高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
54 巻, 10 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 上田 充
    1997 年 54 巻 10 号 p. 579-586
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    重縮合反応による構造規制に関する研究の一環として, 非対称モノマー (XabX) と対称モノマー (YccY) および非対称モノマー間の直接重縮合反応による一連の定序性ポリーマの合成を行った. 定序性を付与する方法として速度論的規制, すなわち, モノマーの反応性の差を利用した. 具体的には, 非対称モノマー (XabX) (YcdY) からの定序性ポリマー- (bacd) n-の合成, および3種類の非対称モノマー (XabY), (YcdY), (ZefZ) からの定性ポリマーの合成を行い, 多段階法による定序性を有する基準ポリマーのスペルトルとの比較により目的の定序性ポリマーが得られていることを示した. また, 定序性ポリマーの設計指針についても述べた.
  • 早野 重孝, 金城 永泰, 増田 俊夫
    1997 年 54 巻 10 号 p. 587-595
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    MoOCl4系触媒の第2成分 (有機金属共触媒) を検討することにより, [o- (トリフルオロメチル) フェニル] アセチレン (o-CF3PA) などの置換アセチレンのリビング重合に有効な新規触媒の開発を試みた. MoOCl4-n-Bu4Sn-EtOHがリビング重合触媒となることは以前より知られている. それに対し, 新規MoOCl4系3成分触媒MoOCl4-Et3Al-EtOH, MoOCl4-Et2Zn-EtOH, およびMoOCl4-n-BuLiが置換アセチレンのビング重合を誘起することを見いだした. 重合溶媒としてはアニソールが非常に有効であり, 触媒組成としてはMoOCl4: Et3Al: EtOH=1: 1: 4, MoOCl4: Et2Zn: EtOH=1: 1: 3, およびMoOCl4: n-BuLi=1: 1が適当である. 興味深いこと, MoOCl4-n-BuLi (1: 1) 触媒はリビング重合の達成にEtOHの添加を必要としない. これらの重合がリビング重合であることは多段階重合により確認し, 0~30℃の領域で温度依存性を検討した. 従来のMoOCl4-n-Bu4Sn-EtOH触媒をアニソール中で用いた場合, 開始剤効率は40%と大きく向上する. これらの触媒系により生成するポリ (o-CF3PA) の分散比は1.02~1.03と非常に小さく, 一方開始剤効率は用いた共触媒の種類により2~40%と大きく異なる. 本研究で開発された触媒を用いることによりo-CF3PAとo-Me3SiPAからブロックコポリマーを合成することが可能である.
  • 伊藤 嘉浩
    1997 年 54 巻 10 号 p. 596-607
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    精密重合の一つとしてバイオテクノロジーを用いた方法論について我々の研究例を紹介しながら概説した. まず, 従来の遺伝子工学を用いた例として酵素のカルボキシル基末端に長さの決まったポリプロリンを導入し, 疎水性を変化させ, 酵素機能を改変した例を述べた. 次に, 遺伝子工学を拡張したタンパク質工学として, 非天然アミノ酸をタンパク質に組み込むためのミスアシル化tRNA法について最新の研究を含み概観した. 最後に, 酵素重合の一つ, 重合酵素連鎖反応 (Polymerase Chain Reaction, PCR) 法を用いた新しい精密機能分子の合成・探索法である進化分子工学についてまとめ, 非天然核酸を用いた精密酵素重合への展開について述べた.
