高分子論文集
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71 巻, 8 号
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総説
一般論文
  • 三島 聡子, 浅野 雅春
    2014 年 71 巻 8 号 p. 352-360
    発行日: 2014/08/25
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル フリー
    γ線により多孔性ポリスチレン粒子(PSD)粒子表面にフタル酸ジアリル(FDA)を含む1-アリル-2-チオ尿素(ATU)を固定化した.ATU(FDA)固定化PSD粒子中のATU固定化量が増加すると亜鉛の吸着量も増加することがわかった.また,ATUによる亜鉛吸着能はpHにより大きく変化し,最大効力はpH 5∼7の範囲で発揮された.pH 7では,ATUを固定していないPSD粒子に比べて亜鉛吸着量が2.64倍になった.この亜鉛吸着量の増加が,ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ジラム)の分解を抑え,結果的にATU(FDA)固定化PSD粒子へのジラム吸着能を向上させたと結論した.さらに,ATU(FDA)固定化PSD粒子は繰返し使用しても,そのジラム吸着能と回収能を維持することができた.したがって,これらの結果から,ジラム分析の簡便で迅速な固相吸着法が確立できたと結論した.
  • 石井 直子, 松元 亜紀子, 橋爪 章仁, 佐藤 尚弘
    2014 年 71 巻 8 号 p. 361-366
    発行日: 2014/08/25
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル フリー
    フマルアミド(FAM)をコモノマーとするN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)共重合体を調製し,その水溶液の相挙動を,透過率測定,IR測定,およびDSCによって調査した.FAM含量(xF)の増加とともに,曇点温度(Tcloud)と澄明点温度(Tclear)は上昇し,FAMユニットはFAM/NIPAM共重合体の親水性を向上させた.この結果は,先のN,N′-ジイソプロピルフマルアミド (DIPAM)/NIPAM共重合体の結果と対照的であった.IR測定とDSC測定の結果から,FAM/NIPAM共重合体は,PNIPAMの場合と同様に,Tcloud付近で協同的な脱水和,Tclear付近で協同的な再水和が起こっていることがわかった.また,xFの増加に伴って相分離の協同性が低下することも明らかとなった.これは,FAM/NIPAM共重合体の組成分布が原因であると考えられる.
  • 村田 将一, 木下 雅貴, 釘本 大資, 大倉 彩, 秋葉 勇
    2014 年 71 巻 8 号 p. 367-371
    発行日: 2014/08/25
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,分子鎖の末端間で酸–塩基相互作用する水溶性の両末端アミノ化ポリエチレングリコール(APEG)と疎水性の末端カルボキシル化ポリメタクリル酸メチル(CPMMA)のブレンドの水中での会合挙動を小角X線散乱により検討した.APEG-CPMMAブレンドは両親媒性ブロック共重合体と同様に,APEGの選択溶媒である水中に均一に分散した.しかし,会合体の構造は調製法に強く依存した.ラメラ繰返し構造をもつAPEG-CPMMAブレンド固体を直接水に分散させた場合,疎水性コアの厚さが4.2 nm,全体の厚さが11.0 nmであるコアシェル型の円板状会合体を形成するが,テトラヒドロフラン溶液から溶媒置換法により調製した場合,疎水性コアの半径が13.8 nm,全体の半径が20.0 nmであるコアシェル型の球状会合体を形成することがわかった.
  • 宮田 真理, 勝然 勇也, 青木 俊樹, 寺口 昌宏, 金子 隆司
    2014 年 71 巻 8 号 p. 372-381
    発行日: 2014/08/25
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル フリー
    動的共有結合イミンを介して堅い平面板状置換基を有する新規アキラル置換アセチレンモノマーを合成し,これをキラル共触媒にN,N-ジメチルフェニルエチルアミンを用いてロジウム開始剤系で重合を行うことで,初めて反応性置換基をもつ置換アセチレンモノマーのらせん選択重合(HSSP)を達成した.得られたポリマーは丈夫な膜を与え,二種の高分子膜反応(高選択光環化芳香族化分解(SCAT)と膜置換反応(RIM))に適していた.SCATでは既報より膜強度の高い超分子ポリマー膜が得られ,RIMではさまざまな試薬との交換反応が主鎖の光学活性を維持したまま容易に進み,分子設計が格段に容易となった.
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