高分子論文集
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68 巻, 4 号
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総説
  • 三輪 優子, 田中 賢, 望月 明
    原稿種別: 総合論文
    2011 年 68 巻 4 号 p. 133-146
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    血液適合性材料がその機能を発現する表面としてこれまで多くの考えが提案されてきており,①超親水性表面,②ミクロ相分離表面,③細胞膜類似表面,④生理活性分子を固定化した表面などの有効性が報告されているが,④を除き,その理由はいまだ定かではない.本報では,ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)を中心とし,各種ポリマーについての DSC, FT-IR および NMR による水の構造解析に関する数多くの研究報告を検討し,この水の構造と密接に関係のあるポリマーの分子運動性と血液適合性との関係について総括的に考察する.
  • 小山 靖人, 高田 十志和
    原稿種別: 総合論文
    2011 年 68 巻 4 号 p. 147-159
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    近年盛んに研究されている多成分のフラグメントから構成される複雑かつ巨大な機能性組織・素材(機能性高分子,超分子構造体,バイオプローブなど)の合成に対し,実用的・工業的観点において抜群の威力を発揮する有機反応ツールの開発が望まれている.本報ではこれまでに報告されている「ニトリルオキシドを利用した高分子合成法」を 1)高分子末端での付加反応,2)高分子反応,3)重合,4)架橋,5)高分子変換反応,の別に分類し,それらを概観しながら,筆者らが最近研究している「安定ニトリルオキシド」を用いる高分子構築法の有用性とその応用展開について紹介する.
一般論文
  • 三好 一登, 越野 美加, 奥田 良治, 富川 真佐夫
    2011 年 68 巻 4 号 p. 160-170
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    有機 EL ディスプレイパネルの絶縁層に必要な六つの要求特性,(1)ポジ型感光性,(2)耐熱安定性(低アウトガス),(3)250℃ 以下での低温キュア,(4)低テーパー形状,(5)高絶縁性,(6)基板との良好な密着性に加え,同パネルの平坦化層に必要な要求特性である(7)レジスト剥離液耐性を満足できる材料の開発を行った.ポリイミド前駆体ポリマー,ナフトキノンジアジド感光剤,およびキュア温度 250℃ 以下において有効に作用する架橋剤からなる組成を設計し,上記七つの特性を満足しうるに至った.とくにレジスト剥離液耐性については,架橋剤の添加量を最適化することで膜厚寸法変化を抑制することが可能となった.また架橋剤を有するポジ型ポリイミドの 250℃ キュア膜の 5%重量減少温度は 383℃ に達した.
  • 木野 文尋, 冨田 知宏, 大川 登志郎, 髙木 研一, 藤間 卓也
    2011 年 68 巻 4 号 p. 171-175
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    シリコンウェハー表面に「grafting to」法によって作製したポリスチレンスルホン酸ナトリウムブラシについて,走査プローブ顕微鏡(SPM)を用いた水中摩擦力顕微鏡法(FFM)により摩擦力を測定し,水中におけるナノスケールにおける摩擦特性を評価した.摩擦力測定は負荷荷重を変化させた場合の荷重依存性,走査速度を変化させた場合の速度依存性について測定した.その結果,基板に対して摩擦力を大幅に低減できた.また,動摩擦係数が 0.002 と非常に小さくなること,面内における高い均一性など,ナノ領域の水中における摩擦特性が明らかになった.
  • 松尾 陽祐, 金岡 鐘局, 青島 貞人
    2011 年 68 巻 4 号 p. 176-181
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    添加塩基存在下,Keggin 構造をもつヘテロポリ酸を用いてイソブチルビニルエーテルの不均一カチオン重合を検討した.H3PW12O40 を用いた場合,従来のリビングカチオン重合の条件下では副反応が起こり重合反応を制御できなかったが,酢酸エチル中,ジメチルスルフィド存在下,−30℃ で重合を行うとリビング重合が進行するようになり,分子量分布の非常にせまい(Mw/Mn<1.1)ポリマーが得られた.生成ポリマーの分子量は,H3PW12O40 のすべてのプロトンから重合反応が開始したと仮定した場合の計算値によく一致し,重合率に比例して増加した.また,MALDI-TOF-MS の結果からは,生成ポリマーがプロトンによる開始,メタノール(停止剤)による停止に由来する構造のみを有することがわかった.さらに,Keggin 型の異なるヘテロポリ酸(H4SiW12O40, H3PMo12O40, H4SiMo12O40)によっても制御された重合が進行した.
  • 眞田 耕大, 阪口 壽一, 橋本 保
    2011 年 68 巻 4 号 p. 182-189
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    種々の極性置換基を有する新規ポリ(パラフェニレンエチニレン)をパラジウム触媒を用いたカップリング反応により合成し,得られたポリマー膜の気体透過性について調べた.極性基としてヒドロキシ基またはジエチルアミノ基を有するモノマーは比較的よい収率でポリマーを生成し,それらの数平均分子量は 27000 と 11900 であった.ヒドロキシ基とアミノ基をともに有するモノマーも重合は進行したが,生成ポリマーはあらゆる溶媒に不溶であった.また,アンモニウム塩を有するポリマーはジメチルスルホキシドなどの極性の高い溶媒にだけ溶解した.ヒドロキシ基を有するポリマーおよびジエチルアミノ基を有するポリマーは THF 溶液をキャストすることで自立膜を作製することができ,それらの気体透過性はアルキル置換ポリ(パラフェニレンエチニレン)膜に比べて低いことがわかった.しかし,極性置換基が二酸化炭素との親和性を向上させるために二酸化炭素透過選択性は高くなった.
ノート
  • 近田 心一, 萩原 時男
    原稿種別: ノート
    2011 年 68 巻 4 号 p. 190-194
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    Novel methyl methacrylate and styrene type macromonomers with fluorine containing poly(ethylene glycol) were prepared by reactions between 2-hydroxyethyl methacrylate or p-aminostyrene and poly(ethylene glycol) with a fuoroformyl group at the end. This group was obtained by polymerization of ethylene oxide with hexafluoropropylene oxide. NMR results indicated that the obtained macromonomers had fluorine containing poly(ethylene glycol) with the methyl methacrylate or styrene type double bond at the chain end. Radical polymerizations of methyl methacrylate and styrene type macromonomers gave graft polymers with the poly(methyl methacrylate) or the polystyrene platform having fluorine containing poly(ethylene glycol) side chains, while only the styrene type macromonomer could be polymerized with butyllithium to give the graft polymer having the polystyrene backbone and fluorine containing poly(ethylene glycol) side chains.
  • 道信 剛志, 江藤 理那子, 重原 淳孝
    原稿種別: ノート
    2011 年 68 巻 4 号 p. 195-197
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/13
    ジャーナル フリー
    Azopyridine-containing methacrylate monomer was copolymerized with N-isopropylacrylamide by radical polymerization. The copolymer with N-isopropylacrylamide content of >0.99 showed a solvent-dependent photochromic behavior. In a THF solution, the trans-cis photoisomerization of the azopyridine moieties smoothly proceeded by a UV light irradiation, while the copolymer displayed a negligible change in the UV/Vis absorption spectra in water. The decrease in the photoisomerization efficiency was probably due to the immobilization of the trans-azopyridine moieties in the polymer matrices because of hydrogen-bonding interactions between the amide and pyridine groups and water molecules.
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