  • 前田 勝浩, 岡本 佳男
    1997 年 54 巻 10 号 p. 608-620
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    アキラルな芳香族イソシアナートを光学活性なアニオン開始剤を用いて重合させ, 開始剤由来の光学活性基を末端に有するポリ芳香族イソシアナートを合成し, その旋光性, CDスペクトルより生成ポリマーの主鎖構造について検討した. 生成ポリマーはいずれも開始末端に導入された光学活性基から予測されるよりもはるかに大きな旋光性を示した. 特に, リチウムアミドを開始剤に用いた場合には非常に大きな旋光性を示し, 主鎖のアミド領域に明確なCD吸収を示すポリマーが得られた. これまで主鎖の剛直性に欠けランダムコイルに近いと考えられていた芳香族イソシアナートのポリマーも, 溶液中でらせん構造を有していることが示された. さらに, 開始末端に光学活性基を有する芳香族イソシアナートのオリゴマーを合成し, 重合度ごとに分離を行って, それぞれの旋光度を比較することにより芳香族イソシアナートのポリマーのらせんの持続長について詳細な検討を行った. また, フェニル基上に光学活性な置換基を導入した芳香族イソシアナートを合成し, アキラルなアニオン開始剤を用いて重合を行い, 生成ポリマーの旋光性などについて検討を行った. その結果, 一方向巻きのらせん構造を有するポリマーが得られ, ポリマーが不斉識別能を有していることが明らかになった.
  • 森本 稔, 重政 好弘
    1997 年 54 巻 10 号 p. 621-631
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    N-アセチル-β-D-グルコサミン (GlcNAc) とβ-D-グルコサミン (GlcN) のヘテロ共重合体であるキチン, キトサンの1) 脱アセチル化度 (DDA) の決定法, 2) 共重合様式, 3) DDAと生物活性との関係について検討した. IRスペクトルから, 定量用特性吸収として1560cm-1のアミドII吸収と内部基準吸収として1070cm-1あるいは1030cm-1のCO伸縮振動吸収との強度比をとることによりDDAが精度良く求まることを示した. また, 均一系および不均一系での脱アセチル化およびN-アセチル化反応で得られるキチン, キトサン中のN-アセチル基の分布を硝酸脱アミノ化法により検討し, いずれの場合もGlcNAc残基の共重合様式はランダム分布であることを明らかにした. さらに, DDAと抗菌性および多形核白血球活性化能との関係について検討し, いずれの生物活性もDDAに大きく依存することを明らかにした.
  • 樋口 昌芳, 平尾 俊一
    1997 年 54 巻 10 号 p. 632-640
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    π-共役系高分子の可逆的レドックス特性に基づいた合成金属触媒システムを構築した. ポリアニリンやポリピロールを触媒として, 酸素雰囲気下, ベンジルアミン類, フェニルグリシン, 2, 6-ジ-t-ブチルフェノールの脱水素酸化が進行した. プロトン酸ドーピングにより触媒活性が制御された. 定電位におけるin situ紫外可視スペクトル測定から, ポリアニリンの円滑な酸化還元プロセスにおいてプロトン酸ドーピングが不可欠であることが判明した. π-共役系高分子と遷移金属からなる多核錯体を触媒に用いた合成金属錯体触媒システムを設計した. これらの錯体では, 共役鎖を介した遷移金属間の電子的相互作用が機能すると考えられる. ポリアニリンと塩化銅 (II) や塩化鉄 (III) からなる錯体は脱水素酸化反応において, 高い触媒活性を示した. この触媒システムでは, 遷移金属が関与した酸化還元サイクルが形成されている. さらに, 遷移金属触媒反応において, ポリアニリンやポリピロールはレドックス活性配位子としても機能することが明らかになった.
  • 安田 源, 井原 栄治, 足立 芳史, 田中 浩二, 関谷 光二, 田中 基巳, 日戸 祐
    1997 年 54 巻 10 号 p. 641-648
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    非メタロセン型希土類金属錯体 [(SiMe3) 3C] 2Ybを重合開始剤としてメタクリル酸メチルの重合行うと高分子量で単分散状態のアイソタクチックポリマーが定量的に得られた. このポリマーを, メタロセン型 [SmH (C5Me5) 2] 2を用いて合成した高分子量単分散シンジオタクチックポリ (MMA) と合することにより, ステレオコンプレックスを得ることができ, 融点230℃のポリマーを合成することに成功した. またハーフサンドイッチ構造の (C5Me5) La [CH (SiMe3) 2] 2を用いると, スチレン, アクリロニトル, アルキルイソシアネートに対し良好な活性が有ることが判明した. さらにシクロペンタジエニル基とベンジル基を有するSm錯体, シクロペンタジエニル基とアセチレン基およびピリジン基を有するSm錯体を合成し活性を調べた. その結果, これらの錯体は単独でエチレンの重合に対して高い活性があることがわかった. また種々のトリフェニル希土類錯体を新たに合成したが, エチレンに対しては全く活性がなく, メタクリル酸メチルに対しては活性が見られた.
