われわれは石炭酸とフォルマリンの反応はフォルマリンからメチロールカチオンを生じ, これと石炭酸の電子密度の高い位置と結合してゆく附加縮合反応であると規定した。この場合, 水酸基のかわりに, メチル基がベンゼン核に存在すると, そのHyperconjugationにより, 当然ベンゼン核に電子密度の高い位置を生じ, これとメチロールカチオンが附加してゆくと考えることができる。最近において, R.Wegler 氏は, 芳
香族化合物とフォルマリンの反応という論文のなかで, 硫酸を触媒として, m-キシロールとフォルマリンの縮合を取り扱っている。かつ, m-キシロール・フォルマリン樹脂が, さらにフェノールと反応したものは, 電気的性能の優秀なことを述べ, ドイツにおいて, 工業化の域に達していることを物語っている。また, 小田氏はメシチレンを硫酸の存在下で, フォルマリンと反応させて, 樹脂を得たことを報告されている。われわれはまず, 塩酸を触媒とした場合の反応を動力学的に取り扱い, 反応条件と数平均分子量の関係を求め, つぎに塩酸ヒドロキシルアミン法により, 反応系におけるフォルマリンの変化量を迫跡し, 反応速度恒数及び活性化熱を算出した。
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