高分子論文集
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72 巻, 9 号
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総合論文
  • 井田 大地
    2015 年 72 巻 9 号 p. 529-538
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/07/30
    ジャーナル フリー
    非線状高分子,とくに,星型および環状高分子の稀薄溶液物性に対する鎖の固さの影響をKratky–Porodのみみず鎖(KP鎖)モデルを用いて理論的あるいは計算化学的に検討した.3本腕星型KP鎖について,剛直性パラメータλ-1を単位に測った還元鎖長λLの関数として,星型鎖と対応する線状鎖の固有粘度[η],並進拡散係数(有効流体力学的半径),および良溶媒条件下の第二ビリアル係数A2の各比の挙動を検討した.[η]に関しては,4本腕星型KP鎖の場合も同様の検討を行った.環状KP鎖について,平均二乗回転半径,[η],および散乱関数に対する鎖の固さおよび環状鎖の結び目の型に対する位相幾何学的拘束の影響を検討した.さらに,環状鎖間の分子間位相幾何学的相互作用を反映するΘ状態におけるA2に関する結果を示し,Θ溶媒中における環状アタクチックポリスチレンに対する文献データとの比較を行った.
  • 桑原 純平
    2015 年 72 巻 9 号 p. 539-549
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/07/22
    ジャーナル フリー
    共役高分子は有機薄膜太陽電池などの有機電子デバイスの材料として期待されており,日々開発が進められている.筆者らはその合成手法に着目し,従来法の課題を克服し高純度な共役高分子材料を低コストで提供可能にすることを目指してきた.芳香族化合物のC-H結合の直接アリール化反応を重縮合反応に応用することで,有機金属モノマーの事前調製の必要がなくなり,金属を含む脱離成分を生じることなく共役高分子が合成可能となった.さらに,脱離成分や触媒添加量の低減を可能にしたことで,得られる高分子が簡便に高純度化できることを明らかにした.ここで達成した材料の純度向上は,トランジスタや太陽電池に応用した際の特性向上につながる.一連の研究から,新たな合成手法を開発することがデバイス特性の向上にも寄与できることを示した.
  • 覚知 亮平
    2015 年 72 巻 9 号 p. 550-560
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/07/14
    ジャーナル フリー
    本報は,有機反応の精密設計に基づく新規高分子反応に関する検討をまとめた.有機分子触媒を活用したアシル移動反応により,安定エステルを有するポリマーとアミンとの高分子反応に成功した.さらに,活性化エステル含有モノマーの精密設計により,熱刺激による反応性変化や高分子鎖の局所的修飾反応も達成可能であった.活性化エステルのみならずさまざまな新しい反応を活用した高分子反応の開発に関しても詳細に検討した.角田試薬を用いた光延反応を高分子反応に適用することで,連続的高分子反応やポリアミン合成など新たな合成戦略の提案に成功した.また,Kabachnik-Fields反応などの多成分連結反応による高分子反応により,モノマー単位当たり2個以上の官能基が導入可能であった.
  • 稲木 信介
    2015 年 72 巻 9 号 p. 561-572
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/09/25
    [早期公開] 公開日: 2015/08/07
    ジャーナル フリー
    π共役高分子の安定かつ可逆的な電極電子移動挙動は,導電材料,表示材料,アクチュエーター材料など応用面において重要な特性である.一方で,電解合成の考え方に基づけば,電子移動後の荷電状態を反応中間体とみなすことができ,後続化学反応によるポスト機能化が期待できる.本報では,このような概念に基づいたπ共役高分子の電気化学的分子変換について筆者らの研究を中心に紹介する.また,新しい電解反応場を用いた場合に得られる傾斜材料やパターニング応用についても述べる.
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