ポリメチルメタクリレート (PMMA) およびメチルメタクリレート (MMA) とアクリルアミド (AM), あるいはジメチルアクリルアミド (DAM) とのランダム共重合体 (CPMA, CPMD) をそれぞれ合成し, これらを卓上型ニーダより, ナイロン6 (Ny6) に10 wt%ブレンドした. 調製したブレンド物をホットプレスで厚さ200 μmのフィルムにした. このブレンドフィルムから, 長さ70 mm, 幅4 mmのサンプルを切り出し, 加水分解実験に供し, Ny6の加水分解に及ぼすPMMAの効果について検討した. ブレンドフィルムをpH 1.68~10の40℃, 60℃, あるいは80℃の緩衝溶液中で, 加水分解し, 微細構造, 固有粘度, 力学的性質の経時変化を追跡した. Ny6に少量のPMMA, CPMA, あるいはCPMDをブレンドすることにより, ブレンド中のNy6の加水分解速度が増大した. 例えば, 60℃の中性緩衝溶液に60日間浸漬したブレンド物の固有粘度は3/5にまで低下した. さらに, ブレンド物が塩基性の水溶液中でも, 容易に加水分解することも分かった. 60℃に保ったpH 10の緩衝溶液に60日浸漬した後, Ny6のみからなるフィルムの固有粘度の低下はわずかであったが, ブレンドフィルムの固有粘度は2/3にまで低下した. また, AMあるいはDAMをMMAに共重合することにより, Ny6との混合性を向上し, Ny6の加水分解をより促進した.
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