高分子論文集
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61 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 伊藤 嘉浩, 山内 哲也, 大村 馨
    2004 年 61 巻 10 号 p. 501-510
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    マイクロアレイ型バイオチップの新しい作製方法として筆者らの開発してきた光固定化法を用いる方法をまとめた. 光固定化法を用いることによりさまざまな有機分子を同一の方法で容易に固定化でき, 固定化に用いるマトリックスに非特異的相互作用を抑制する高分子を用いることによりS/N比の高い測定が可能となった. さまざまなタンパク質・抗体や細胞を固定化して, タンパク質・抗体や細胞との相互作用を検討した. マイクロアレイ・チップは, 今後はゲノム, プロテオーム, セローム解析のような学術的な使用ばかりでなく, 臨床分析においても重要になるものと期待できる.
  • 水性ゲルのマイクロ・ナノ空間を利用したタンパク質固定化の新手法
    田丸 俊一, 浜地 格
    2004 年 61 巻 10 号 p. 511-522
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    超分子型セミウエットプロテインアレイとは, 小分子ゲル化剤が形成する水性ゲルを用いて, さまざまなタンパク質を基板上に固定化しアレイ化したものである. この手法は, 基板への固定化を目的としたタンパク質の修飾・改変は一切必要としない. また, 豊富な水分とともにタンパク質を固定化することから, タンパク質がもつ特有の構造および機能を損なうことなく基板上に固定化できる. この手法を用いて固定化された酵素・レクチンは, いずれも溶液中で観測されるものとほぼ同様の挙動を示し, この概念が酵素・酵素阻害剤・糖質などを超高効率に検出・評価する系の構築に有用であることが明らかになった.
  • 軒原 清史, 大山 貴史, 臼井 健二, 米村 耕一, 富崎 欣也, 三原 久和
    2004 年 61 巻 10 号 p. 523-532
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    電気泳動や質量分析による解析に代わる新規なハイスループット技術はタンパク質の機能解析には不可欠となっている. 筆者らは高感度で検出が可能な, 実用性のある新しい手法によるプロテインチップの開発を実施している. すなわち, 蛍光プローブで標識されたα-ヘリックスやループといった二次構造をとるペプチドを設計・合成し, これをアレイとしてタンパク質との相互作用を検出する手法である. ライブラリー構築, 標識, 2種のアレイヤーの試作, 固定化, 検出など, 製造という観点に重点をおき実用化を目指している. 最近, 筆者らはペプチドライブラリーと各種タンパク質による認識が蛍光強度パターンとして, 各タンパク質に特異的な縞模様として検出できることを見いだした. プロテインフィンガープリント法と名付けたこの手法を用いて次世代バイオチップの実用化を図ろうと考えている.
  • 山口 浩靖, 原田 明
    2004 年 61 巻 10 号 p. 533-540
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    優れた分子認識能を有する抗体の超分子形成を利用したバイオセンシングシステムを構築した. ターゲット分子に結合する抗体 (IgG) と対応する2価性抗原とを混合すると線状超分子が形成する. 表面プラズモン共鳴法 (SPR) を検出原理とするバイオセンサーにおいてこの超分子形成反応を利用するとターゲット分子の検出シグナル強度は定量的に2桁増幅できることがわかった. 抗体を固定したセンサーチップに3価性抗原と抗体を添加するとさらに応答シグナル強度は増大した. また抗体IgMを核に, そのIgMが結合する抗原分子を化学修飾した抗体IgGを分岐成分とする樹状抗体超分子を合成した. その樹状超分子は特異的にIgGの抗原分子に結合し, バイオセンサーのシグナル強度は抗体そのものを添加したときよりも6倍に増幅された. 抗体と金ナノ粒子のハイブリッド材料を用いるとさらに大きなSPRシグナル強度変化をもたらし, 酵素標識抗体測定法においても検出シグナルの増幅が観測された.
  • 佐々木 善浩, 山田 真希, 寺島 崇, 王 剣鋒, 橋詰 峰雄, 范 聖第, 菊池 純一
    2004 年 61 巻 10 号 p. 541-546
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    生体膜モデルとしての有機-無機ハイブリッドベシクル「セラソーム」を用いて, シグナル伝達機能を有する分子間コミュニケーションシステムを構築した. 頭部にトリエトキシシリル基と四級アンモニウム基をもつ二本鎖型のペプチド脂質から作製したセラソームは, 従来型の脂質二分子膜ベシクルよりも著しく高い構造安定性を有することが, 界面活性剤に対する耐性評価から明らかになった. このセラソームを基板に用いて, 人工受容体による化学シグナル認識の応答が, メディエータとしての金属イオンを介して酵素に伝達され, 酵素活性のオン・オフを制御できる分子デバイスを作製し, その機能を明らかにした. 人工受容体にアミノ基を有するステロイド誘導体, シグナルとしてピリドキサール5'-リン酸, メディエータに銅 (II) イオン, 化学信号増幅器として乳酸脱水素酵素を用いたセラソーム系において, 顕著なシグナル伝達機能が発現した.
  • 渡邉 順司, 石原 一彦
    2004 年 61 巻 10 号 p. 547-554
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    パイオマーカーとなる生体内分子を高感度に検出するために必要な酵素や抗体を固定化できる反応性の高い活性エステル基を有し, かつ生体膜類似表面構造を有するナノ粒子を創製した. このナノ粒子は表面に固定化された酵素や抗体によるマーカー分子の検出が行えると同時に, 非特異的吸着によるノイズレベルのベースラインを低くできるために高いS/N比を実現できる. 本報では, 調製したナノ粒子の基礎的な表面特性の解析とともに2種類の酵素を固定化した際の連続酵素反応における高感度化に関して検討した. その結果, 溶液中での酵素反応系に比較して, ナノ粒子上に固定化された酵素システムではより高い反応性を示すことが見いだされた.
  • 高井 まどか, 新橋 里美, 小川 洋輝, 長井 政雄, 石原 一彦, 堀池 靖浩
    2004 年 61 巻 10 号 p. 555-560
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    極微量な血液から日々の健康状態を診断する多項目同時測定ヘルスケアチップにおいて, グルコース測定に用いる血しょうは, 数十nL程度となる. このような微量な血しょう中の微量グルコース濃度を高感度・高精度に測定するためのマイクログルコースセンサーを創製した. メディエーターとして用いたフェロセン粒子を, 高密度に電極表面に分散させることにより電極間のバラツキを抑飼できた. またフェロセンの分散媒体としてポリビニル系樹脂を用いることで, 高濃度領域まで測定可能となった. 酵素固定化に用いたポリイオンコンプレックス層を多層化することにより固定化酵素量が増加した. これにより出力電流値が増大し, S/N比の高い分析が可能となった. またMPC-co-BMAポリマーにより被覆を行うことにより, タンパク質のセンサー表面への付着を抑制でき, 微量血しょう中のグルコース分析が可能となった.
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