高分子論文集
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52 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 奥本 忠興, 松浦 元司, 小泉 順二, 堤 大輔
    1995 年 52 巻 9 号 p. 529-535
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    結晶性高分子同士のナイロン6と芳香族ポリアミド (MXD 6) 混合系の機械インピーダンス法による高温 (80℃) での損失係数 (η) はナイロン6/MXD 6の組成が80/20付近で最大を示すことがわかった. これに対しX線回折により求めた結晶化度はナイロン6/MXD 6のブレンド組成に関係なく一定であった. また動的粘弾性特性 (tanδ極大温度) からのガラス転移点 (Tg) は単調な加成性に沿った組成依存性を示した. しかしながら, 光散乱測定により本混合系の結晶の配向の相関距離はナイロン6単味が0.5μmに対してナイロン6/MXD 6が80/20付近で0.1μmとなり最も短かった. これらの結果から, 本混合系の成分ポリマーのナイロン6およびMXD 6はいずれも良好な配向相関を示し, 制振性能が劣るのに対し, ナイロン6/MXD 6ブレンドでは結晶の配向相関が乱れることにより制振性能が向上したと考えられる. すなわち, 整然とした配向配列を有するナイロン6では振動はあまり減衰することなく伝播されるが, 混合系では配列の秩序性が途切れた箇所で減衰し, 損失係数が大きくなったと考えられる.
  • 宮本 真敏, 林屋 晶子, 長谷川 淳
    1995 年 52 巻 9 号 p. 536-545
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    4H-3, 1-ベンゾオキサジンを新たに合成し, その開環重合反応を検討した. トリフルオロメタンスルホン酸メチル開始剤による重合は非求核性の溶媒中で容易に進行し, 高収率でポリ [(N-ホルミルイミノ) -1, 2-フェニレンメチレン] を与えたものの, 分子量は低く, 10量体前後であった. 反応条件を変えても高分子量ポリマーを得ることはできず, 重合が連鎖移動を伴っていることが示唆された. 2-メチル-4H-3, 1-ベンゾオキサジンと2-フェニル4H-3, 1-ベンゾオキサジンのカチオン開環重合も検討したが, これらの重合は副反応を併発し, 複雑な構造のオリゴマーを生成したのみであった.
  • 宮本 真敏, 原田 豊
    1995 年 52 巻 9 号 p. 546-552
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    2-ピロリジノ-2-オキサゾリン (1a) および2-モルホリノ-2-オキサゾリン (1b) のトリフルオロスルホン酸メチル (MeOTf) 開始剤による重合系にヨウ化リチウムあるいは臭化リチウムを添加し, 1の重合を検討したところ, ハロゲンイオン触媒による二重異性化重合が通常の異性化重合に併発して起こり, 無機塩の量によりポリマーの構造を連続的に変化させることができた. 特にヨウ化リチウムを添加した場合においては少量の添加でポリマー組成が大きく変化した. これはヨウ素イオンの優れた脱離基としての特性によるものと推測される.
  • 青柳 功, 三村 康也, 田沼 繁夫, 井上 幸夫
    1995 年 52 巻 9 号 p. 553-558
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    アルカンスルホン酸ナトリウム (SAS) 系帯電防止剤による帯電防止機構を明らかにする一環として, ポリプロピレンシートの表層における帯電防止剤の分布と帯電防止効果の関係を練り込んだ場合と塗布した場合についてXPS (X線光電子分光法) を用いて比較検討した. 表面から深さ数nmにかけてのSのCに対する強度比は, 練り込み型では深くなるにつれて減少したが, 塗布型では深さ約3 nmまでほぼ一定であった. また, 塗布型の表面抵抗率は約108 Ωで飽和し, この時の深さ約2 nm以内のSのCに対する強度比は約0.10であり, 表面はSAS分子で覆われていると推測された. そして, 塗布型, 練り込み型を問わず, 表面抵抗率は, 深さ約2 nm以内のSのCに対する強度比, すなわち, SAS濃度と相関することが明らかになった.
