高分子論文集
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72 巻 , 7 号
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総合論文
  • 井原 栄治, 伊藤 大道, 下元 浩晃
    2015 年 72 巻 7 号 p. 375-384
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/15
    ジャーナル フリー
    各種のPd錯体を開始剤とするジアゾカルボニル化合物の重合について述べる.塩化パラジウム(PdCl2)を用いたジアゾ酢酸エステル,ジアゾケトン,ジアゾアセトアミドの重合では,数平均分子量2000程度のポリマーが得られた.一方,(NHC)Pd/borate系(NHC=N-ヘテロ環状カルベン)およびπ-アリルパラジウムクロリドを基本とする系を用いたジアゾ酢酸エステルの重合では,数平均分子量数万に達するポリマーを得ることができた.とくに,後者の開始剤系を用いて得られたポリマーの,MALDI-TOF-MSを用いた末端構造の解析により,重合の開始・停止機構を明らかにした.ヒドロキシ基を有するジアゾ酢酸エステルの重合により,炭素–炭素結合からなるポリマー主鎖の周囲にヒドロキシ基が集積したポリマーが得られた.
  • 髙坂 泰弘, 北浦 健大, 北山 辰樹
    2015 年 72 巻 7 号 p. 385-394
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/15
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸エステル類の立体特異性リビングアニオン重合に適用可能な官能性開始剤ならびに停止剤を開発した.リチウムN-ベンジルトリメチルシリルアミド(BnTMSNLi)を開始剤に用い,かさ高いアルミニウムフェノキシド存在下にメタクリル酸メチル(MMA)のアニオン重合を行うと,末端に二級アミノ基を有するシンジオタクチック(st-)PMMAが得られる.α-リチオイソ酪酸イソプロピルを開始剤,Me3SiOLiを助剤とするMMAのイソタクチック(it-)特異性重合をα-(クロロメチル)アクリル酸エチル(T1)で停止すると,末端にα置換アクリル酸エステル型C=C二重結合を有するit-PMMAが得られる.この末端C=C結合は多様なチオール類とのチオール–エン反応が可能であった.T1による停止反応はst-特異性重合にも有効で,BnTMSNLiとの併用でヘテロテレケリックポリマーの合成なども可能である.
  • 後関 頼太, 田中 俊資, 平尾 明, 石曽根 隆
    2015 年 72 巻 7 号 p. 395-409
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/07
    ジャーナル フリー
    本報では,二官能性モノマーであるジビニルベンゼン(DVB)類の選択的リビングアニオン重合について紹介する.筆者らは,p-ジビニルベンゼン(p-DVB)のアニオン重合において,オリゴ(α-メチルスチリル)リチウムに対して十数当量のtert-BuOKを添加した開始剤系を用いることで,設計通りの分子量と狭い分子量分布(Mw/Mn ~ 1.05)を有する一次構造の明確なポリ(p-DVB)の合成に初めて成功した.ここでは,とくに対カチオン種・添加塩・重合温度などの重合因子が生成ポリマーの一次構造に与える影響を示し,DVB類の重合挙動について解説する.また,活性なリビングポリ(p-DVB)アニオンを利用して,ポリ(p-DVB)セグメントを有するジブロック,トリブロック,テトラブロック共重合体や星型高分子などの新規特殊構造高分子の精密合成に関する結果を述べる.
  • 安藤 剛
    2015 年 72 巻 7 号 p. 410-420
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/22
    ジャーナル フリー
    より安全な医療,より高い生活の質を提供しうる新規な医療用材料,医療用デバイスの開発が望まれている.筆者らは,精密重合技術を用いることによる高分子の形態制御を通じ,新規医療用ポリマー材料の開発を行っている.本報では,精密重合によって得られる星型ポリマーによる血液適合性,抗菌性表面の創出,がんの放射線治療における線量の低減を目指したX線増感剤の開発へ向けた展開を紹介する.親水性ポリマーであるポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)と疎水性ポリマーであるポリ(メタクリル酸メチル)の2種類の枝ポリマーを同一の分子内に有するヘテロアーム星型ポリマーはポリエチレンテレフタレートフィルムに単純にドロップキャストでコートするだけで血小板の粘着や大腸菌の接着を大幅に抑制し,医療用デバイスの機能,信頼性を高められる可能性を見いだした.また,核に希土類錯体であるEu錯体を導入した星型ポリマーはEu錯体に基づく蛍光性を示すとともに,プラスミドDNA (pDNA)と混合してX線を照射すると効率的にpDNAを切断し,X線増感剤としての利用の可能性を見いだした.
