ナイロン6を13Tの磁場内で溶融結晶化させ,磁場配向と溶融条件との関係を調査した.磁場内熱処理試料の二次元のWAXD測定の結果から,α型結晶の磁場配向が確認され,磁化容易軸は
a*軸であることが示唆された.磁場配向した試料の配向度は溶融条件に依存しなかった.偏光顕微鏡観察から結晶核密度は溶融条件に影響を受けなかった.これは,平衡融点以上においても水素結合により緩和しない,融解前に存在した結晶に由来する融け残り構造が存在し,核密度を高めていることが原因だと考えられた.等温結晶化挙動への溶融温度依存性から溶融温度は結晶化誘導期には影響を与えるが,結晶成長には大きな影響を与えていないことが示唆された.磁場配向したナイロン6の配向度が溶融条件に依存しないのは,溶融条件によらず核密度が高い状態となることに加えて,結晶化初期の微結晶が配向しているためであると考えられた.
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