セルロース多形間の転移機構における出発試料の影響を調べるため, 異なる分子鎖形態を持つとされているセルロースI, II型を出発試料として, III, IV型を作製し, 主にその広角X線回折とCP/MAS
13C NMRスペクトルを測定した. 特に, 多形間の構造転移においてCP/MAS
13C NMRスペクトルに影響を及ぼしている要因が, 多形のパッキングなのか, 分子鎖形態なのか, 検討を行った. その結果, セルロース多形間のNMRスペクトルの差はパッキングではなく, それが作製された出発試料の分子鎖形態の相違を反映していることが認められた. また, 出発試料のパッキングと転移後の結晶型のパッキングとの間に差がある場合には, 多形間の転移率が低くなることが認められた.
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