モデル化合物にポリ (ε-カプロラクトン) (PCL) を用い, 高結晶性オリゴユニットを保持したポリマー鎖から構成される架橋エラストマーの結晶性について検討を行った. 種々の平均連鎖数 (
n) および分子量分布 (
Mw/Mn) をもつヒドロキシル基末端PCLオリゴマーを合成したのち, 比較的かさ高い置換基を有す4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート (MDI) と反応させた. ついで, 得られたオリゴユニット重付加体を過酸化物架橋させ, エラストマーを得た. このエラストマーの結晶性は,
nの減少により低下し, また
Mw/Mnを狭くすることによっても低下した. これはエラストマーはその構成成分であるオリゴユニットの性状に大きく影響されることを示唆しており, オリゴユニットの結晶性を制御することにより, エラストマーの微妙な結晶性の制御が可能であることが明らかとなった.
Mw/Mnを狭くしたうえで
nを制御することにより, 優れた伸長結晶性と良好なエントロピー弾性を両立させるエラストマーの設計が可能となった. 得られたエラストマーは補強充てん剤を添加しない純ゴム過酸化物架橋系においても20MPa以上の強度を示した.
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