高分子論文集
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56 巻, 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 谷口 拓未, 佐藤 紀夫, 松下 光正, 高橋 秀郎, 鈴木 敏之, 星野 雄司, 安部 成昭
    1999 年 56 巻 11 号 p. 709-716
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    熱硬化性ポリウレタンのケミカルリサイクルの生産性を向上させるために, 二軸反応押出機を用いた連続的な加水分解処理を検討した. せん断変形下で内圧を保持しながら加水分解反応を行うことによって短時間での均質な分解処理が可能となり, 処理温度によって微粉状, 粘ちょうな可塑体状そして液状の分解生成物が得られた. これらの分解生成物は, 分解によって生成したポリオール成分に, 架橋構造を維持した微粒子状成分が分散した状態であり, 分解点が少ないために低いアミン価を示し, ポリウレタン原料に添加して再利用した場合に良好な成形性および力学特性を示した.
  • 谷口 拓未, 佐藤 紀夫, 松下 光正, 高橋 秀郎, 鈴木 敏之, 星野 雄司, 安部 成昭
    1999 年 56 巻 11 号 p. 717-724
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    熱硬化性ポリウレタンのリサイクルを目的として, ポリウレタンとポリプロピレン (PP) とのブレンドを検討した. この際に, ブレンド過程でポリウレタンを化学的に分解して架橋密度を低下させ, 混練力によって微細化することにより, ポリウレタンをPP中に均一に分散させる技術を開発した. 得られたブレンド材は延性を示し, PP単独, あるいはポリウレタンを分解反応を伴わずに充てん材として単純にPPにブレンドした場合と比較すると, 引張破断伸びおよび耐衝撃性が著しく向上した. このようにして得られたブレンド材は, ポリウレタンの分解によって生成した低分子量成分を含むために若干の揮発成分を伴っていたが, ブレンド過程でポリウレタンの再結合試薬を添加した場合には, 低分子量化した成分が再結合して網目構造を形成するため, 揮発成分を抑制することが可能であった.
  • 浅井 清次, 林 保平, 井上 眞一, 小嶋 憲三, 岡本 弘
    1999 年 56 巻 11 号 p. 725-731
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリエステル系ポリウレタンエラストマー (PUE) に対し, 電場を印加することにより誘起される電場と同じ方向に生じる収縮ひずみ (電歪) の挙動について実験的に検討した. ポリ (3-メチルペンタメチレンアジペート) (PMPA) と4, 4′-ジフェニルメタンジイソシアナート (MDI) あるいは2, 2, 4-および2, 4, 4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートの等モル混合物 (TMHDI) とを用い, ジイソシアナート/PMPAモル比=2で得られたプレポリマーをトリメチロールプロパン (TMP) と反応させPUEを合成した. MDI系PUEとTMHDI系PUEとを比較すると, THMDI系PUEにより大きい電歪が観察された. また, プレポリマーのNCO当量数とTMPのOH当量数との比を1.0, 0.75, および0.67と変化させ, ウレタンセグメント中への極性を有するOH基の導入効果を検討したところ, ウレタンセグメント中へのOH基の導入数が1個であるTHMDI系PUE (当量比=0.67) が大きな電歪を示すことが明らかとなった. ポリエステル系PUEの電歪効果を増大させる手段として, エステルセグメントとウレタンセグメントとの相互作用を少なくすると同時に, ウレタンセグメントに極性基を導入しその転移領域開始温度を電歪測定温度以下にすることが非常に有効である.
  • 荒木 修, 吉沢 健, 青木 雄二, 瀧川 敏算, 升田 利史郎
    1999 年 56 巻 11 号 p. 732-737
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    下限臨界共溶温度 (LCST) 型高分子ブレンドであるポリメタクリル酸メチル/α-メチルスチレンーアクリロニトリル (PMMA/αMSAN) 共重合体ブレンド系の引張特性を単一相状態および相分離状態で調べた. 引張試験を行った温度は各試料のガラス転移温度より45℃低い温度である. 単一相ブレンド試料の初期弾性率-αMSAN組成曲線は上に凸になった. これはPMMAとαMSANが相溶したために, 高分子鎖が動きにくくなったためであると考えられる. PMMA/αMSAN (60/40) ブレンド試料を相分離させると初期弾性率は低下した. これは相分離試料内の体積分率が高いPMMA-rich相の影響が現れたことおよび界面部分で塑性変形が起こったことが原因であると考えられる.
  • 茂木 義博, 芹澤 洋之, 岡部 勝
    1999 年 56 巻 11 号 p. 738-745
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    エチレンープロピレン (EP) 共重合体/有機溶媒間の相互作用パラメーターχ12の値が大きく異なるような系から生成する数種類のゲルの架橋長ζ (エチレン単位数) を推算し, ζに及ぼすχ12の影響を調べた. また, EP鎖が元来有しているエチレン連鎖の平均連鎖長 (1次構造長) L (E) wを推算し, ζとL (E) wを比較した. χ12が大きくなるような系, つまり, より貧溶媒中で生成するゲルになるにつれ, ζ>L (E) wとなる傾向を示した. これに対し, 良溶媒に近づくにつれ, ζ≒L (E) wとなった. ζ>L (E) wという結果は, 溶媒がより貧溶媒になると, エチレン連鎖部分ばかりでなくメチル分岐も取り込んで架橋点を形成することを示唆している.
  • 椿原 啓, 島川 友徳, 林 光澤
    1999 年 56 巻 11 号 p. 746-748
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    エメラルディン塩基型のポリアニリン膜試料を0.05および0.5mol濃度の硫酸水溶液に浸漬し, ドーピングを施した. ドーピング反応は大略以下の順序で進むことがわかった. 最初は色変化で判定できるポーラロンの形成である. 次は硫酸イオンの膜中への侵入であり, これは膜の重量測定から推定できる. 最後は (ES-II) 構造の形成であり, 膜厚と導電率の増加をもたらす.
  • 椿原 啓, 須藤 晴樹, 林 光澤
    1999 年 56 巻 11 号 p. 749-752
    発行日: 1999/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    pH=1およびpH=2の硫酸水溶液でドープしたポリアニリン膜試料の導電率に及ぼす水分の影響について調べた. 低濃度 (pH=2) ドーピングでは, 含有する水分量によってポリアニリン分子鎖にプロトンが脱離, 吸着し, そのことが乾燥, 湿潤の初期過程の速い応答の原因になっている. 高濃度 (pH=1) ドーピングでは, 水分の吸収は結晶領域の寸法を拡大することによって導電率を増加させる. この構造変化のため, 導電率は最初の数分間ゆっくりとした変化を示す.
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