高分子論文集
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60 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 波多野 慎悟, 鬼村 謙二郎, 山崎 博人, 堤 宏守, 大石 勉
    2003 年 60 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    精製したパルプ粕 (Pulp) を相間移動触媒 (PTC) 存在下, 異なる反応条件で塩化ベンジルと反応させることにより, 種々の置換度 (DS) をもつベンジル化パルプ粕 (PBz) を合成した. 得られたPBzはDSが1.4以上のものではすべてTgTmをもった. 置換基の疎水性や立体効果により, PBzのDSが高いほどその溶解性は向上し, 結晶性は低下した. DS=0.83, 1.78, 2.53のPBzおよびPulPの生分解性試験を0.1%セルラーゼ溶液 (0.1M酢酸緩衝液, pH55) 中, 37℃で行った結果, 加熱圧縮成型物 (ペレット), パウダーともにDSの上昇により生分解性速度は遅くなるが, 高置換度のPBzでも生分解性があることがわかった. 以上の結果により, PBzの生分解性材料としての応用の可能性が示された.
  • 世取山 翼, 鈴木 嘉昭, 塚本 桓世, 岩木 正哉
    2003 年 60 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    生体内において経時的に分解吸収される生分解性高分子表面にイオンビーム照射することによる深さ方向の改質を利用し, 水溶液中にて自発的にはく離する薄膜の形成を目指した. さらに, イオンビーム照射することにより細胞接着性が付与されることを組み合わせ, 改質した表面に細胞を播種することにより細胞シートの形成を目指した. シート状ポリ乳酸にHe+, Kr+を加速エネルギー50, 100, 150keVにて, 照射量1×1014, 1×1015ions/cm2で照射した. イオンビーム照射試料を水溶液中に静置することにより自発的に薄膜を形成することに成功した. 薄膜表面は選択的細胞接着性を有し, 細胞シートおよびパターン化細胞シートの形成が可能であった. また照射するイオン種, 加速エネルギー, 照射量を変化させることで膜厚, はく離時間を制御することが可能であった.
  • 小川 俊夫, 山縣 敏博, 原 孝美, 大澤 敏, 吉田 安徳, 峯岸 敬一
    2003 年 60 巻 2 号 p. 64-70
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    オゾン劣化させた添加剤入りニトリルゴム (NBR) シートについて, 熱分解一ガスクロマトグラフィー-質量分析法 (Py-GC-MS) による成分分析を行い, オゾン劣化機構を考察した. オゾン劣化させたNBRシートのパイログラムには未劣化物と比較して3本のピークに大きな変化が見られたが, これらはいずれも老化防止剤由来の物質として同定できた. これらのうちキノリン系老化防止剤に着目し, オゾンによる減少量と力学的性質の関係について検討した. その結果, 本老化防止剤の残留率が50%以下に減少するとNBRシート表面層 (0.1mm) の機械的強度はゼロになることがわかった
  • 鈴木 望, 早川 葉子, 小野 茂之, 伊藤 眞義
    2003 年 60 巻 2 号 p. 71-77
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    シリカ充てんニトリルーブタジエンゴム (NBR) のバウンドラバー発現機構について検討を行った. NBRの分子量が同程度の場合, バウンドラバー量および, ゴム中でシリカが形成する凝集サイズはNBR中のニトリル含有率増加に伴い減少した. 赤外吸収スペクトル測定の結果, シリカ表面のシラノール基とNBR中のニトリル基との間に水素結合の存在が示唆された. このような水素結合の存在は, シリカ粒子が形成する凝集構造の発達を抑制し, その結果として, 凝集構造内部に取り込まれるフィラーゲル量が減少し, バウンドラバー量が減少すると考えた.
  • ウェルド部強度と難燃性の改良
    名取 至, 中橋 順一
    2003 年 60 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリアミド66 (PA66) と臭素化ポリスチレン (BrPS) アロイの調製とその特性について研究を行った. 無水マレイン酸 (MAH) が付加した臭素化ポリスチレン (MA-BrPS) は, 過酸化物の存在下においてBrPSとMAHの付加反応によって合成された. PA66/BrPSアロイの相溶化状態は, MA-BrPS中のMAH基の含有量によって大きく影響された. PA66/BrPSアロイから作製された試験片におけるウェルド部の引張強度 (TS) と引張伸度 (TE) は, PA66マトリックス中のMA-BrPS粒子の粒径をコントロールすることによって著しく向上した. PA66/BrPSアロイの難燃性も, ポリマーアロイ技術によって改良された. 組成を最適化したPA66/BrPSアロイは, 優れたウェルド部強度と難燃性を有する新しい難燃性PA66樹脂として提案される.
  • 高地 清弘, 谷口 竜王, 川口 正剛, 長井 勝利
    2003 年 60 巻 2 号 p. 84-91
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリウレタンを主鎖とし, 疎水性のアルキル鎖 (ドデシル基) と親水性のポリエチレングリコール (PEG) 鎖を側鎖とする櫛形高分子界面活性剤 (PUS) を新規に合成した. それらの水系での曇り点や界面活性能, ミセル形成能について検討した. 低ドデシル鎖含有量のPUSの水溶液は60~80℃に曇り点を示し, 高ドデシル鎖含有量のPUSでは100℃以下で曇り点を示さなかった. 本実験範囲内においては, 全側鎖に対するドデシル鎖の含有量が17mol%のPUSが界面活性において極大値を示し, ドデシル鎖含有量をさらに増大すると界面活性は低下した. また, PUSは臨界ミセル濃度 (CMC) 以上でミセル形成を示し, ドデシル鎖含有量の増大とともにCMCは低下した. 高ドデシル鎖含有量での界面活性の低下はPUSの空気/水界面への吸着よりも主にミセル形成が優勢になるためであると推測された.
  • 希土類金属触媒による環状共役ジエンの重合
    名取 至
    2003 年 60 巻 2 号 p. 92-94
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    希土類金属触媒による1, 3-シクロヘキサジエン (1, 3-CHD) の重合反応を研究した. ネオジウム (III) イソステアレート (Nd (ISA) 3) /変性メチルアルミノキサン (MMAO) /エチルアルミニウムセスキクロライド (EASC) 触媒システムでは, 1, 3-CHDの配位重合が進行した. 触媒活性は, Nd, Ce, Gd, Sm, Ybの順であった. これらの触媒システムは, 新タイプの高分子主鎖に六員環を有する炭化水素系ポリマーを開発する可能性を有している.
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