ポリエチレン (PE), ポリオキシメチレン (POM), ならびにポリオレフィンケトンの一つであるポリ-3-オキソトリメチレン (POK) を, それぞれの溶液からアルカリハライドの (001) へき開面上にエピタキシー結晶化させ, それらのモルホロジーを透過型電子顕微鏡 (TEM) で観察した. 基板上には, 各高分子ともに一般的には棒状結晶が生長し, それらの棒状結晶は, 基板結晶に対してある特定の軸方位関係 (配向) をとる. 明視野, 暗視野TEM観察, ならびに制限視野電子線回折実験により, これらの棒状結晶がいずれもedge-onラメラ晶であることが明らかになった. さらに, いずれの高分子においても, 1枚のedge-onラメラ晶内で高結晶性の領域 (結晶芯) の厚さが, ラメラ厚さに対して6割程度であることがわかった. このことから, これらの高分子の折りたたみ鎖単結晶は, 結晶芯と, その両側に分子鎖の折りたたみ部分を含む“やや乱れた”表面層からなると結論された. また, このような構造モデルは, POKのedge-onラメラ晶の高分解能TEM観察により分子レベルですでに可視化されている.
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