  • 青井 啓悟, 堤内 要, 岡田 鉦彦
    1997 年 54 巻 10 号 p. 649-660
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    リビング重合法とデンドリマー段階的合成法に基づく複合糖質高分子の精密合成について, 分子設計概念と一連の合成例を2-メチル-2-オキサゾリン, グルコース誘導体またはN-アセチル-D-グルコサミン誘導体置換アミノ酸N-カルボキシ無水物 (GlycoNCA, 5a, 5b) のリビング重合系, およびポリ (アミドアミン) デンドリマー (19) を用いた場合について示した. 糖誘導体を開始剤とするリビング重合, 糖誘導体によるリビング重合の停止, 糖誘導体モノマーのリビング重合により, 置換数を限定した糖分子の高分子鎖への導入が可能となり, 機能素子としての糖質をもつマクロモノマーおよびブロック共重合体の構造制御合成を行った. 糖質マクロモノマーからは側鎖の鎖長が整った複合糖質高分子が得られた. Divergent法により合成されたデンドリマー19を反応性高分子として用い, 糖質化合物 (ラクトノラクトン, マルトノラクトンおよびGlycoNCA 5) との高分子反応により, 球状の糖置換デンドリマー (シュガーボール (Sugar Balls)) を合成した. さらに, デンドリマー19を多官能性高分子開始剤として用いた5のリビング重合系を検討し, オリゴ糖ペプチド置換デンドリマーを合成した. この“放射成長重合 (Radial-Growth Polymerization (RGP)) ” は, 成長反応の進行方向ベクトルが放射状であり, 動的な秩序性が高いため, デンドリマー/線状高分子ブロック共重合体 (ABn型 “星型デンドリマー”) を与える一般的な高分子合成法としても重要である.
  • 畑田 耕一, 北山 辰樹, 右手 浩一, 西浦 崇文
    1997 年 54 巻 10 号 p. 661-673
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    超臨界流体クロマトグラフィーを用いて, 立体特異性リビング重合で合成した末端に官能基を有するイソタクチックならびにシンジオタクチックポリ (メタクリル酸メチル) の均一ポリマーを調製した. 得られた反応性均一ポリマーをビルディングブロックとして, ステレオブロック, ブロック, 星形, 櫛形などの均一高分子構造体を構築し, その物性の評価を行った.
  • 江 東林, 貞許 礼子, 富岡 伸之, 相田 卓三
    1997 年 54 巻 10 号 p. 674-683
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    Convergent法を利用して, ポルフィリンをコアとする空間形態が規制された一連のデンドリマーポルフィリン錯体を分子設計した. 大きなデンドリマー組織に内包された鉄ポルフィリン錯体はヘモグロビンやミオグロビンのように, 酸素分子を可逆的に吸脱着し, 水が存在しても, 酸素捕捉錯体は極めて長寿命であった. また, 一酸化炭素中においてもカルボニル化を受けにくく, 50時間という長い半減期を示した. チトクロムcモデルとして分子設計したアニオン性表面を有する水溶性デンドリマー亜鉛ポルフィリン錯体は, 水中においてメチルビオロゲンのようなカチオン性電子受容体を表面に捕捉し, 空間的に分離した電子供与体-受容体系超分子錯体を形成した. これを光励起すると, 2.6×109s-1の速度定数でデンドリマー組織を通した長距離光誘起電子移動が起こった.
