高分子論文集
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61 巻, 2 号
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  • 臼倉 聡, 池田 唯一, 香西 博明
    2004 年 61 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    大型廃タイヤ, 小型廃タイヤを過酸化水素 (H2O2) /ギ酸混合溶液で酸化分解を行い, 酸化分解生成物の性状を特定するとともに, 各種定量を行い廃タイヤ中に含まれる化合物について検討した。その結果, 最適酸化分解条件は試料2.0gに対し, H2O210mL, ギ酸20mL, 60℃, 1時間ないし2時間であった. 得られた酸化分解生成物を, 赤外吸収スペクトル測定および各種定量を行ったところ, 酸化分解は, 廃タイヤ中のゴム分の二重結合が, H2O2/ギ酸系により生成される過ギ酸により酸化分解され, ヒドロキシル基やカルボニル基, カルボキシル基, 活性酸素, 硫黄を含む低分子量体であることを確認した. また酸化溶出せず残存するわずかのゴム質と高級脂肪酸を加熱処理して除去した残渣は, カーボンブラックであった.
  • 井上 幸彦, 佐藤 忠弘, 小林 篤史, 大谷 規隆
    2004 年 61 巻 2 号 p. 102-106
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    対イオンをドデシル硫酸イオンに交換したトリメチルアンモニオプロピル基を側鎖にもつアクリルアミドゲルの水/有機混合溶媒中での膨潤挙動を検討した. 水/アセトン混合溶媒中では, 溶媒のアセトン含有率を大きくすると, ある含有率で収縮したゲルが急激に体積増加する現象が観察された. さらに含有率が増大すると, ゲルは再収縮する傾向が見られた. その他の有機溶媒を用いたときも, 急激な膨潤を示す点が見られた. この急激な膨潤は, 有機溶媒を加えることによってゲル中に存在していたドデシル硫酸イオンの集合体が破壊されることによって引き起こされていることが示唆された.
  • 菊地 憲次, 上野 善彦, 岡谷 卓司
    2004 年 61 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    システイン-過硫酸カリウム系の酸化還元系開始剤によるアクリルアミドの水中でのラジカル重合にpHスタット法を適用して得た重合速度と重合中の水素イオンの生成速度について検討した. 反応機構の解析には数値計算法を適用した. 酸化還元系のラジカル開始反応には過硫酸カリウム (KPS), システインおよびアクリルアミド (AAm) からなる錯体, およびラジカル成長反応には成長ラジカルとアクリルアミドモノマーの錯体が重要な役割を果たしていることを明らかにするとともに, 重合速度に関するAAmの次数が1.8という異常はこの錯形成反応によることを明らかにした.
  • 高橋 淳, 渡部 秀樹, 中本 潤
    2004 年 61 巻 2 号 p. 114-121
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    二峰性のゴム粒子径分布を有するメチルメタクリレートーブタジエンースチレン樹脂 (MBS樹脂) の耐衝撃性と透明性を調査した.今回は, 大粒子径成分としてゴム変性MBS樹脂, 小粒子径成分として乳化グラフトを用いた場合の落錐衝撃強度を中心に評価した. その結果, ゴム粒子径分布の二峰性化により大幅な落錐衝撃強度の向上が見られたが, シャルピー衝撃強度とは傾向が異なった. 白化部の透過型電子顕微鏡 (TEM) 写真からは広範囲なゴム粒子の変形とボイドが観察され, クレーズは見当たらないことから耐衝撃性ポリスチレン (HI-PS) と異なる耐衝撃性発現メカニズムを有することが示唆された. また, ゴム粒子径分布の二峰性化により透明性の向上も見られた.
  • 桑原 敬司, 大島 賢治, 山内 健, 下村 雅人, 宮内 信之助
    2004 年 61 巻 2 号 p. 122-126
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    電解重合によって3-メチルチオフェン/チオフェン-3-酢酸 (3MT/T3A) コポリマー膜を作製し, 膜表面のカルボキシル基との縮合反応によりグルコースオキシダーゼ (GOD) を固定化した. コポリマー膜の導電率はT3A成分の含有量が少ないほど高い値を示し, GODの固定化量はコポリマー膜中のT3A成分の含有量が30%を越えるとほぼ一定となった. また, 共重合組成は固定化GODの活性に影響しなかった. GODを固定化したコポリマー膜をセンサーとして電流検知型のグルコース検出を試みた結果, グルコースに対する応答電流はコポリマー膜中のT3A成分の含有量が少ないほど高かったことから, 固定化GODの活性のみならず膜の導電率がセンサーの感度に大きく影響していることがわかった.
