床性試験を行った. 実海域浸漬初期には主としてスライムが形成され, その時期をすぎるとアオサ, イギスなどの大型藻類, ムラサキイガイ, フジッボ, カキなどの大型動物種が群居して付着する. 材料の海生生物汚損性は材料の表面特性にある程度依存する. 高分子材料の汚損には, 少なくとも高分子と汚損動物・植物種との間の疎水的相互作用, 高分子の永久双極子間力 (極性力) 成分および分散力成分と汚損動物・植物種との間の相互作用が働くものと考えられる.
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