高分子論文集
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65 巻, 8 号
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総合論文
  • 松井 淳
    2008 年65 巻8 号 p. 499-505
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/26
    ジャーナル フリー
    Multi-walled carbon nanotube (MWCNT)水分散液を水相,n-hexane を油相として液-液界面を形成させた後にエタノールを滴下することで,MWCNT が水-油界面へ吸着することを見いだした.MWCNT の表面電位を測定したところ,分散液中のエタノールの含有率が増加するにつれその絶対値が減少したことからエタノールが表面に吸着することでぬれ性が低下しその結果界面に吸着することが示唆された.界面に集積化した MWCNT 薄膜を基板に転写し原子間力顕微鏡で観察したところ高密度な MWCNT 単層膜が形成されていることがわかった.また,本手法を可溶化法により水に分散させた SWCNT においても応用できることが明らかとなった.
  • ─ATP 駆動型バイオマシンを目指して─
    角五 彰
    2008 年65 巻8 号 p. 506-515
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/26
    ジャーナル フリー
    生体分子モーターであるアクチンとミオシンを生体試料から単離抽出し,カチオン性の合成高分子(ポリカチオン)とハイブリッドさせることで全く新しい集合体構造をもつ ATP 駆動型ゲル運動素子を創製した.アクチン溶液にポリカチオンを導入するとバンドル状の巨大なアクチン集合体を形成する.このアクチン集合体を架橋することで構造安定なアクチンゲルを得た.一方,ミオシン分子をせん断応力下で自己組織化させ同時に化学架橋することで配向したミオシンゲルを得ることができる.このように得られた配向ミオシンゲルにアクチンゲルを乗せた後化学エネルギーである ATP を滴下すると,アクチンゲルは配向ミオシンゲルの配向軸に沿った運動を発現する.その運動は以下のような特徴をもっていた.アクチンゲルの運動速度は集合体を作らせる前の長さ約 2 μm の F-アクチンを凌駕する.アクチンゲルは非常に直線性の高い運動を発現する.アクチンゲルの中には,波打ちしながら運動するものもある.ここで見られた運動性は一分子系では全く観察されない.以下ではこの特異的運動の発現メカニズムについて探っていく.
  • 水雲 智信
    2008 年65 巻8 号 p. 516-524
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/26
    ジャーナル フリー
    イオン液体をエラストマーまたはケイ酸ガラス誘導体中に保持させることで,ゴム状またはガラス状のイオン伝導性ゲルを得た.エラストマーとしてニトリルゴムを用いた場合,ゲル化できるイオン液体が多く見いだされたが,ニトリルゴム/イオン液体の単純な 2 成分系では高イオン伝導度は得られず,イオン液体含量を増大させるにつれてゴム弾性を失うという問題も生じた.そこでゲルに少量のリチウム塩を添加したところ,イオン伝導度とゴム弾性がともに大きく改善できることを見いだした.熱分析などの結果から,リチウム塩添加後はミクロ相分離が生じていることが明らかとなった.フレームワークを担う高分子と,イオン伝導性を担うイオン液体が役割分担したことが物性改善につながったと考えられる.天然ゴムについても,相溶性のあるイオン液体を見いだした.一方,ガラス状のゲルはゾル-ゲル法によって作製した.イオン液体にはブレンステッド酸性イオン液体を用いた.イオン液体の酸性によりゾル-ゲル反応は比較的速やかに進行した.無機骨格,イオン液体がともに耐熱性が高いことに基づき,このゲルは中温域で安定にプロトン伝導性を発現することができた.無機骨格とイオン液体ポリマーのコンポジット化も行い,物性を改善した.
  • 富永 洋一
    2008 年65 巻8 号 p. 525-535
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/26
    ジャーナル フリー
    イオン伝導性を示す固体高分子電解質(SPEs)は,既存物質に替わりフレキシブルで薄型の次世代リチウム電池における基幹物質となりうる新しい固体電解質として期待されている.しかしながら,SPE は既存の液体,ゲル,無機系の固体電解質と比べるとイオン伝導度が劣る.固体高分子中で速いイオン輸送を実現するために,筆者は高密度の二酸化炭素流体,特に超臨界二酸化炭素(scCO2)に着目し,そのユニークな溶媒特性を SPE のイオン伝導性改善に活かすことを初めて試みた.その結果,scCO2 処理は Li 塩を含むポリエチレンオキシド(PEO)のようなポリエーテル系電解質のイオン伝導度を著しく増加させた.また,SPE に対する CO2 処理は,イオン伝導性の改善につながるガラス転移温度(Tg)の劇的な低下を引き起こした.さらに,高圧 CO2 中における SPE のイオン伝導挙動を圧力容器中で直接測定した結果,CO2 圧力の上昇に伴うイオン伝導度の増加が認められた.本研究では,CO2 が SPE 中に溶解し,高分子を可塑化させ,さらには系内に存在する凝集イオンの解離を促進する効果を有することが示唆されている.
  • 生方 俊
    2008 年65 巻8 号 p. 536-545
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/26
    ジャーナル フリー
    近年,アゾベンゼンを有する有機薄膜において,空間パターンを有する光を照射すると凹凸(光誘起表面レリーフ)が形成する現象が報告された.この凹凸形成方法は,現像行程を必要とすることなく光照射の一段階の行程で作製できるため,低コスト・低環境負荷である.さらに,この凹凸は薄膜構成物質自身の移動により形成されているため消去・再形成が可能であり,新しいリソグラフィー技術としても基礎・応用両面から強い関心を集めている.本報では,この現象を概説したのち,実用化に結びつける上で問題となる凹凸形成の遅さや可視光の吸収について,材料面からの改良方法を示す.また,物質移動現象そのものを利用した動的な機能への応用展開についても紹介する.
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