  • 覚知 豊次, 上坂 貴洋, 小幡 誠, 横田 和明
    1997 年 54 巻 10 号 p. 684-695
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    環化重合はビニルモノマー単位の二連子に相当する環化単位の構造を制御できるので, 不斉重合の有効な手段になる. そこで, L-スレトール, α-D-グルコース, D-マンニトールの3種の単糖類をテンプレートに用いて, ラジカル環化共重合における主鎖への不斉誘導について検討した. これらのテンプレートから導いたビス (p-ビニルベンゾエート) モノマー (1a~c) (M1) とスチレン (M2) との共重合を行い, 得られたコポリマー (2a~c) をポリ [(メチル4-ビニルベンゾエート) -co-スチレン] (3a~c) へ変換した. コポリマーは光学活性であり, キラリティーの源は孤立したM1環化単位であった. この環化単位の絶対配置を励起子キラリティー法を用いて決定した. R, R-配置をもつテンプレートは分子内環化の過程でそのキラリティーをポリマー主鎖へ転写し, S, S-ラセモ環化単位を形成した. S, S-配置をもつテンプレートはR, R-ラセモ環化単位を与えた. 非環式化合物のテンプレートである (2S, 4S) -2, 4-ペンタンジオールは環状テンプレートのD-マンニトールやL-スレイトールよりも不斉誘導には効果的であった. (2S, 4S) -2, 4-ペンタンジイルテンプレートは (S) -1, 3-ブタンジイルテンプレートより不斉誘導の効率が2倍良かった. これらテンプレートから導いたモノマー間のCDスペクトルの相違は最も安定な配座とエネルギーレベルの計算から説明できた. また, 環化共重合における不斉源を分子力学と半経験的分子軌道法を用いて確認した. L-スレイトールから導いたビスメタクリレートモノマー (4a) (M1) とスチレンの共重合では同じように孤立したM1単位がキラリティーの源であった. これに対して, D-マンニトールからのビスメタクリレートモノマ (4b) (M1) とスチレンとの共重合では新たなキラリティーが孤立M1単位よりはむしろM1二連子によっ誘起されると結論した.
  • 松本 幸三, 三浦 裕文, 山岡 仁史
    1997 年 54 巻 10 号 p. 696-701
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    含ケイ素両親媒性ブロックコポリマーであるポリシラブタン-block-ポリビニルアルコールの合成を行った. まず, 3-リチオベンズアルデヒドジメチルアセタールを開始剤として1, 1-ジメチルシラシクロブタンのアニオン開環重合を行い末端アセタール型ポリ (1, 1-ジメチルシラブタン) を合成した. 次に, 加水分解により得られる末端アルデヒド型ポリマーをマクロ開始剤としてt-ブチルジメチルシリルビニルエーテルをアルドールグループトランスファー重合により重合させ, ポリ (1, 1-ジメチルシラブタン) -block-ポリ (t-ブチルジメチルシリルビニルエーテル) を合成した. 得られたブロックポリマーのシリルエーテル部分を加水分解することでポリ (1, 1-ジメチルシラブタン) -block-ポリビニルアルコールを合成した.
  • 宮本 真敏, 島倉 將和, 筒井 耕二, 青井 啓悟, 木村 良晴
    1997 年 54 巻 10 号 p. 702-709
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    官能基を有する6種の環状シュードウレア類 (1) を新規に合成し, そのスルホン酸エステル開始剤による異性化開環重合とハロゲン化アルキル開始剤による二重異性化重合を行い, 重合に及ぼす置換基の効果を検討した. これらのモノマーは4位に置換基を有するピペラジン環 (1b-e) あるいはピペリジン環 (1f, g) をもつ環状シュードウレア類であり, 導入した置換基が二重異性化重合の際のハロゲン化アルキル型生長種に隣接基関与可能であり, 置換基がバレロイル基の場合 (1d) には生長末端の安定化による重合のリビング性の向上を, エトキシカルボニル基 (1e) の場合には逆に破壊的連鎖移動をもたらした. また, エステル基 (1f), 水酸基 (1g) が置換したモノマーは酸性の水素の存在のため, 異性化開環重合と二重異性化重合の両者において連鎖移動が起こりやすいことが判明した.
