高分子論文集
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66 巻, 2 号
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一般論文
  • 田中 里美, 畠中 正志, 清水 武, 柴 隆一
    2009 年 66 巻 2 号 p. 43-48
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
    高分子鎖をポリスチレンおよびポリメチルメタクリレートとする 2 種類のアミジノ尿素樹脂(AU 樹脂)を用い,高分子鎖の金属イオン捕獲能に及ぼす影響について検討した.メタクリレートを主鎖とするアミジノ尿素樹脂(MCAU 樹脂)は,シアノグアニジンと塩化メタクリロイルとの反応によりメタクリロイルシアノグアニジンを合成後,ラジカル重合ついで水和反応により得た.Cu2+, Zn2+, Ni2+, Co2+, Cd2+ を対象とした捕獲試験において,両樹脂は Cu2+ に高い選択的捕獲能を示したが,MCAU 樹脂の捕獲率は対応するポリスチレン系 AU 樹脂の 60~70%にとどまった.一方,MCAU 樹脂は塩基水溶液に浸漬処理をすることにより,捕獲能が大幅に上昇する挙動を示した.この原因がポリメチルメタクリレート鎖の電子吸引効果による金属イオン捕獲部位の塩基性度の上昇にあることを MCAU 樹脂のモノマーモデルの UV スペクトルおよび X 線回折により明らかにした.
  • 柳澤 恒徳, 木内 幸浩, 位地 正年
    2009 年 66 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
    ポリ乳酸を電子機器の外装材などに適用するためには高度な難燃性が要求されるので,安全性の高い水酸化アルミニウムとフェノール樹脂類の併用によるポリ乳酸の難燃化を検討した.アルカリ成分量を低減した水酸化アルミニウムを約 50 wt%添加することで,ポリ乳酸を UL94 規格の V-1 レベル(1.6 mm 厚)以上まで難燃化できたが,曲げ強度,曲げ破断ひずみ,耐衝撃性,および流動性が低下した.これに対して,フェノール樹脂類として,着火時のチャーの生成量が多く,しかもポリ乳酸中での分散性の良好な,フェノールノボラック樹脂やトリフェノールメタン樹脂を水酸化アルミニウムと併用した場合,難燃性の改良効果が高いことがわかった.これらのフェノール樹脂類は,着火時のチャーの生成量が多く,しかもポリ乳酸中での分散性が良好であるため,着火の際に均質なチャー層を表面で形成したために難燃効果が高かったものと考える.この難燃性の改善により,水酸化アルミニウムを削減でき,さらに,これらのフェノール樹脂類自体の効果によって,曲げ強度と流動性を向上できた.また,可とう性付与剤としてポリ乳酸-ポリエステル共重合体を添加することによって,曲げ破断ひずみと耐衝撃性を改善でき,流動性を一層向上できた.
  • 井田 慎一郎, 山本 紘子, 照沼 真衣, 伊藤 眞義
    2009 年 66 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
    PET/PEN/PET-PEN コポリマーからなる三元系ブレンドについて,系内で進行するエステル交換反応が,ブレンド系からコポリマーのみからなる一元系への変化に与える影響を検討した.エステル交換反応の進行度が小さい場合,PET/PEN/PET-PEN コポリマーブレンドは上部臨界溶解温度(UCST)型の相図を示した.エステル交換反応の進行に伴い,ブレンド系は一元系へと変化した.この変化が生じるために必要なエステル交換反応の進行度は,三元系のブレンド比や PET-PEN コポリマーのブロック性にほとんど依存せず約 1 mol%以上であることがわかった.
  • 竹中 克彦, 西田 敏博, 竹下 宏樹, 宮 正光, 塩見 友雄
    2009 年 66 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
    側鎖にホスホン酸エステル基を有するイソプレン誘導体であるイソプレンホスホン酸ジエチル(IUPAC 名:2-メチレン-3-ブテニルホスホン酸ジエチル 以下 DEMBP)の合成とラジカル重合を行った.開始剤に 0.1 mol%のアゾビスイソブチロニトリルを用いてバルク重合を行うと,60℃, 17 時間で分子量約 45000, Mw/Mn=1.5 の室温で粘稠なポリマーが収率約 47%で得られた.過酸化ジ tert-ブチルを 1 mol%用い 120℃ 重合させると,1 時間で高分子量のポリマーが収率 79%で得られた.ベンゼン中で重合を行っても熱重合の併発が避けられないため見かけの値とはなるが,重合速度は開始剤濃度の 0.47 次,モノマー濃度の約 2.5 次に比例することがわかった.生成ポリマーのミクロ構造を 1H および 31P NMR を用いて解析したところ,重合温度や溶媒の有無によって若干の影響は受けるものの 92~97%の 1,4-構造からなり,その立体配置は(E)構造 40~45%,(Z)構造 45~55%程度であることがわかった.ポリマーのガラス転移温度は約-50℃ でメタノールやジメチルホルムアミドなどの極性溶媒に可溶であった.
  • 黒木 和志, 宮内 俊幸, 石川 徳久, 田中 渥夫, 盛 秀彦
    2009 年 66 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
    発煙硫酸でスルホン化する直接法と 2,4-トリレンジイソシアナートで架橋後にスルホン化する間接法で,塩酸処理おが屑にスルホン酸基を導入し,スルホン酸基の結合サイトと陽イオン交換体としての性能について検討した.X 線光電子分光法の S2p スペクトルよりスルホン酸基は,直接法での S2p3/2 のピーク位置が 168.7 eV であることからリグニンのベンゼン環に,間接法では 168.2 eV であることから 2,4-トリレンジイソシアナートのベンゼン環に結合していると推定した.直接法で得た交換体の交換容量は 1.2 meq g-1-R であり,間接法では 0.4 meq g-1-R であった.本交換体は,塩基性染料に対しても吸着能を示し,その吸着 pH 領域は 1.8~11.2 と広く,吸着速度も速い.カラム法により,メチレンブルー水溶液を展開したところ,破過点(C/C0=0.01)でのメチレンブルー吸着量は 0.61 mmol g-1 であった.
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