高分子論文集
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68 巻, 6 号
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総説
  • 斎藤 拓, 豊田 昭徳
    2011 年 68 巻 6 号 p. 353-369
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/30
    ジャーナル フリー
    結晶性高分子に非晶性成分をブレンドすることで,その結晶成長速度や高次構造を制御できる.一相系ブレンドでは結晶成長面から非晶性成分が排除されることで結晶は時間に対して非線形に成長する.非晶性成分の排除の度合いを制御することで,球晶からラメラ晶に至る広い次元での高次構造の制御が可能になる.その具体例を高分子/高分子系,高分子/低分子系,高分子/二酸化炭素系において紹介する.最近では,シクロデキストリンーポリオレフィン包接化合物をポリオレフィンにブレンドすることで結晶核生成頻度が著しく増加する現象も見いだされている.融点以下に相図を有する場合には,結晶化と相分離の競争的な発展を利用することで,特異な結晶化挙動や高次構造が発現する.たとえば,ポリカーボネート/ポリエチレンオキサイドブレンドではスピノーダル分解に伴う up-hill 拡散によりポリカーボネートの結晶化が短時間で誘発されて,数珠状の結晶が得られる.
総合論文
  • 位地 正年, 井上 和彦, 芹澤 慎, 木内 幸浩, 中村 彰信, 柳澤 恒徳, 山城 緑
    2011 年 68 巻 6 号 p. 370-381
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/30
    ジャーナル フリー
    バイオプラスチックのポリ乳酸を電子機器の主要部材に利用するため,高い植物成分率と化学的安全性を保持しながら高度な耐熱性,強度,および難燃性を実現し,さらに,今後の電子機器で重要となる新機能として,形状記憶性や伝熱性を付与させたポリ乳酸組成物を開発した.ポリ乳酸への天然のケナフ繊維の添加により耐熱性や剛性を向上させ,さらに,ポリ乳酸-ポリエステル共重合体の添加で耐衝撃性を改良した.また,ポリ乳酸への吸熱性の水酸化アルミニウムとフェノールノボラック系炭化剤の添加によって,電子機器用の高度な難燃性と他の主要特性(成形性,強度など)を達成した.さらに,変形・復元が容易でリサイクルも可能な今後のウエアラブル機器に利用するため,熱可逆結合でのポリ乳酸分子の架橋によって,形状記憶性とリサイクル性(熱可塑性)を両立させた.加えて,小型・薄型機器での放熱対策のため,天然アミド化合物を炭素繊維の分散・結合剤として用いて,ポリ乳酸中で炭素長繊維(6 mm 長)を高分散させ,網目状に結合させることで,ステンレスに匹敵する熱拡散性を実現した.
一般論文
ノート
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