  • 吉元 昭二, 加藤 正樹, 大西 保志
    2004 年 61 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    代表的な導電性高分子であるポリピロールを, ポリビニルアルコール (PVA) およびポリ酢酸ビニル (PVAc) をマトリックスポリマーとして化学酸化重合法により作製した複合膜を用いてメタノールガス吸脱着による電気抵抗変化について調べた. 複合化するマトリックスポリマーを変えることによりポリピロール複合膜の表面形態が大きく異なる膜が得られることが顕微鏡写真からわかった. この複合膜のメタノールガス吸脱着による電気抵抗値の経時変化を測定したところ, PVAをマトリックスポリマーとした複合膜においては, 通常のp型半導体と同様, 電気抵抗値が上昇する現象がみられたが, PVAcをマトリックスポリマーとした複合膜では電気抵抗値が下降する現象がみられ, マトリックスポリマーの種類によりメタノールガス吸脱着による電気抵抗値の時間応答が反転する結果が得られた.
  • 下村 雅人, 富樫 良, 大島 賢治, 山内 健, 宮内 信之助
    2004 年 61 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    シランカップリング法によりマグネタイト微粒子表面に導入したメルカプト基とセリウム (IV) イオンとのレドックス反応でアクリル酸とアクリルアミドの共重合を開始させ, 共重合体をグラフトさせた. 次いで, この共重合体のカルボキシル基との縮合反応によりグルコースオキシダーゼをマグネタイト微粒子に固定化した. 固定化グルコースオキシダーゼの至適pHは遊離グルコースオキシダーゼの至適pH (4~5) とポリアクリル酸をグラフトさせたマグネタイト微粒子に固定化した場合の至適pH (7付近) との間の値となった. また, 至適pHはグラフト化した共重合体中のアクリル酸成分含有量が多くなるにつれてより塩基性側へ向かう傾向が見られ, これはマグネタイト微粒子表面に残存するカルボキシル基によって固定化酵素の近傍が局所的に酸性となることに起因するものと推察した. 一方, マグネタイト微粒子の水中でのゼータ電位と表面のカルボキシル基量との間には明確な相関が認められ, カルボキシル基による酸性化の効果が表面電位からも裏付けられた.
  • 大西 靖彦, 菊池 康男
    2004 年 61 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    DEAE-デキストランと核酸との複合体形成反応は実際の遺伝子デリバリーシステムにとって最初のステップとなり重要な要素反応である. DEAE-デキストランとRNAとの反応は収量の点からは理想域は中性域をまたぐpH5からpH10であり, 反応時間が長くなるにつれて複合体は密な状態になっていくことがわかったが, DNAに比較すると反応しにくい. この事実はRNAはDNAと異なり分子量が低いことやリボース部分の2位の炭素にヒドロキシル基が一つ多くあり水和性は大きいので複合体の沈殿を生じにくいことに起因している. RNAベクターとしての細胞にたいする形質交換効率の点から考えると最適な反応時間はさらにin vitroな試験が必要となるが, 今回の実験よりRNAベクターとしての形質変換効率の向上にはこれら反応時間やpH条件が重要であることがわかる.
  • 佐藤 栄治, 高橋 辰宏, 小山 清人
    2004 年 61 巻 2 号 p. 144-148
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    気相成長炭素繊維 (Vapor-grown Carbon Fiber, VGCF) を簡便な方法で分散させる方法を見いだし, これを用いて今まで報告のほとんどない混合前後におけるVGCFの長さ変化を測定した. ここではVGCF (昭和電工 (株) 製) を用いて, かさ密度を大きくする処理をしたVGCF, ポリカーボネートと溶融混合したVGCFの長さ測定をSEM観察により行った. VGCFはかさ密度を大きくする処理過程や溶融混合過程において切断され, 平均長さはそれぞれ6.7μmから3.9μm, 3.0μmとなったことを本研究で明らかにした
  • 山邊 崇史, 山本 統平
    2004 年 61 巻 2 号 p. 149-151
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    新規親水性の架橋性高分子を合成することを目的とし, ポリエチレングリコール構造を架橋部として導入したポリビニルアルコール (PVA) を合成した. 硫酸を脱水触媒として用いてPVAと両末端にカルボキシル基を有するポリエチレングリコールを結合したPVA系の架橋ポリマーが形成された. 高分子量のポリエチレングリコール-bis-カルボキシメチルエーテル (PEG) を用いると反応率は低くなったが低分子量のPEGを用いると高反応率となり, PEGの仕込み量を増やすと反応率は上昇した.
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