固化領域から溶融領域の広範囲における高分子材料の熱伝導率 (λ) の温度圧力依存性は, 成形加工におけるComputer Aided Bngineemg (CAE) にとって極めて重要なパラメーターである. 素熱抵抗モデルを用いたEiermannの理論によれば, 加圧による熱伝導率の増加率は等温圧縮率 (β) に比例しその比例定数 (
g) はBridgmanパラメーターと呼ばれ, 高分子の種類によらず5.25であるとされている. CAEにおいて熱移動の計算に重要なのは,
gの実測値とその温度依存性である. 本報では, 高密度ポリエチレン (HDPE) と低密度ポリエチレン (LDPE) について, 圧力0.1~150 MPa, 温度70~200℃の範囲で熱伝導率の温度・圧力依存性を測定し,
gの温度依存性を求めた. 溶融状態における
gは, HDPE, LDPEとも温度依存性は認められずどちらもほぼ3であった. しかし固化状態における
gは, Eiermannの理論における5.25よりも大きな値をとり, また大きな負の温度依存性が認められた.
gの実則値と理論値が異なる結果であったことの理由の一つに, 多くの欠陥が存在する実際の高分子に, Eiermannの理論解析では理想的な格子モデルを用いていることが考えられる.
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