  • 佐藤 浩太郎, 上垣外 正己
    2015 年 72 巻 7 号 p. 421-432
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/22
    ジャーナル フリー
    本報では,従来の石油由来の高分子合成において培った技術を利用して新しいバイオベースポリマーを創出することを目的として,低環境負荷な再生可能資源であるテルペンの精密重合系の開発について述べる.植物から豊富に採取されるモノテルペンであるβ-ピネンやd-リモネンは,脂環式骨格を有するオレフィンである.筆者らは,これらの植物由来化合物をモノマーとして用い,リビングカチオン重合やリビングラジカル共重合など,さまざまな精密重合系を開発した.とくに,β-ピネンのリビングカチオン重合により実用的にも十分な物性をもつバイオベースシクロオレフィンポリマーとなることを示した.また,テルペンのフルオロアルコール中でのラジカル共重合により高選択的1:2交互ラジカル共重合を見いだし,RAFT重合と組合せることで,天然高分子のような開始末端から生長末端まで配列の制御されたポリマーが得られることを示した.
一般論文
  • 浪越 毅, 金田 亜弥香, 宮永 貴志, 渡邉 眞次, 村田 美樹
    2015 年 72 巻 7 号 p. 433-439
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/04/29
    ジャーナル フリー
    種々のチエニル基を有するビニルエーテルのカチオン重合をHCl/ZnCl2,CH2Cl2中,-30°Cの重合条件で検討した.2-(3-チエニル)エチルビニルエーテル(3TEVE)の重合は,電子密度の高いチエニル基の2位の炭素のカルボカチオンへの求核攻撃により,六員環化合物を生成する連鎖移動反応が頻繁に起こり低分子量体しか得られなかった.一方,チオフェン環にカルボニル基を置換した,2-ビニロキシエチル2-チオフェンカルボキシレート(2TCVE)および2-ビニロキシエチル3-チオフェンカルボキシレート(3TCVE)は,チオフェン環のカルボカチオンへの求核攻撃が抑制され,いずれの重合においても,Mnは重合率に比例して増加し,それぞれMn=14,900;Mw/Mn=1.21,Mn=12,300;Mw/Mn=1.26と分子量分布の比較的狭い高分子量体が得られ制御カチオン重合が達成された.
  • 伊田 翔平, 古川 翔一, 谷本 智史, 廣川 能嗣
    2015 年 72 巻 7 号 p. 440-446
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/15
    ジャーナル フリー
    ゲルの構造制御方法の一つとして,可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤として機能する構造を有するジビニル架橋剤(dv-CTA)を設計し,ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) (PNIPAAm)ゲルの合成を行った.RAFT剤/架橋剤としてdv-CTAのみを用いた場合にはゲル化には至らなかったが,従来のジビニル架橋剤であるN,N′-メチレンビスアクリルアミド(BIS)を併用したところ,種々の条件でゲル化が進行した.また,架橋能をもたないRAFT剤とBISを併用した場合に比べて,dv-CTAを用いることによってゲル化に必要な架橋剤量が低減し,架橋効率が向上することがわかった.架橋剤にRAFT剤としての機能を付与することにより,重合中にビニル基間の鎖長が増加するため,効率よく架橋が進行し,ゲルの構造不均一性として知られる未反応ビニル基およびぶら下がり鎖が少なくなったと考えられる.