  • 畑山 猛, 鎌田 匡俊, 佐藤 敏文, 横田 和明, 覚知 豊次
    1997 年 54 巻 10 号 p. 710-715
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    1, 2: 5, 6-ジアンヒドロ-3, 4-ジ-O-メチル-D-マンニトール (1), L-イジトール (2), およびD-グルシトール (3) について, t-BuOKを用いたアニオン環化重合における重合反応性の比較を行った. 総括重合速度は1>3>2の順になった. それに対して, 連鎖移動反応の起こる頻度は2>3>>1の順であった. 1の重合に対する末端修飾反応は95%以上の高い効率で進行し, ポリマー末端にスチリル基およびオキセタニル基を有するマクロモノマー (7a, 7b) が合成された. この結果より1の重合のリビング性が確認された. 1の重合におけるt-BuOKの開始剤効率は0.55と低い値であった. これは, 開始剤の有機溶媒に対する溶解性が低いことに起因する. 18-クラウン-6-エーテル (18C6) を添加すると, 開始剤の溶解性が向上し, 1の重合においてモノマーと開始剤の仕込み比にほぼ等しい重合度をもつポリマーが生成した.
  • 横澤 勉, 豊泉 貴史, 林 弘二
    1997 年 54 巻 10 号 p. 716-722
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    テトラシアノエチレンと種々のビニルエーテルからシクロブタン付加物を合成し, それらのカチオン開環重合におけるリビング特性を検討した. n-ブチルビニルエーテルまたはメチルビニルエーテルから合成したシクロブタン付加物は, すでに報告したエチルビニルエーテルから得られるシクロブタン付加物と同様にエチルビニルエーテル酢酸付加体/ZnI2によって擬リビング的にカチオン開環重合が進行することを明らかにした. 官能基を有するビニルエーテルから合成したシクロブタン付加物の同触媒系によるカチオン開環重合では, 2-メトキシエトキシビニルエーテルから合成したシクロブタン付加物が擬リビング的に重合することを見いだした.
  • 山田 文一郎, 鴻巣 修
    1997 年 54 巻 10 号 p. 723-730
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    α- (ベンジルチオメチル) アクリル酸エステルの付加開裂型連鎖移動による不飽和末端基の定量的導入と, その二重結合へのポリマーラジカルの付加による分岐ポリマーの生成について研究した. 一官能性連鎖移動剤を共存させてメタクリル酸メチル (MMA) の重合を行い, 得られたポリマーの存在下でスチレン (St) を重合すると, 不飽和末端基へポリ (St) ラジカルが付加して生成したラジカルがポリ (St) ラジカルとカップリングし分岐したブロックポリマーが得られる. 二官能性連鎖移動剤であるビス [2- (ベンジルチオメチル) アクリル酸] エチレンを用いてMMAの重合を行うと, 2個の置換アクリロイル基が付加開裂に関与するため架橋を起こすことなく, ポリ (St) ラジカルが付加できる二重結合を2個含むポリマーが得られる. このプレポリマーの存在下でStの重合を行い, 合計6本鎖のポリマーが合成できた. Stを過剰に使うためポリマー末端の二重結合は定量的に反応するが, ポリ (St) の副生は避けられずシクロヘキサンによる抽出で分離した.
  • 丸尾 直樹, 西野 憲和
    1997 年 54 巻 10 号 p. 731-737
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    デンドリティックポリリシン (DPK) の内部に多数のポルフィリンを層状に配置することは, 機能性原子団の集積の方法として興味深い. そこでDPKの合成過程で, 側鎖にポルフィリンを担持したリシンを用い, 3, 4, または5世代目にポルフィリンを導入した. DPKは全体として球状構造を有し, ポルフィリンの配向はランダムであると考えられた. しかし, CDスペクトルによってポルフィリンの配向状態を調べたところ, ジメチルホルムアミド (DMF) 溶液のトルエン希釈に伴って, トルエン含量が50%以上でSoret帯に励起子分裂型CDが認められた. 分裂強度はトルエン含量が増すほど大きくなり, ポルフィリン環1個当たり1.6×106deg・cmcm2・dmol-1に達した. このようなポルフィリンの配向化現象は, ペプチド鎖に対する良溶媒 (DMF) とポルフィリンに対する良溶媒 (トルエン) との関係でDPKが圧縮されることによって生じたと考えられる.
