超臨界二酸化炭素 (scCO
2) を反応溶媒としたセルロースのカーバメート化反応をフェニルイソシアナートおよびシクロヘキシルイソシアナートを用いて検討した. セルロース0.5g (グルコース単位で3.1mmol) とフェニルイソシアナート2.0mL (18.4mmol) の反応1こおいて, 約50mLのscCO
2に対してピリジンの添加量が1mL前後で著しいセルローストリス (フェニルカーバメート) (CTPC) の収量の増加が見られた. また, 収量は臨界圧力付近 (7.5MPa) で最大となり, 8MPa以上では急激に減少した. セルロースとシクロヘキシルイソシアナートのscCO
2中での反応はピリジンの添加では進行しなかったが, セルロースを塩化リチウム (LiCl) /ジメチルアセトアミド (DMAc) 溶液とするとscCO
2中で反応しトリス (シクロヘキシルカーバメート) (CTCC) を生成した. LiCl/DMAcの使用量は3mL以下では低収量であったが, 4mLでは十分な収量が得られた. 圧力の変化による影響を調べた結果, CTPCの場合とは異なり, 臨界圧力近傍の反応と高圧力の反応の間で収量に大きな変化は見られなかった. 以上のように, セルロースのカーバメート化においてscCO
2を反応溶媒とすることで, 従来法と比較しピリジンの使用量をCTPC合成においては1/10に削減することが, CTCC合成においてはまったく使用せずに反応を行うことが可能であった.
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