本研究では, ナイロン6/変性ブチルゴムの2成分からなる単純ブレンド, およびこれらのブレンドに少量の硫黄 (ゴム成分の0,5wt%) を添加した, 配合方法の異なる2種の硫黄配合系ブレンドを作製し, ブレンド中のゴム成分の分散状態がリカバリー特性に及ぼす効果について検討した. 少量の硫黄配合によって, 伸張応力が低下し, ひずみのリカバリー特性が大きく改善されることがわかった. また, TEM, AFMおよびSEM観察より, 単純ブレンド物ではゴム成分が直径約0.2~0.8μmの粒子としてナイロンマトリックス中に均一に分散しているのに対して, 硫黄配合系ブレンド物ではゴム粒子が不規則な形状に凝集し, ナイロンマトリックス中に不均一に分散していることがわかった. また, 任意の初期ひずみε
a (0.30~1.0) を与えた場合のtensile setを貯蔵弾性率
E' に対してプロットすると, 一つの曲線で表されることから, ブレンド試料のtensile setは, 組成比とは無関係に,
E', つまり伸長変形時において実質的に変形するナイロン相の分率に依存することがわかった.
抄録全体を表示