高分子論文集
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69 巻, 9 号
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一般論文
  • 吉野 努, 刈込 道徳, 木村 隆夫
    2012 年 69 巻 9 号 p. 503-510
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/09/25
    ジャーナル フリー
    原子移動ラジカル重合によって,フェニル基,オリゴスチレン鎖から成る2タイプの吸着部,メタクリル酸ポリエチレングリコールウレタンエチルを用いたノニオン系ポリマー,メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルを一部含むカチオン系コポリマー,メタクリル酸を一部含むアニオン系コポリマーといった3タイプのポリマー鎖を親媒部とする計6種類の両親媒性ポリマーを合成した.これらを分散剤とし,ジエチレングリコールモノブチルエーテル存在下,60°Cでポリマー水溶液中におけるカーボンブラック(CB)の分散安定性を評価した.同じ系の分散剤を用いて調製したCB分散体は,吸着部のフェニル基数が多いとCB表面により強く吸着し,分散安定性が向上した.中でも,カチオン系分散剤を用いて調製したCB分散体は3ヶ月間透過率0%を示し,また粒子径分布の経日変化の結果からも最も良好な分散安定性を示した.
  • 山﨑 隆喜, 馬渡 康輝, 波川 啓土, 中野 博人, 田畑 昌祥
    2012 年 69 巻 9 号 p. 511-519
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/09/25
    ジャーナル フリー
    市販樹脂を成形する場合,事前に熱風乾燥し,水分含量を約0.01~0.05 wt%まで下げることが推奨されているが,乾燥前後のその水の存在場所,水和構造およびその役割について,必ずしもよく理解されていないように見える.ビスフェノールAと塩化イソおよびテレフタロイルを使って界面重縮合法で重合すると,分子末端にフェノール性ヒドロキシル基を有するポリエステル:PARFreeが生成し,一方,重合時に分子量調整剤の塩化ベンゾイル:BCを添加した場合,BCでエステル化されたPARECが生成し,PARECはPARFreeに比べて流動性が向上し,無色透明な耐熱性プラスチック光ファイバーを製造できることを報告した.このPARECをジクロロメタン溶媒から室温でキャストすると,生成フィルムはシャーレ表面のガラスを大きく剥ぎ取る現象を発見した.本研究ではなぜこのような大きな剥離力が発現するのかについて考察した.
  • 山﨑 隆喜, 竹中 康, 中嶋 宏紀, 馬渡 康輝, 中野 英之, 田畑 昌祥
    2012 年 69 巻 9 号 p. 520-527
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/09/25
    ジャーナル フリー
    芳香族ポリエステルのポリアリレート:PARの高耐熱・透明非晶化および高流動化を目指して,3種のビスフェノール(AとBおよびC)と塩化イソおよび塩化テレフタロイルを原料とし,分子量調整剤(=末端封止剤)の塩化ベンゾイルの存在下,相間移動触媒のテトラブチルアンモニウムブロミドを用いて種々の条件下,室温で重合した.生成した各PARの示差走査熱量分析,熱流動性およびX線回折:XRDパターンの測定から,PARのガラス転移温度,溶解性,および非晶性の程度は,PARを構成する反応基質のビスフェノールや二塩化フタロイルの構造およびそれらの組成比に強く依存することを見いだした.得られたポリマーで作製したキャストフィルムのXRD反射パターンの散乱強度は,透明樹脂のPMMAのそれとほぼ同等であり,PARからも透明かつ非晶性の樹脂が新しく得られることを明らかにした.
  • 佐々木 保飛, 河野 昭彦, 大坪 博文, 柳 基典, 堀邊 英夫
    2012 年 69 巻 9 号 p. 528-534
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/09/25
    ジャーナル フリー
    再利用可能なレジスト除去溶剤の炭酸エチレン(EC)によるレジスト除去速度の向上と低融点化を目指し,ECに不凍液のエチレングリコール(EG)を添加したEC/EG溶剤のレジスト除去性と室温での凝固性を評価した.EGの割合が10 vol%以上のEC/EG溶剤は室温で液体状態であった.EGの割合が20 vol%のとき最も除去速度が速く,i線用化学増幅ネガ型レジストの除去速度は2.9 µm/minとなり,EC単体の約11倍であった.このEC/EG溶剤は,溶解度パラメーター(SP値)が計算では約26.0 (J/cm3)1/2となり,ノボラック樹脂のSP値の26.0 (J/cm3)1/2に最も近く,かつSi基板上における接触角(42°)が最も小さかった.したがって,このEC/EG溶剤は,レジストの溶解性(レジストの溶解除去)とレジスト/基板界面への浸透性(レジストの剥離除去)に最も優れているといえる.EC単体,EG単体,EC/EG溶剤(EG:20 vol%)のレジスト除去時の活性化エネルギーは,EC/EG溶剤が最も小さく,レジストとの溶解性と剥離性が最も高いことが判明した.
ノート
  • 村田 幸進
    2012 年 69 巻 9 号 p. 535-538
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/09/25
    ジャーナル フリー
    The temperature-dependent photochromism of 9,10-anthraquinone (AQ) in a poly(methyl methacrylate) matrix was investigated. We observed that the coloration reaction by irradiation of 490–495 nm at room temperature was inactivated after UV irradiation at 373 K over glass transition temperature (Tg). We assume that this is due to the formation of anthrahydroquinone (AQH2) which can form electron donor acceptor (EDA) complexes as well as hydrogen-bonds with the ester side groups of PMMA. In addition, we observed the coloration reaction was activated again after heating for 3,000 s at 533 K. This reactivation was due to recover the balance between the amount of AQ and that of AQH2 because AQH2 was released from the hydrogen-bonding.
  • 山田 剛史, 刈込 道徳, 木村 隆夫
    2012 年 69 巻 9 号 p. 539-542
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/09/25
    ジャーナル フリー
    For the purpose of drug-carrying in oral administration, pH-responsive polyvinyl alcohol (PVA) hydrogels were prepared by the gelation of PVA with tetracarboxylic acid dianhydride as crosslinking part and pH-sensitive part. The resulting hydrogels were estimated on the swelling behavior and the releasing behavior of loaded drug in pH 1.6 buffer solution as imitation of gastric condition and pH 7.4 buffer solution as imitation of intestinal condition at 37°C. The swelling degree was drastically decreased in pH 1.6 buffer solution, but high swelling degree was observed in pH 7.4 buffer solution at 37°C. The equilibrium swelling degree in pH 7.4 buffer solution at 37°C was dependent on the amount of carboxylic acid groups introduced in hydrogels. The releasing behavior of diclofenac sodium (DFNa) as acidic model drug was analogous to the swelling behavior of hydrogels. The releasing rate of DFNa was also dependent on the amount of carboxylic acid groups introduced in hydrogels. However, the release of imipramine hydrochloride as basic model drug was not controlled with pH.
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