  • 浅田 啓介, 城戸 淳二, 倉本 憲幸, 長井 勝利
    1995 年 52 巻 9 号 p. 559-566
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    N-アルキル置換アクリルアミド系ポリマーのポリスチレン (PS) ラテックスに対する分散安定化効果を電解質の臨界凝集濃度から評価し, ポリマーの特性との関係について検討した. アクリルアミド系ポリマーは親水性の高いポリジメチルアクリルアミドでも水中でのPSラテックスの電解質に対する分散安定化効果を示した. また, 疎水性の高いモノマー単位を含有するポリマーほど高い分散安定化効果を示す傾向がみられた. 分散安定性に対するポリマー濃度依存性はポリマー濃度の増加に伴い安定化効果が高くなった. 分散安定化効果に対するポリマー濃度依存性はホモポリマーよりも疎水性のコモノマー単位を含有するコポリマーの方が大きいことが分かった. また, 分散安定化効果がポリマーの飽和吸着量と関係があることが認められた.
  • 柴田 篤史, 古川 睦久
    1995 年 52 巻 9 号 p. 567-575
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    p-キシリレンジイソシアナート (PXDI) 系ポリウレタンエラストマー (PUE) の特性およびモルホロジーを, p-フェニレンジイソシアナート (PPDI) 系, m-キシリレンジイソシアナート (MXDI) 素, 4, 4′-ジフェニルメタンジイソシアナート (MDI) 系PUEと比較検討した. ポリオールにはポリエーテル系ポリオールであるポリ (オキシテトラメチレン) グリコール (PTMG), 鎖延長剤にはジオール系である1, 4-ブタンジオール (BD) を用い, プレポリマー法によりPUEを合成した. 合成したPUEの密度, ゲル分率, 膨潤度, 硬度, 熱的性質, および力学的特性を測定した. また広角X線回折 (WAXS), 走査型電子顕微鏡 (SEM) および偏光顕繕鏡を用いてモルホロジーの観祭を行った. その結果, 分子対称性に優れたジイソシアナートであるPXDI系, PPDI系では他の系に比べバードセグメントの凝集力が増し, 力学特性および耐熱性が向上することを明らかにした.
  • 臼杵 有光, 長谷川 直樹, 岡田 茜, 倉内 紀雄
    1995 年 52 巻 9 号 p. 576-581
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    今までに, ナイロン6中に層状粘土鉱物が均一に分散したナイロン6-粘土ハイブリッド (NCH) を開発した. NCHは2次元の粘土層とナイロン6が結合した特異的な構造をしている. 今回, 重合の次元に着目し, 点 (0次元) からナイロン6を重合した星型ナイロン6を合成し, その特性を調べた. 芳香環から3本, 4本ナイロン6を重合させた星型ナイロン6は, 直鎖状のナイロン6と比較し, 引張強さ, 弾性率はほぼ同じであった. つまり力学的性質は1本鎖当たりの分子量によらず, 分子全体の分子量で決まることがわかった. 同様に, 溶融粘度は分子鎖の本数が多いほど低下することがわかり, 4本鎖のナイロン6は直鎖状のナイロン6の約1/10であった. これは星型ナイロン6では, 1本鎖当たりの分子量が低下することにより分子間の絡み合いが減少するためと考えられる. また分子鎖の本数が多いほど, ナイロン6の融点が低下し, かつ融解熱が減少することがわかった.
  • 見手倉 裕文, 大賀 則夫, 安井 茂男, 小関 健一, 山岡 亜夫
    1995 年 52 巻 9 号 p. 582-587
    発行日: 1995/09/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    フォトポリマー用増感色素の開発を目的として, 新規な分子内電荷移動型スチリル系色素を合成し, その光増感特性について検討した. これらの色素は可視レーザー光記録用波長 (488 nm) で高い吸収効率を示した. また, 酸化電位が低いので光重合開始系において, 既知の色素に比べて高い増感効果を示した. そしてこの色素は溶剤に対する溶解度が高いので可視アルゴンレーザー用増感色素として有望であることが分かった.
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