精製したパルプ粕 (Pulp) を相間移動触媒 (PTC) 存在下, 異なる反応条件で塩化ベンジルと反応させることにより, 種々の置換度 (DS) をもつベンジル化パルプ粕 (PBz) を合成した. 得られたPBzはDSが1.4以上のものではすべて
Tgや
Tmをもった. 置換基の疎水性や立体効果により, PBzのDSが高いほどその溶解性は向上し, 結晶性は低下した. DS=0.83, 1.78, 2.53のPBzおよびPulPの生分解性試験を0.1%セルラーゼ溶液 (0.1M酢酸緩衝液, pH55) 中, 37℃で行った結果, 加熱圧縮成型物 (ペレット), パウダーともにDSの上昇により生分解性速度は遅くなるが, 高置換度のPBzでも生分解性があることがわかった. 以上の結果により, PBzの生分解性材料としての応用の可能性が示された.
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