低分子液晶分子のホモジニアス配列からホメオトロピック配列への分子配列遷移の急峻性は, ベンドとスプレイモードの弾性定数の比,
K3/
K1が小さいほど高くなる. 一方, 液晶の弾性定数は, 液晶分子自身の幾何学的形状や, 分子配列の近距離秩序性に影響される. 本研究では, ネマチック相を示す低分子液晶にスメクチック相をとりやすい側鎖型高分子液晶を添加し, 分子ラテラル方向の近距離秩序性を変化させた複合系について, 分子配列遷移の急峻性を検討した. 複合系の高分子液晶分率が増加するとともに, ネマチック液晶中のスメクチック的短距離秩序性が増加し,
K3/
K1の値が減少した. さらに, 液晶セルの電気容量の印加電圧依存性から評価される, 液晶分子配向の立ち上がり応答の急峻性が向上した. これらの結果は, 側鎖型高分子液晶の添加が, ネマチック液晶の電界応答挙動の改善に有効であることを示している.
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