高分子論文集
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62 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 増子 崇
    2005 年 62 巻 2 号 p. 55-63
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    デカメチレン基含有ポリ (エステルイミド-シロキサン) (PEsI-Si) /エポキシ樹脂/銀フィラーからなるコンポジットフィルムを調製し, 樹脂成分のモルホロジーとコンポジットフィルムのレオロジー挙動について, 圧縮試験, 粘弾性解析, および破断面SEM観察により詳細に検証した. その結果, PEsI-Siのシロキサン鎖が長くなるほど, 熱処理後の塑性変形が抑制される方向に進むことが示された. これは, PEsI-Siの共重合成分間のミクロ相分離により形成されたポリマー鎖の凝集相に, エポキシ樹脂成分の網目構造がからみ合うように存在するため, 樹脂成分の見掛けの架橋密度が増大し, 分子の運動性が低下したことによるものと推察した.
  • 今西 邦彦, 若林 秀哲, 尾崎 裕之, 植木 聡
    2005 年 62 巻 2 号 p. 64-68
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    可溶性バナジウム錯体V (mbd) 3/ジエチルアルミニウムクロリド系触媒によるプロピレンのリビソグ重合を利用することによって, ポリプロピレンの末端にスチレソ誘導体やメタクリル酸誘導体を導入できることが報告されている. これらの官能基を有するポリプロピレソはマクロモノマーとして利用することが可能である. チタソ錯体/メチルアルモキサン (MAO) 触媒系で末端にジビニルベソゼソを有するポリプロピレンとスチレンを共重合することによって, ポリスチレンとポリプロピレンを有する新しいグラフトコポリマーを得た. また, 末端にエチレングリコールジメタクリレートを有するポリプロピレンとアクリル酸をラジカルで共重合することによって, ポリアクリル酸とポリプロピレソのグラフトコポリマーも合成することができた.
  • 今西 邦彦, 植木 聡
    2005 年 62 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    可溶性バナジウム錯体V (mbd) 3/ジエチルアルミニウムクロリド系触媒によって, プロピレンのリビング重合が進行する. このリビング重合中に種々の極性モノマーを添加すると, これらのモノマーがポリプロピレンの末端に導入され, 官能基を有するポリプロピレンを合成することができる. この極性モノマーにおいて, 速度論的検討を行い, エチレングリコールジメタクリレート (EGMA), グリシジルメタクリレート (GMA), スチレン (St), ジビニルベンゼン (DVB) に関して, 導入反応の速度を決定する定数が求められた. この定数から, 導入量を確実に制御するための反応条件が得られた. さらに, メカニズムの推定を行い, 導入反応において, メタクリル酸誘導体やスチレン誘導体などのモノマーの種類によらず, 導入反応のメカニズムは同様であることが明らかとなった. その導入反応において, 第1ステップではモノマーがV重合活性点に配位し, 第2ステップで, 配位したモノマーがポリマー末端に結合していくものである.
  • 小澤 真一郎, 祝井 俊郎, 有賀 敦, 川村 和郎
    2005 年 62 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    繊維含有量44vol%の三次元炭素繊維強化フラン樹脂 (3D-CFRFR) を作製し, 1000℃以下の種々の温度で加熱した. 1000℃の加熱による体積収縮は, フラン樹脂単体で50%であったが, 3D-CFRFRでは数%であった. 曲げ強さは加熱処理温度 (HTT) の上昇に伴って減少した. フラン樹脂に対する繊維強化効果はHTT500℃以下で認められた. 加熱に伴う曲げ強さの低下は, マトリックスと炭素繊維境界面のはく離と炭素繊維の損傷による. はく離や損傷はマトリックスのフラン樹脂の熱分解を通して起こる. 炭素繊維積層表面直角方向 (σs, Es) の曲げ強さと曲げ弾性率は, 厚さ直角方向 (σt, Et) のそれらより小さかった. 両方向の曲げ強さおよび両方向の曲げ弾性率には直線関係があり, それぞれσt=2.7σs, Et=1.7Esで表される.
  • 石井 武彦, 鈴木 祐子, 秋山 好嗣, 大塚 英典, 片岡 一則, 長崎 幸夫
    2005 年 62 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    アセタールとメルカプト基を有するヘテロ2官能性ポリエチレングリコール (PEG) を用いて5~20nmの金コロイドの表面処理を行い, 高イオン強度下での分散安定性を検討した. 適度な加温処理を施し, PEG鎖長を長くするほど調製したコロイドの安定性は高まった. このようにして調製したPEG化金コロイドの自由末端アセタール基を酸処理によって加水分解し, アンモニアにより末端をアミノ基に変換してアミノ基を有するPEG化金コロイドを調製した. さらにこのようにして得られたアミノ-PEG化金コロイドを活性エステルを導入した金表面に固定した. 表面プラズモン共鳴 (SPR) センサーにより, このようにして構築したPEG化金コロイド担持表面で, タンパク質の非特異吸着反応を高度に抑制することを確認した. これはブラシ状に広がった金コロイド上のPEG鎖が寄与しているものと考察された. また, PEG鎖末端に導入したアミノ基にはさまざまな官能基やリガンドの導入が可能である. 本報ではビオチンを導入し, ストレプトアビジンのセソシングが可能であることを確認した. さらにはこのようにして構築したアビジン表面でビオチン誘導体のセンシングが可能となった. このように, 金コロイド担持表面はSPRセンサーで低分子検出が可能な高機能表面であることが明らかとなった.
  • 西川 佳菜, 金岡 鍾局, 青島 貞人
    2005 年 62 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    Thermosensitive diblock copolymers with a hydrophobic segment were prepared by sequential living cationic polymerization using Et1.5AlCl1.5 in the presence of an added base in toluene at 0°C. These diblock copolymers formed a micelle in water with a core of hydrophobic segments and a corona of LCST-type thermosensitive segments, which was confirmed by dynamic light scattering and 1H NMR measurements. The resulting micellar aqueous solutions showed highly sensitive phase separation upon heating due to the dehydration of the corona segments. The phase separation temperature of a micelle was controlled by regulating chain length, composition, and the pendant structures of a core and/or a corona segment in a diblock copolymer. The narrow molecular weight distribution of constituent diblock copolymers has been shown to be indispensable for achieving sharp phase separation.
  • 塩野 翔平, 金岡 鍾局, 青島 貞人
    2005 年 62 巻 2 号 p. 92-95
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    Living cationic polymerization of a vinyl ether with a bicycloalkane group (TMVE) was achieved using the Et1.5AICI1.5-based initiating system in the presence of ethyl acetate at 30°C. The molecular weight distribution of the polymers was very narrow (Mw/Mn=1.03-1.08) throughout the polymerization. Diblock copolymers of TMVE with a stimuli-responsive segment were also synthesized to prepare a new class of smart films. The resulting films showed reversible thermosensitive behavior. For example, a film was obtained from a diblock copolymer containing a thermosensitive segment that becomes insoluble in water above 20°C. This film exhibited high affinity to water at 0°C, whereas it repelled water at 30°C. The transition temperature can readily be altered by using a diblock copolymer having a thermosensi-tive segment that has a different critical temperature for LCST-type phase separation in water.
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