本研究では,高耐熱性炭素繊維複合材料のマトリックス樹脂として,高溶解性・易成形性を有する新規な非対称構造を有するイミド樹脂を開発した.すなわち,酸無水物としてはピロメリット酸二無水物を使用し,ジアミンとしては非平面かつ非対称構造を有する2-フェニル-4,4′-ジアミノジフェニルエーテルおよび9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンを用い,末端剤としては4-フェニルエチニル無水フタル酸を用いた熱硬化型イミドオリゴマーの作成を行った.本イミドオリゴマーは,高い溶剤溶解性と高温時の優れた成形性を有するだけでなく,370°C/1時間で硬化した後の樹脂は高い耐熱性(
Tg>350°C)と高破断伸び(
εb>13%)を示し,従来にない特異な熱的・機械的物性を兼ね備えていることを見いだした.さらに,本イミドオリゴマーを用いて高耐熱性炭素繊維複合材料の試作に成功した.
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