MoOCl
4系触媒の第2成分 (有機金属共触媒) を検討することにより, [o- (トリフルオロメチル) フェニル] アセチレン (o-CF
3PA) などの置換アセチレンのリビング重合に有効な新規触媒の開発を試みた. MoOCl
4-n-Bu
4Sn-EtOHがリビング重合触媒となることは以前より知られている. それに対し, 新規MoOCl
4系3成分触媒MoOCl
4-Et
3Al-EtOH, MoOCl
4-Et
2Zn-EtOH, およびMoOCl
4-n-BuLiが置換アセチレンのビング重合を誘起することを見いだした. 重合溶媒としてはアニソールが非常に有効であり, 触媒組成としてはMoOCl
4: Et3Al: EtOH=1: 1: 4, MoOCl
4: Et
2Zn: EtOH=1: 1: 3, およびMoOCl
4: n-BuLi=1: 1が適当である. 興味深いこと, MoOCl
4-n-BuLi (1: 1) 触媒はリビング重合の達成にEtOHの添加を必要としない. これらの重合がリビング重合であることは多段階重合により確認し, 0~30℃の領域で温度依存性を検討した. 従来のMoOCl
4-n-Bu4Sn-EtOH触媒をアニソール中で用いた場合, 開始剤効率は40%と大きく向上する. これらの触媒系により生成するポリ (o-CF
3PA) の分散比は1.02~1.03と非常に小さく, 一方開始剤効率は用いた共触媒の種類により2~40%と大きく異なる. 本研究で開発された触媒を用いることによりo-CF
3PAとo-Me
3SiPAからブロックコポリマーを合成することが可能である.
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