ブロックポリマータイプの非水分散ポリマー〔NAD〕からなる熱可塑性塗膜の性能について検討した. 不溶ポリマー部分のモノマー組成,
Tgの異なる4種類のNADについて促進耐候性試験を測定し,
Tgが56℃のNADをべースポリマーとする塗膜はほぼ初期の光沢を保持するが,
Tgが37℃, 19℃と低くなるにつれ光沢保持率が低下する傾向を示した.
Tgが85℃の場合も光沢保持率が低かった. 不溶ポリマー部分の
Tgが低い場合, ポリマー組成に三級水素を有するアクリル酸ブチルが多く, またポリマーの分子量も低いため, 紫外線によるポリマー分子鎖切断により劣化に至るまでの時間が短くなると推定された. また不溶ポリマー部分の
Tgが高すぎると塗膜の抗張力が低く密着性も劣り, 環境変化によりクラックの発生, 塗膜の剥離が生じることがわかった. またNADポリマーフィルムのガラス側界面の水に対する接触角の測定から, 不溶ポリマー部分が極性の高い被塗面に配向しやすく, ぬれ性が高く密着性に寄与するが, 不溶ポリマー部分の
Tgが85℃まで高くなると十分に流動せず, ぬれ性が低く密着性が低下することがわかった.
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