酵素の水溶性を維持させながら, 酵素活性を低下することなく高い安定性を付与するために水溶性高分子による酵素の修飾を試みた. ここでは, 微生物由来トランスグルタミナーゼ (MTG) に活性化ポリエチレングリコール (PEG) を共有結合させて水溶性のPEG-MTGを調製した. MTGの酵素活性は低分子基質として
N-カルボベンゾキシ-L-グルタミニルグリシン (CGG) を選び, ヒドロオキサメイト比色法により求めた. PEG-MTGの酵素活性は遊離MTGの活性に対する相対値 (
RA) から比較評価した. その結果, PEG-MTGは遊離MTGに比べて,
RAの低下がほとんど認められない高い値を維持したが, 修飾酵素中におけるMTGの相対量が小さくなると
RA値がより小さくなった. 一方, PEG-MTGは遊離MTGに比較して熱および保存安定性の顕著な改善が認められた. pH依存性は, 基本的には両者間で大きな相違が認められなかったが, PEG-MTG至適pH領域が遊離MTGよりわずかに塩基性側にシフトした.
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