  • 佐藤 雅尚, Xinyue ZHENG, 平井 智康, 高原 淳
    2015 年 72 巻 7 号 p. 447-452
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/12
    ジャーナル フリー
    植物由来の原料から調製されるα-メチレン-γ-ブチロラクトン(MBL)はメタクリル酸メチル(MMA)と類似の化学構造からなる重合性モノマーである.これまでにさまざまな重合法より高分子の調製が試みられており,それらが高いガラス転移温度や高屈折率を示すことが明らかにされている.しかしながら,分子量,分子量分布および立体規則性の制御はこれまでに成し遂げられていない.本報では,リビングアニオン重合法に基づき,MBLの精密重合制御を試みた知見を報告する.MBLの単独重合では,高分子の汎用溶媒への溶解性の乏しさから重合系が不均一となり,分子量,分子量分布,立体規則性が精密に制御されない.MBLポリマーに対して優れた溶解性を示すアミド系溶媒を用いることにより,均一系での重合が可能になるが,MBLの反応性の高さからこれらの溶媒中での制御は極めて困難である.一方,汎用溶媒に可溶なマクロ開始剤を用いてMBLの重合を行うことで,分子量,分子量分布,立体規則性が精密制御されたMBL成分を含有するブロック共重合体が得られ,さらにそれがミクロ相分離構造を形成することを明らかにした.
  • 足立 馨, 森 一平, 塚原 安久, 杉村 岳史, 山岸 英哲, 早野 重孝
    2015 年 72 巻 7 号 p. 453-459
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/27
    ジャーナル フリー
    ベンジル位のプロトンは,シクロヘキサン中TMEDA存在下でアルキルリチウムにより引き抜かれ,ベンジルリチウムが生成することが知られている.そこでベンゼン環上に三つのメチル基を有するメシチレンに着目し,メシチレンのリチオ化挙動について調べた.また得られたリチオ化物からのコアファースト法による星形高分子の合成を行った.その結果,メシチレンはシクロヘキサン中TMEDA存在下でアルキルリチウムによりすべてのメチル基をリチオ化することができ,反応時間の増加とともにトリリチオ化物が増加することがわかった.またリチオ化数の高いメシチレンは,シクロヘキサン中で沈殿し,ろ過により選択的に回収できることがわかった.生成したリチオ化物は分子内に複数のベンジルリチウム骨格を有することからアニオン重合の多官能開始剤として用いることができ,イソプレンの重合を行ったところ,比較的分子量分布の狭い星形ポリイソプレンが得られた.
  • 中山 祐正, 奥野 晋吾, 田中 亮, 蔡 正国, 塩野 毅
    2015 年 72 巻 7 号 p. 460-467
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/04/29
    ジャーナル フリー
    ターピリジン類,ターチオフェン類,およびジチエニルピリジンなどの三座キレートヘテロドナー配位子を有する種々のルテニウムおよびオスミウム錯体を合成した.それらの錯体に有機アルミニウム助触媒を組合せた触媒系を用いて,ノルボルネンの開環メタセシス重合を検討した.ルテニウム触媒系はtrans構造に富むポリマーを与え,チオフェン環の導入によりtrans選択性が向上する傾向が見られた.オスミウム触媒系では,5,5′′-ジメチルターチオフェンやジチエニルピリジン錯体にAliBu3やMMAOを加えた触媒系が高いcis選択性を示した.
  • 上宮田 源, 大内 誠, 澤本 光男
    2015 年 72 巻 7 号 p. 468-479
    発行日: 2015/06/25
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/26
    ジャーナル フリー
    ヘミアセタールエステル結合が導入された環状分子を開始剤,SnBr4をルイス酸触媒として組合せることで,環拡大リビングカチオン重合を実現した.生成ポリマーは多峰性のSEC曲線を与えたが,重合の進行とともに高分子側にシフトし,成長種が不可逆に失活することなく重合が進行していることが示唆された.生成したポリマーを酸で加水分解すると,ピークトップ分子量が明確に増加したこと,また 1H NMR,MALDI-TOF-MASSによる生成ポリマーの構造解析結果から,生成ポリマーが狙いどおりの環状鎖であることが示された.SEC曲線の多峰性は,分子鎖間の可逆的な交換連鎖による「環融合」によると推察され,加水分解後に非常に狭い分子量分布が得られたことから,ヘミアセタールエステル結合あたりの分子量はよく制御されていることがわかった.また,環拡大ブロック共重合も可能であった.
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