O
2の選択透過能をもつpoly[1-phenyl-2-(4-trimethylsilyl)phenyl]-acetylene (PTMSDPA)の細胞培養基材への応用を目的に,低温プラズマ照射–ポスト重合により,温度応答性poly(
N-isopropylacrylamide) (PNiPAAm)をグラフトしたPTMSDPAフィルム[
g-PTMSDPA (PNiPAAmグラフト量: 1.4±0.7×10
-2 mg cm
-2,重合度: 29±13)]を調製し,PTMSDPAへの接着性改善と細胞の非侵襲的な回収を検討した.ヒト子宮頸ガン細胞(HeLa)を用いて,
g-PTMSDPAおよびプラズマ照射処理のみのPTMSDPA/pへの接着を検討した結果,未処理PTMSDPAフィルムには,ほとんど接着しなかったHeLa細胞が接着・増殖した.また,培養温度37℃から温度刺激(20℃,25 min間)により
g-PTMSDPA上の接着細胞(3.3±0.3×10
4 cells cm
-2)の28±0.9% (n=3,p<0.01)がはく離した.さらに,
g-PTMSDPAフィルム裏面からO
2圧0.01 MPa,流速20 sccm,24 h間供給し,HeLa細胞あるいはヒト神経芽細胞腫(SK-N-SH)を培養した結果,無供給時と比べ,培養後の接着細胞数がそれぞれ約1.4倍,約1.3倍となった.
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