p-アセトキシ安息香酸 (ABA) あるいは4-アセトキシフェニル安息香酸 (APBA) を芳香族高沸点溶媒中, 低濃度で脱酢酸重合を行うとポリ (
p-オキシベンゾイル) (POB) のウィスカー状結晶あるいはポリ (
p-オキシフェニルベンゾイル) (POPB) のフィブリル状結晶集合体が得られる. これら両モノマーをさまざまな割合で溶液共重合し, 生成物を得た. 仕込比による生成物の形態変化とその生成機構について検討を行った. その結果, 両側組成付近と中間組成では生成機構が異なっていることが分かった. APBAの割合が0~5 mol%または70~100 mol%の範囲で得られる結晶化物はそれぞれのホモポリマーの場合と類似したオリゴマーの結晶化により生成したと考えられ, またAPBAの割合が10~60 mol%の中間組成で得られる塊状物は, オリゴマーの液-液相分離を経由して生成したと考えられる. この塊状物が得られる組成範囲では, どの広角X線回折写真においても, 六方晶的な充填を示唆するただ1本の回折線のみが観察されたこと. また, モノマー仕込比と生成物中のモノマー残基組成の良い一致が, 高速液体クロマトグラフで確認できることから, 塊状物は液-液相分離を経由して生成することが支持される.
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