  • 橋爪 章仁, 梶原 篤, 藤井 弘文, 原田 明, 蒲池 幹治
    1997 年 54 巻 10 号 p. 738-745
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    アジン化合物 (RCH=N-N=CHR) の重合性をさまざまなアニオン重合開始剤を用いて検討した. アルキルアジン (R=CH3, C2H5, n-C3H9) の重合をブチルリチウムを用いて行った場合, モノマーは定量的に消費されるものの, オリゴマーしか得られなかった. これは, 活性アニオン末端がC=Nに対してα-位の炭素上のプロトンを引き抜くことによって起こる連鎖移動が原因であることがわかった. しかし, Grignard試薬を開始剤として用いると, 高分子量ポリマーが得られた. 得られたポリマーは, trans-1, 4-構造からなることが種々の分光学的な手法から明らかとなった. さらに, アルキルアジンの重合で観察された連鎖移動を抑制するため, トリフルオロアセトアルデヒドアジン (R=CF3) を合成し, その重合性を検討した. 予想に反して, n-BuLi, CH3MgI, CH3OK/18-crown-6, 1, 8-ジアザビシクロ [5.4.0] ウンデク-7-エン (DBU) からはオリゴマーしか得られなかった. しかし, トリエチルアミンのような有機塩基を開始剤として用いると重合し, 溶媒に不溶のポリマーが得られた. 分光学的な手法から, 得られたpoly (TFAcAz) は1, 2-構造からなることが明らかとなった. また, 今回得られたポリマーはいずれも高度に結晶性で, 280℃付近で完全に分解することがわかった.
  • 曽我 和雄, 大西 宏昇, 魚住 俊也
    1997 年 54 巻 10 号 p. 746-748
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    光学活性メタロセン触媒を用いていくつかの嵩高い置換基を有するオレフィンの重合を行った. その結果, 3-メチル-1-ペンテンや3-メチル-1-ブテンの重合体は旋光性を示すのに対して, 同様にα炭素に分岐をもつビニルシクロヘキサンの重合体は旋光性を示さなかった. これは, トルエン溶媒へのポリマーの溶解性を反映しているものと考えられる. 一方, 直鎖状オレフィンでも, 1-エイコセンのように長鎖置換基を有する場合には比較的大きな旋光性を示すことがわかった.
  • 杉山 順一, 長畑 律子, Meenakshi GOYAL, 竹内 和彦
    1997 年 54 巻 10 号 p. 749-753
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ビスフェノールAビスクロロギ酸エステルを用いてビスフェノールA型大環状カーボナートオリゴマーを合成し, 環状二~五量体を単離精製した. それぞれの単独無触媒熱重合を検討したところ, 三, 四量体から重量平均分子量800000以上の高分子量ポリカーボナートが得られた. 環員数が小さいほど原料消費速度が速くなる傾向は, 開始反応効率の差に基づくものと推定した.
  • 佐田 和己, 宮田 幹二
    1997 年 54 巻 10 号 p. 754-755
    発行日: 1997/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    コール酸アミドは種々のポリエチレングリコールと包接結晶を形成したが, コール酸は全く包接結晶をつくらなかった. コール酸アミドーポリエチレングリコール包接結晶では, ゲストである高分子は一次元的なホスト空間を貫通するかたちで包接されていた. コール酸アミドは低分子だけではなく, 高分子鎖をも包接することができることが明らかになった.
  • 1997 年 54 巻 10 号 p. i
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
feedback
Top