高分子論文集
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61 巻, 6 号
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  • 小川 和郎, 藤原 麻由, 近藤 好美, 水下 義信, 小野 慎, 吉村 敏章
    2004 年 61 巻 6 号 p. 341-345
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    さまざまなデンプンをアセチル化することにより, 置換度の増加に伴うアセチル基の分布を検討した. アミロース含量の高いハイアミローススターチは, 低密度のアミロース部分からアセチル化が起こり, 低置換体ではアミロース部分にアセチル基が多く導入される. 一方, アミロース含量の低いデンプンは, アミロペクチンの構造によってアセチル基の分布が異なった. B型の馬鈴薯デンプンのアミロペクチンは分子鎖が長いため, アミロース分子とからみ合った部分が存在し, アセチル化はアミロースとアミロペクチンに同時に起こる. A型のコーンスターチはアミロペクチンの分子鎖が短いため, アミロースとアミロペクチンが単純な混合物として存在し, アセチル化はアミロース部分から進行する. しかしながら, アセチル化機構が異なっても, アセチル化デンプンの結晶構造には影響を与えなかった.
  • 田島 一成, 金元 哲夫, 伊藤 眞義
    2004 年 61 巻 6 号 p. 346-351
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    高分子量ナイロン6について, 静的融点以上で分子鎖引き伸ばしを行う際の延伸応力が延伸試料の構造形成に与える影響を検討した. 延伸応力の増大にともない, 延伸試料中, 結晶相のα型結晶分率が増大するとともに, 試料のヤング率も増大した. 本実験において, 試料に付与できた延伸応力の最大値は240℃において約3.5MPaであり, この条件下で得られた試料中, 結晶相のα型結晶分率は0.75程度であった. この分率をさらに高めるために, 延伸試料に対して定応力下で熱処理を行った. その結果, 配向した非晶鎖やγ型結晶の一部がα型結晶へ変換し, 分子鎖方向への連続性が増大することにより, ヤング率もかなり向上し, 最大で18.6GPaに達した.
  • 三俣 貴史, 香西 博明
    2004 年 61 巻 6 号 p. 352-357
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    メソゲンとしてビフェニル基をスペーサーとしてメチレン鎖を有する種々のジオールを合成し, これらとメチル2, 6-ジイソシアナートヘキサノアート (LDI) から新規主鎖型液晶ポリウレタンを合成した. その結果, 極限粘度 [η] =0.52~0.79の高分子量体が得られた. また, DSCおよび偏光顕微鏡観察から, いずれのポリマーも昇温過程でのみ液晶相を形成するモノトロピックな液晶を示した. さらに, 相転移温度および液晶相の熱安定性については, DSCの測定結果からジイソシアナートの構造またはメチレン鎖の長さに依存していることがわかった.
  • 香西 博明, 九嶋 貞嘉, 池田 唯一
    2004 年 61 巻 6 号 p. 358-364
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    シス-1, 4-ポリブタジエン (1, 4-PB) を, 過酸化水素 (H2O2) /有機酸混合溶液で処理し, 赤外吸収スペクトル, 1H NMR, 13C NMR, 元素分析, GC-MS測定を行い, それらの解析結果から, シス-1, 4-ポリブタジエンの各種定量と酸化分解機構を推定した. 最適な酸化条件は, 過酸化水素水/ギ酸 (1: 2), 2h, 60℃, H2O2濃度35%であった. 解析の結果, 1, 4-PBは過ギ酸によりエポキシ化され, ヒドロキシル基, アルデヒド基, カルボキシル基および活性酸素が生成しており, 分子量320程度の二重結合を有するブタジエン約6量体のオリゴマーであった. さらに天然ゴム (NR), シス-1, 4-イソプレンゴム (IR), スチレンブタジエンゴム (SBR), 1, 2-ポリブタジエン (1, 2-PB) についても同様に検討した.
  • 片柳 清香, 稲葉 奈美子, 香西 博明
    2004 年 61 巻 6 号 p. 365-367
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 芳香族ジオールとアミノ酸由来のジイソシアネートを用いて, 新規生分解性ポリウレタンの合成を行った. 生成物の極限粘度は [η] =0.40~0.42の高分子量体であった. また, ポリマーの酵素分解を行ったところ, おおむね20%程度の重量減少を確認した. さらに, フィルムの表面観察 (SEM) から無数の穴やくぼみが見られた. 一方, TG測定による熱重量損失開始温度は395℃から268℃へ大きく低下したことから分解が進行していることがわかった.
  • 小川 博司, Elke STIBAL-FISCHER, Heino FINKELMANN
    2004 年 61 巻 6 号 p. 368-370
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    メソゲン基の側方が高分子骨格主鎖に結合した側鎖型液晶性ポリシロキサンの光学的特性に関して偏光顕微鏡を用いて検討した. ネマチック相を示すこのポリマーと光学的に一軸性の低分子液晶との混合物を磁場中で巨視的に配向させることができた. コノスコープ観察では, 光学的に二軸性の挙動が観察された. 加えて, コレステロール誘導体をコモノマーとする共重合体の合成も行った.
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